↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
好きな女を取り戻せ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/73

最終話 しばしの平穏と『刃』

――数年の月日が、静かに、流れた。

ディアは、リアーナと、オリーブ、二人を、両手に添えながら、多忙な日々を、過ごしていた。

天界の管理。下界の統治。二つの世界を跨ぐ、責務は、決して、軽いものではなかった。だが――その傍らには、いつも、かけがえのない、温もりがあった。

リアーナと、オリーブ、それぞれの腕には――小さな、確かな命が、抱かれていた。

リアーナの子には、『魔王』のスキルが。

オリーブの子には、『勇者』のスキルが。

かつて、一人の男の中で、偶然にも、共に宿り、融合したはずの、二つの、対極の力。それが、今、それぞれ、新たな、小さな生命へと、静かに、受け継がれていた。

「――なんだか、不思議ね」

リアーナが、静かに、我が子を、あやしながら、微笑んだ。

「――あなたが、繋いだ、二つの力が……。また、別々の、道を歩む」

「――ああ」

ディアは、静かに、その光景を、愛おしげに、見つめていた。

下界では――ディアは、神として、崇められる存在となっていた。

その信仰は、いつしか、『ディア教』という、一つの宗教にまで、広がっていた。

彼は、まず、これまで、世界を、静かに、蝕み続けてきた仕組み――神による、生死の循環を利用した、"レベリング"の仕組みを、完全に、撤廃した。

そして――魔族、人族、亜人。三種族から、それぞれの代表者を選び、互いに、話し合う場を、設けた。力ではなく、言葉で、物事を解決する仕組み。

裁判所、競技場、共同農業、インフラの開通。

たった、数年という、短い歳月で、それら全てが、着実に、整えられていった。

ダンジョンに巣食っていた、天使たちにも、エリアごとの管理職を設け、暴走を、未然に防ぐ体制が、築かれた。

――神による、平和な世が、こうして、ようやく、形になっていった。

そんな中でも、ディアは、密かな楽しみを、見つけていた。

競技場での――タイマン戦だ。

名を伏せ、姿を変え、主神のスキルを封印し――素の力だけで、戦うことに、彼は、いつしか、夢中になっていた。

競技場のタイトルホルダーは、変わらず、ルピンだった。

大体、決勝の相手は――ディア、その人だった。

タラボーヤの息子や、ゴウロウの息子――ロクロウも、その舞台に、参戦するようになっていた。血気盛んな、力自慢たちが、しのぎを削る、活気ある光景が、そこには、あった。

いい汗を、たっぷりとかいた後、ディアは、天界へと、戻る。

そこには――育児という、また別の、賑やかな日常が、待っていた。

リアーナも、オリーブも、互いに助け合いながら、静かに、しかし、幸せそうに、我が子の成長を、見守り続けていた。

――そんな、穏やかな日々が、確かに、続いていた。

――そして、ある日のことだった。

天界にある、王座の間。

静まり返った、その空間に――ぽたり、ぽたりと、何かが、滴り落ちる、音だけが、響いていた。

王座には――ディアが、座っていた。

いや――座っている、というよりは。

その身を、静かに、王座へと、力なく、預けている、という方が、正しかった。

その胸のあたりには――どこか、見覚えのある、一振りの槍が。

刃が深く突き刺さったその胸から――静かに、血が流れ落ちていた。

何が起きたのか。

誰が、それを成したのか。

その目的は――一体、何だったのか。

――全ては静寂の中に、ただ沈んでいた。


――ここで、ディアの冒険は、その、幕を、閉じたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ノノとメメはどうなったんだ!? てかラストどう言うこと?エルリックに処された?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。