↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
好きな女を取り戻せ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/70

第67話 再会と『女神』

マニョンたちと別れたディアは、静かに、その足を、城の奥深くへと、進めていた。

「――それにしても、広くて、豪華な城だな……」

俺は、静かに、周囲を見渡しながら、そう呟いた。

「――だが、ここまでくれば……。察知で、場所が分かる」

「――リアーナ……。待っていてくれ……。あと、少しだ……」

焦る気持ちを、静かに、抑え込みながら、俺は、慎重に、歩みを進めた。

――何せ、敵の本拠地に、たった一人。隠密のスキルを使っているとはいえ、油断は、決して、許されなかった。

外では、今も、マニョンとダリウスが、激しい戦いを、繰り広げているはずだった。

彼女の、あの秘策のことなど、知る由もない俺は、ただ、静かに、その無事を祈りながら――

(――救出まで、持ちこたえてくれ……)

そう、心の中で、幾度となく、祈り続けた。

「――見えた……。あそこか!」

不意に、俺の察知が、確かな反応を、捉えた。

――リアーナの、居場所が、分かった。

だが、同時に――その隣に、強大な存在の気配が、静かに、佇んでいることも、分かった。

「――主神……。エルリック……」

「――くそっ……」

俺は、静かに、歯を食いしばった。

「――戦闘は、避けられないか……」

焦りが、静かに、募っていく。

その時――モーチから、静かに、念話が届いた。

『――ディア』

『――マニョンには、任せてきた。……して、場所は、特定できたか』

俺は、静かに、その念話に応じ、状況を、共有した。

(――どうすれば、主神と、リアーナを、分断できる)

俺が、静かに、思案を巡らせていると――モーチが、静かに、口を開いた。

『――仕方ない』

『――我が、エルリックの相手を、している間に……。救出せい』

「――モーチ! だが、それは……!」

俺は、思わず、そう、声を上げた。

『――案ずるな』

モーチの声は、静かに、しかし、確かな覚悟を、湛えていた。

『――我は、不死鳥。……理など、無視して、生き返る存在よ』

『――しかし、このやりとり、懐かしいな』

『――アルカナとの、やりとりを、思い出す』

『――しかし、今回は、とっておきが、あるのでな。……ただでは、やられんぞ』

「――ふむ……」

俺は、静かに、目を閉じた。

「――すまない。……任せて、いいか」

『――あい、わかった』

『――一分後に、いくぞ!』

「――了解!」

――モーチは、城の外から、巨大な火の玉を、王の間めがけて、投げつけた。

無論、この程度で、神を、倒せるはずもない。これは――エルリックを、おびき出すための、囮の一手だった。

「――ほう」

エルリックは、静かに、あっさりと、その挑発に、乗った。

「――鳥の分際で、また、我に、逆らうか」

「――仕方ない。……相手してやろう」

彼は、静かに、王の間から、姿を現し、その火の玉を、あっさりと、かき消した。

「――一億年前の、敵討ちにしては……。この程度か?」

エルリックが、静かに、嘲笑うように、そう告げた。

「――あの時の、魔王のほうが、楽しませてくれたぞ」

「――ぬかせ」

モーチは、静かに、しかし、確かな怒りを込めて、言い返した。

「――今のは、挨拶じゃ。……目に物、見せてやるわ」

「――はっはっはっ」

エルリックは、静かに、笑った。

「――久しぶりに、血が、騒ぐわ」

――そうこうしている間に、俺は、静かに、リアーナへと、近づいていった。

――やっと、会える。

五十年、待ち続けた。

胸の奥から、堪えきれない、感動が、静かに、溢れ出していく。

「――リアーナ……」

俺は、静かに、その名を、呼びながら――隠密のスキルを、解除した。

――その、瞬間だった。

「ザクッ――」

胸に、何かが、深々と、突き刺さる音がした。

「――が……」

滴り落ちる、鮮血。

周囲には――リアーナしか、いなかった。

(――嘘、だ……)

俺の中で、様々な感情が、渦を巻いた。

(――五十年で、忘れて、しまったのか……? 愛想を、尽かされて、しまったのか……? 待たせすぎて、しまったのか……?)

感情が、まるで、整理できなかった。

――そんな、俺の前で。

絶世の美女――リアーナの姿をした、その者は、静かに、口を開いた。

「――あなたが、元夫の、ディアね」

「――悪いけど、私は、リアーナであって、リアーナでは、ないわよ」

「――残念だったわね」

「――あなたの愛した、リアーナは……。もう、この世に、いないのだもの」

俺は――理解が、まるで、追いつかなかった。

リアーナの、その姿。リアーナの、その声。何より――名付け親としての、確かな繋がりが、目の前の存在を、リアーナだと、告げていた。

「――う……。嘘だ……。そんな、馬鹿な……」

動揺を、隠しきれない俺を、余所に――俺の体は、本能的に、刺された胸の傷を、静かに、癒し始めていた。

「――あら」

彼女は、静かに、微笑んだ。

「――そのまま、死んだら、良かったのに」

「――残念ね」

「――俺には」

俺は、震える声を、必死に、抑えながら、答えた。

「――愛する者を、連れ帰る使命が、ある」

「――諦めるわけには、いかないのでな」

「――はぁ……」

彼女は、静かに、深い、溜息をついた。

「――もう、いないって、言ってるじゃない……」

「――仕方ないわね。……説明してあげる」

「――私は」

彼女は、静かに、しかし、確かな威厳を込めて、名乗った。

「――三柱のうちの、一柱である、オリーブよ」

「――エルリックの、妻であり」

「――女神のスキルを、有し、慈愛を、司る者」

「――ど、どういうことだ……」

「――リアーナはね」

オリーブは、静かに、続けた。

「――私の、復活のために……。依り代に、なったの」

「――だから、もう」

「――あなたの愛した、リアーナの人格は……。ないのよ」

「――そ、そんな……。馬鹿な……」

俺の中で、何かが、静かに、崩れ落ちていく音がした。

「――嘘を言って、どうするの?」

オリーブは、静かに、微笑んだ。

「――ちなみに、私は、記憶は、引き継いでるから」

「――あなたの事は、よく、知ってるわ」

「――スリップ使いの、インプさん」

「――くっ……」

俺は、静かに、拳を、握りしめた。

(――ど、どうしよう……。この女、嘘を、言っているようには……。見えない……)

――だが。

(――俺は、連れ帰ると、皆に、約束したんだ……)

(――リアーナを、復活させる方法は……。後で、考えよう……)

「――仕方がない……」

俺は、静かに、しかし、確かな決意を込めて、告げた。

「――無理やり、連れて、行かせて、いただく」

「――舐められたものね」

オリーブは、静かに、しかし、不敵に、笑った。

「――やってみなさいな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。