表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
好きな女を取り戻せ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/67

第66話 武ノ神と『矜持』

「――ここには、三柱の神が、おる」

ダリウスは、静かに、しかし、確かな自負を込めて、そう告げた。

「――その中でも、我は、別格の武力をもって……。お主を、葬ってやろう」

その言葉には、単なる、はったりではない、確かな根拠が、宿っていた。

――ダリウスもまた、神スキルの、保有者だった。

『武ノ神』。それは、戦闘に関わる、あらゆる能力を、飛躍的に、向上させる、神クラスのスキルだった。

そして――彼は、元々、人族であった。かつては、勇者として、数多の魔族を、葬ってきた身。主神を、深く、篤く、信仰し続けてきた、その果てに――彼の持つ勇者のスキルは、そのまま、上位のスキルへと、昇華を遂げていた。

ディアが、事故によって、他者の勇者スキルを奪い、それを、後に、魔王のスキルと融合させたのとは、まるで違う、道のり。

ダリウスの力は――生まれながらの、勇者としての在り方を、ひたすらに、極め続けた末に、辿り着いた、上位互換の姿だった。

「――あはは〜」

マニョンは、静かに、しかし、不敵に、笑い返した。

「――やれるもんなら、やってみなっ」

その声には、隠しきれない、余裕と――同時に、静かな、緊張の色も、滲んでいた。

(――精霊魔法で、撹乱しながら……。隙を、狙うしかない)

マニョンは、静かに、その戦術を、頭の中で、組み立てていた。

戦いは、瞬く間に、激化した。

「――ほう」

ダリウスは、静かに、マニョンの攻撃を、次々と、捌きながら、そう呟いた。

「――この威力、スピード、ともに、高レベルだな」

「――だが」

彼の声に、僅かな、余裕が、滲んだ。

「――決め手に、欠けている。……我には、刃は、届かないな」

「――じゃあ……」

マニョンは、静かに、しかし、確かな闘志を込めて、答えた。

「――そろそろ、ギア、上げてくよ〜」

――刹那、大気が、大きく、揺れ動いた。空間そのものが、歪むほどの、膨大な魔力が、静かに、放たれていく。

だが――幾度、ぶつかり合っても。

「――……」

マニョンの胸の内に、静かな、しかし、確かな焦りが、募り始めていた。

(――まったく、余裕、ないよぉ……)

(――このまま、ディアが、帰ってきてから、で……。間に合うしなぁ……)

――そう。ダリウスは、強かった。

彼は、この天界において、主神エルリックに次ぐ、序列二位の実力者。その武ノ神の力は、まさに、圧倒的だった。

だが――それでも。

――諦める、マニョンではなかった。

決闘が始まってから、既に、一時間以上。二人の激突は、絶え間なく、続いていた。

マニョンは、次第に、疲弊の色を、隠せなくなっていた。

(――はやく、終わらせよう……)

その時――マニョンの脳裏に、静かに、一つの、閃きが、浮かんだ。

「――そうだ。いいこと、思いついた」

マニョンは、静かに、しかし、悪戯めいた笑みを浮かべながら、口を開いた。

「――ダリウス! 後ろに、エルリックが!」

――無論、それは、真っ赤な嘘だった。

こんな、あまりにも、子供じみた、手垢のついた誘いに、引っかかる者など、そうそう、いるはずもない。

だが――目の前の、この男は、果たして、どうだろうか。

「――なんだと!?」

ダリウスは、反射的に、そう叫び、そして――

「――あ、お疲れ様です!」

咄嗟に、振り向きざま、そう発してしまった。

――当然、その先には、誰もいなかった。

その一瞬の、あまりにも、無防備な、隙。

「――あまねく、精霊よ……」

マニョンは、静かに、しかし、確かな覚悟を込めて、その両手を、掲げた。

「――彼の者の、スキルを、封じよ……! 『ディスキル』!」

――まさに、一瞬だった。

ダリウスの体から、力が、抜け落ちていく。

「――な……! こ、これは……!」

抵抗する間もなく――彼は、その場に、静かに、崩れ落ちた。

「――これで、勝負ありだね」

マニョンは、静かに、しかし、確かな戦意を込めて、その姿を、見下ろした。

「――まだ、やる? ……まぁ、いいや。ばいばい♪」

――その一言と共に、マニョンの、渾身の一撃が、ダリウスへと、振り下ろされた。

『――この世界の理により、蘇生は、適用されません』

――かつて、彼自身が、そう告げた通り。

天界という、この場所において――彼は、二度と、その目を、開くことはなかった。

こうして――主神に、長きにわたり、忠誠を捧げ続けた、武ノ神の担い手、ダリウスは――静かに、この世界から、姿を消したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ