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転生乙女の一方的で重い愛情  作者: いちゆめ
2/6

01


──筈、だったのだが。



現在、真知子は酷く混乱していた。

真知子と絵美里が通う大学の、門の前。周りのざわめきや視線など完全に意識の外だ。

彼女の目は、真知子に向けて微笑む一人の青年に真っ直ぐ向けられている。



日本人では無いと一目で分かるその顔立ち。すっと通った鼻筋に薄い唇、そして柔らかな光を宿す瞳は深い紫紺。肩まで届く癖知らずの銀の髪と良く似合っている。

背も高く、それでいて程好く引き締まった肉体なのが飾り気の無いシンプルな服の上からでも分かる。周りから頭一つ抜けた彼は、それだけでやはり目を引くのだろう、沢山の視線の中心で佇んでいた。



彼は、授業を終え門の外へ出た真知子を視界に入れると、蕩けるような微笑みをその唇に乗せてその長い足を一歩真知子の方へと向ける。




「……漸く、見つけた」



低く、良く通る声。心地の良いその声が言葉を紡げば、周りで彼に熱っぽい視線を向けていた数人の女性が更に頬を赤らめた。

然し、その言葉を向けられた真知子は呆然とした表情を浮かべたまま動けずに居た。彼女の混乱は誰が見ても一目瞭然だろう。

わなわなと唇を震わせて、目の前の青年を凝視する。有り得ない、なんで、と、唇が声なき声を象った。



(何故、)

──これは、夢だろうか。



そんな真知子の混乱を見ても、青年は構う様子もなく彼女へと近付く。そして、硬直したままの彼女の手をするりと掬い上げると、その指先に彫刻のように整った唇を寄せて目を細めた。




「ずっと、捜していた。……君を迎えに来た」



そんな極上の台詞も、真知子の耳には届かない。

今、自分が何をされているのかすら理解していない。

彼女の眼差しは、見知らぬ青年の──見覚えのあるその顔に据えられたまま動かない。



嗚呼、どうして。

どうして、夢の中の彼が此処に居るのだろう。




夢の中で、可愛い妹の婚約者として笑った彼の顔と、目の前の青年の顔が重なった。

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