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【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
好きな女を取り戻せ!

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第61話 使者と『架け橋』

「――部品を、送り込む方法から、考えなければ、なりませんね」

デルポポは、静かに、穴の前で、思案を巡らせていた。

「――物理的に、人が、通れない以上……。何か、別の"手"が、必要です」

俺は、静かに、その言葉に、頷いた。

「――なら」

俺は、静かに、自らの掌に、意識を集中させた。

「――魔物使い、いや……。『魔ノ頂点』の力を、使おう」

『――使役召喚、発動』

淡い光と共に、俺の足元に、小さな影が、現れた。

ネズミよりも、さらに、遥かに小さな――極小の、蟲のような姿をした、下級の魔物だった。

「――こいつなら、あの穴を、通れるはずだ」

「――なるほど……! 使役した魔物になら、細やかな、指示も、通せますものね」

デルポポが、静かに、感心したように、頷いた。

「――さあ、あなたたちの、出番よ」

ノノが、静かに、術式の描かれた、小さな部品の欠片を、掌に載せた。

「これを、あの穴の奥へ、少しずつ、運んでちょうだい」

俺の使役した、極小の魔物たちが、次々と、その欠片を背負い、あの、小さな穴の中へと、消えていく。

「――これで、いけるかしら……」

メメが、祈るように、その様子を、見つめていた。

だが――それだけでは、足りなかった。

「――やはり、部品を運ぶだけでは、組み立てまでは、手が回りませんね……」

デルポポが、静かに、眉を寄せた。

「――なら」

ノノが、静かに、閃いたように、顔を上げた。

「――転写魔法を、使いましょう」

「――転写、魔法?」

「うん。……こちら側で組み上げた、完成品の"設計"そのものを、魔力の波として、あの穴の先に、直接、投影するの。……向こうで、部品さえ揃っていれば、あとは、その"型"に沿って、勝手に、組み上がっていくはず」

ノノは、静かに、自信ありげに、微笑んだ。

「――魔術研究の、応用よ。……任せて」

それから、幾日にもわたる、根気強い作業が、続いた。

極小の使い魔たちが、少しずつ、部品を運び続ける。

ノノとメメが、緻密な転写魔法の術式を、幾度も、幾度も、練り上げていく。

「――くっ……! また、失敗……!」

「――ノノ、大丈夫。……もう一度、いきましょう」

何度も、何度も、試行は、失敗に終わった。だが、そのたびに、二人は、諦めることなく、術式を、練り直し続けた。

俺は、その様子を、静かに、見守り続けていた。

(――俺には、こういう、緻密な作業は、できない)

自分の得意な分野が、力業や、大局的な知略であることを、俺自身、よく理解していた。だからこそ――こうして、彼女たちが、丁寧に、この道を切り拓いていく姿を、静かに、信じて、見守ることしか、できなかった。

「――ディアさん、心配、しないでください」

メメが、ふと、俺の様子に気づき、優しく、微笑みかけた。

「――私たち、必ず、成功させますから」

「――ああ。……頼りにしてる」

俺は、静かに、しかし、確かな信頼を込めて、頷いた。

そして――幾週間もの、試行錯誤の末。

「――あ……!」

穴の奥から、微かな、しかし、確かな、機械的な作動音が、静かに、響いてきた。

「――これ、は……!」

デルポポが、静かに、息を呑んだ。

『――向こう側の装置、起動を確認』

「――やった……! やりましたよ、ディア様……!」

デルポポが、静かに、しかし、堪えきれない喜びを滲ませながら、俺を振り返った。

「――向こう側に、転移装置の、出口が……! 完成、しました……!」

「――本当、か……」

俺は、静かに、その穴を、見つめた。

「――やったね、メメ!」

ノノが、涙ぐみながら、メメと、しっかりと、手を取り合った。

「――はい……! やりました、ノノ……!」

その光景に、俺は、静かに、深い、確かな安堵を覚えた。

俺は、静かに、その小さな穴の前に、跪いた。

「――ありがとう、皆」

俺は、静かに、しかし、心の底から、そう告げた。

「――お前たちの、その知恵と、根気強さがなければ……。この道は、決して、開かなかった」

「――ディア様……」

デルポポが、静かに、目を潤ませながら、答えた。

「――私たちも、あなたと、あなたが愛する人のために、力になりたかったんです」

俺は、静かに、その言葉を、深く、胸に刻んだ。

(――もう、迷わない)

五十年もの間、抱え続けてきた、あの、深い虚無感が、静かに、薄れていくのを、感じた。

――目の前に、確かな、一筋の光が、見えていた。

「――待っていろ、リアーナ」

俺は、静かに、その小さな穴を、見つめながら、静かに、しかし、確かな決意を込めて、そう呟いた。

「――今度こそ、必ず……。迎えに行く」

――だが、その戦いは、俺一人の力で、成し遂げられるものではない。

俺は、静かに、その場に集まった、皆の顔を、一人一人、見渡した。

「――ここから先は、誰を連れて行くか、慎重に、決めなければならない」

相手は、神。……並の力では、足を踏み入れることすら、叶わない領域だ。

「――皆で、これからのことを、話し合おう」

その言葉に、皆が、静かに、しかし、確かな決意を込めて、頷いた。

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