02:「あはは、これが僕の姿……?」
で、何故か僕は城に足を踏み入れた途端、厳つい魔族の男たちに担がれて、いかにも魔王ですと言わんばかりの容姿の人物の座る王座の目の前で投げ捨てられたのですが。
投げ捨てられた僕を、魔王は物凄く人相の悪い目で見てきています。わあなんか凄く怖い怖い。前世の自分はこれに立ち向かって行ったんですか? 我ながら凄すぎる。
「森であの光を出したのは、お前か?」
威厳のある声で、マントで体のほとんどを隠しながら魔王は僕に問いかけてきた。
森、光。そういえば、僕が転生したときそれらしい光が出てきてたけど。もしかして魔王さん怒ってらっしゃいます?
「……たっ、確かにそれはわたわた私がやりましししたけど、何か問題ありっ、ありましたか?」
はっ、恥ずかしい。誰もいないところだったからさっきは普通に女神の言うこと聞いたけど、人の目の前で女言葉で喋らないといけないなんて。
しかもなんか女神の笑い声が聞こえてくる。爆笑なせいか机をたたく音と一緒に。恥ずかしい。とにかく恥ずかしい。
「そうか。近隣の住人達に迷惑がかかっている、今度からは気をつけろ」
そう言って、魔王は僕の横を横切って部屋を出て行った。てか、それだけですか。それだけの為に僕をここに呼んだんですか。
まあいいや。せっかく中まで連れてきてもらったし城の中を探索してみよう。来る途中普通の魔族も歩いてたから(担がれてる僕を笑っていたけど)城を自由に歩き回っても良いみたいだし。
「つい……け、う………し……!」
部屋から出る魔王が小声で何かを言った気がしたが、僕にその声は殆ど届かなかった。
「あはは、これが僕の姿……?」
城の中心だと思われる場所には、ご丁寧に巨大な鏡が置いてあった。
軽く普通の公園四個分はありそうなその場所は広場らしく、中央には噴水があり、その周りにベンチが設置してあった。たくさんの魔族が談笑しているその場所に、一緒に鏡も置いてあったのだ。
その鏡は、偽りなく僕の姿を映し出してくれる。僕が見た鏡の向こうの自分は、うわこれどうしようと苦笑いを浮かべた、小学四年生程の幼い少女だった。顔があって、手と足が二本ずつあって……と、肉体の造りは人間と変わっていないのだが、肌はもう病気じゃねと疑うほど白く、目と髪は紫の色をしていた。顔のつくりはなかなか繊細だが童顔で、美形というよりは可愛いだ。
「今更ですけど、元に戻すということはできないんですか?」
「何だか楽しくなってきたので、元に戻せても戻す気はありません」
女神ってそういう趣味だったのか! と途端に世界の治安について心配になる。
というか僕が生まれ変わったのって、普通の人生を送るため、だったはずですよね。なのになんで女神さまのおもちゃに変わり果てているんですか。
「もう手遅れかもしれませんけど、やっぱり天国にいかせてください」
「口応えするならもっと酷いものに転生させますよ?」
「もうそのネタ二回目じゃないですか」
「そんなに酷いものに転生したいですか。ネズミなんてどうですか?」
「……すみません」
もう嫌だ、僕の人生。もとい魔生。ただでさえ自分の敵に転生してしまったのに、もっと酷いものに転生させるぞと脅されるなんて。
「あの」
そんなことを考えていた時だった。背後から突然少女らしき声が僕を呼びかけたのは。
そろそろ他の登場人物が出てきます。そしてそろそろ魔族の少女になったことで起きた出来事のエピソードを書こうと思っています。




