第65話 神の『正体』
「――それなんだけどね」
マニョンは、静かに、しかし、確かな期待を込めて、そう切り出した。
「――僕にも、神様を殺す、手段が……。欲しいんだ」
「――神という存在を、理解するところから、じゃな」
白髪混じりの男は、静かに、そう答えた。
「――神は、生まれながらに、神なんじゃないの?」
マニョンが、素朴に、そう問い返す。
「――ほっほっほっ」
男は、静かに、笑った。
「――まぁ、みんな、そう考えるわな。……実はのう、神は、元々、神クラスのスキルを持ち、創造神が、認めたものが、死後に、転生したのが、神、なんじゃよ」
「――え? じゃあ、天界にいる奴らは……。元々、僕たちと、同じってこと?」
マニョンの声に、僅かな、驚きが滲んだ。
「――そうじゃ」
男は、静かに、頷いた。
「――神スキルを持つものは、神になれる、素質があるんじゃ。……お主の、精霊神や、全能ノ神も、神クラスのスキルじゃな」
「――まぁ、希少なスキル故に……。大抵は、王クラスのスキルまでしか、発生せんのじゃがなぁ」
「――王クラス?」
「――うむ」
男は、静かに、続けた。
「――神、王、上級、中級、下級と、区分けされておる。……特別な条件を、クリアしなければ、神の頂には、届かんのじゃよ」
「――ふむふむ」
マニョンは、静かに、頷きながら、続けた。
「――で、僕の場合は?」
「――明確に、分かるわけではないが」
男は、静かに、その表情を、僅かに、和らげた。
「――親友を失い、かつ、規定を超える魔力を、有することじゃな。……お主は、名付けにより、魔力が上がり、クリアしたんじゃろう」
「――そーなんだー」
マニョンは、静かに、しかし、どこか、他人事のように、そう呟いた。
「――あんまり、実感は、ないけどね〜」
「――うむ」
男は、静かに、笑った。
「――まぁ、戦いになれば、違いに、気付くはずじゃよ」
◇
「――ふむふむ」
マニョンは、静かに、話の核心を、切り出した。
「――で、その神を、殺したいんだけど……。どうしたら、いい?」
「――それはな」
男は、静かに、しかし、確かな重みを込めて、告げた。
「――相手の、神スキルを、封じるんじゃ」
「――武器の効果でも、魔法の効果でも……。神スキルを封じることが……。神を倒す、絶対条件なんじゃよ」
「――僕は、武器ないんだよね……」
マニョンが、静かに、困ったように、頬に手を当てた。
「――安心せい」
男は、静かに、不敵に笑った。
「――精霊神の魔法で、ちょちょいの、ちょうじゃ」
「――じゃあ、早く、魔法、教えてよ」
マニョンの声に、静かな、しかし、確かな熱が、籠った。
「――ぼく、頑張るからさ」
「――せっかちじゃのう……」
男は、静かに、しかし、真剣な眼差しで、続けた。
「――この魔法は、大量の魔力、使うからのう。……今のお主じゃ、一回が、限度じゃろう」
「――タイミングを、間違えるでないぞ」
「――うん、わかった!」
マニョンは、静かに、しかし、確かな決意を込めて、頷いた。
「――よろしい」
男は、静かに、頷いた。
「――では、手を出して……。意識を、集中させるのじゃ」
「――うん!」
マニョンは、静かに、その手を、差し出した。
「――では、いくぞい」
「――はぁぁぁぁぁあ!」
――刹那、凄まじい、圧力が、マニョンの、小さな体を、貫いた。
「――あ……。頭が……。割れそうだよ……」
マニョンは、思わず、その場に、片膝をついた。
全身を駆け巡る、途方もない、情報と、力の奔流。それは、彼女の、幼い体には、あまりにも、過酷なものだった。
「――頑張るんじゃ、なかったのかい?」
男は、静かに、しかし、揺るぎない声で、そう告げた。
「――まだまだ、半分も、引き継げておらんぞ」
「――が、頑張るよ……」
マニョンは、震える声で、しかし、確かな意志を込めて、そう答えた。
「――アリマン……。ぼく……。やり遂げるからね……!」
その、小さな体から、静かに、しかし、確かな、覚悟の光が、溢れ始めた。
「――その、意気じゃ」
――こうして、マニョンは、神スキルを封じる魔法――『ディスキル』を、習得したのだった。




