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【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
好きな女を取り戻せ!

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第72話 創造神と『神格』

「――お主の、覚悟は、受け取った」

創造神の声が、静かに、しかし、確かな重みを込めて、響いた。

『――それほどまでに、守りたい、女ということだな』

「――ああ」

俺は、静かに、しかし、迷いのない声で、答えた。

「――自分が、どうなろうと構わぬほど……。愛しています」

『――そうか……』

創造神は、静かに、そう、呟いた。

『――我は、創造神。……主らの、世界で起こったことは、全て、把握しておる』

『――無論、お主が、産まれてから、現在に至るまで……。全て、理解している』

その言葉に、俺は、静かに、息を呑んだ。

(――全て、知っていた、というのか)

『――そうか、そうか……』

創造神の声には、静かな、しかし、確かな、感慨が滲んでいた。

『――力や、名声より……。女を、選ぶか』

『――リアーナ、オリーブ』

創造神の視線が、静かに、二人へと、向けられた。

『――良い相手を、見つけたな』

『――女神は、我の、娘のような存在。……性根が、腐った奴には、簡単に、渡せぬのでな』

リアーナと、オリーブが、静かに、頭を垂れた。

「――……勿体無きお言葉です」

「――ありがとうございます」

『――しかし』

創造神は、静かに、続けた。

『――てっきり、悪巧みをして、この場を、切り抜けるかと、思うとったが……』

『――面白い、判断をしたものよ』

その言葉に、俺は、静かに、苦笑した。

(――そうか。……試されていたのか)

これまで、幾多の局面を、知略と、策略で、切り抜けてきた自負が、俺には、確かにあった。だが――今回、俺は、その全てを、一度、静かに、脇に置いた。

(――誤魔化しようが、なかったからだ)

大切な二人を、守るためなら。それ以外の、何を差し出そうとも、構わない。その、あまりにも、単純な想いだけが、俺の中に、静かに、確かに、あった。

「――さて」

創造神の声が、静かに、厳かに、響いた。

『――約束は、約束じゃ』

『――そなたの、「名前」と、「全能ノ神」は……。没収じゃ』

――俺は、静かに、目を閉じた。

(――ここまでだ)

それでも、後悔は、なかった。

『――それと、同時に』

創造神の声が、静かに、続いた。

『――「ディア」と、「主神」を、やろう』

「――……は?」

俺は、思わず、間の抜けた声を、漏らした。

『――じゃから』

創造神は、静かに、笑いを、滲ませながら、続けた。

『――わしが、名付け親になり……。さらに、全能ノ神の上位互換の、「主神」を、やろう。……と、言っておる』

「――い、意味が……」

俺は、静かに、混乱を、隠せなかった。

『――なぁに、簡単じゃよ』

創造神は、静かに、続けた。

『――ワシは、忙しい。守ってやりたいが、常に、見ていることは、できぬ』

『――だからこそ、お主が、強くなれば、よい』

『――名付け親は、リアーナじゃが……。ワシの名付けの方が、強くなり、主神を、受け入れられる、器になる』

『――ただし、力は、おいそれと、渡すわけには、いかぬからのう』

『――まぁ、お主の、選択次第だった、というわけじゃ』

「――あ、ありがとう、ございます」

俺は、静かに、深く、頭を下げた。

『――それに』

創造神は、静かに、少し、寂しげに、続けた。

『――エルリックは、力に溺れ、手段を選ばず、愛を、忘れてしもうた』

『――昔は、情熱に溢れた、良い人材、じゃったんじゃがのう』

その声には、単なる、裁定者としての、冷徹さだけではない――どこか、教え子を、案じるような、静かな、哀愁が、滲んでいた。

「――……エルリックは、これから、どうなるのですか」

俺は、静かに、そう、尋ねた。

『――まぁ、良い』

創造神は、静かに、続けた。

『――エルリックも、主神と、女神二人を相手に……。戦いを挑むことも、なかろう』

『――エルリックは、しばらく、ワシの元で……。性根を、鍛え直しじゃな』

――それは、消滅でも、追放でもない。だが、確かな、罰であり――そして、僅かながらの、更生の機会でもあった。

『――さて、では、いくぞ!』

創造神の声と共に――俺の全身に、途方もない、力の奔流が、静かに、しかし、確かに、流れ込んできた。

『――スキル『全能ノ神』を、返上します』

『――称号『ディア』を、返上します』

――一瞬、体の芯から、何かが、静かに、抜け落ちていく感覚があった。名前も、力も、これまで、確かに、自分自身を形作ってきたものが、静かに、消えていく。

だが、それも、束の間だった。

『――創造神より、新たな名――『ディア』を、授かりました』

淡い、しかし、途方もない神々しさを纏う光が、静かに、俺の全身を、包み込んでいく。骨が、軋み、肉が、燃えるように、作り変えられていく。かつて、インプから、デーモンへと進化した、あの日の感覚が――今、比較にならぬほどの、圧倒的なスケールで、俺の体を、貫いていた。

『――スキル『主神』を、取得しました』

「――ぐ、ぅ……!」

俺は、思わず、その場に、片膝をついた。

これまで、感じたことのない、途方もない、力の奔流。全能ノ神が、この世界の理を操る力だったとするならば――主神の力は、その理そのものを、生み出し、書き換える、さらに上位の、力だった。

「――こ、れが……」

俺は、震える声で、そう、呟いた。

『――良い顔をしておるな』

創造神が、静かに、満足げに、笑った。

『――それと』

その声が、静かに、続けた。

『――天界は、今、管理者が、おらぬ』

『――ディアよ、お主の、選択で、こうなったのじゃ。……メンテナンスは、怠るなよ』

「――……はい」

俺は、静かに、しかし、確かな覚悟を込めて、頷いた。

『――では、さらばじゃ』

――その声を、最後に、創造神の気配は、静かに、消えていった。

――こうして、ディアは、主神となり。

そして――天界の、新たな管理者として、その役目を、静かに、担うこととなった。

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