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【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
西大陸と神々の正体

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第54話 積み重ねし『成果』

半年余りをかけ、俺たちは、西大陸に点在する、あらゆるダンジョンを踏破していた。

毒に満ちた洞穴、灼熱の火山、深い森、極寒の雪原、そして、乾いた砂漠。

「――思えば、随分と、色んな場所を、潜ってきたものだな」

俺は、城の宝物庫に並べられた、数々の戦利品を眺めながら、静かに呟いた。

そこには、九つの恩寵武具と、五つの神の恩恵書が、静かに、その輝きを放っていた。

「――まずは、装備の割り振りを、決めよう」

俺の号令に、皆が、それぞれの新たな得物へと、手を伸ばした。

「――この鎧、随分と、軽いな」

俺は、新調した鎧を纏いながら、静かに、その感触を確かめた。硬度は以前の比ではないというのに、動きを一切阻害しない、絶妙な仕上がりだった。

「――ルピン、こっちの棍と盾、お前に合うと思う」

「――お、こいつは……! 受け止めた瞬間、力が返ってくる感じがするな」

ルピンが、新たな棍を構え、静かに、その手応えを確かめた。

「ガーディアンの名に、恥じぬ得物、というわけか」

「――ノノ、メメも、それぞれ、これを」

「――わ、綺麗な、法衣……!」

ノノが、纏った瞬間、僅かに、驚いたように目を見開いた。

「――魔力の、巡りが、全然違う……!」

メメもまた、静かに、自分の纏う法衣を見つめながら、その温かな加護を、確かに感じ取っていた。

「べべ、これを」

「――この鱗衣、我の氷の理と、よく馴染む」

べべは、静かに、満足げに頷いた。

装備を整えた後、俺たちは、五つの神の恩恵書を、それぞれ手に取った。

淡い光が、一人一人を、静かに包み込んでいく。

『――スキル『槍聖』を取得しました』

「――槍聖……。これは」

俺は、静かに、自らの手を見つめた。以前とは、比較にならないほどの、確かな手応えが、そこにあった。

『――スキル『魔物使い』を取得しました』

続けて、もう一つの恩恵が、静かに、俺の中に流れ込んでくる。

「――使役できる範囲が、随分と、広がったようだな」

「――『超級攻撃魔法』……! それに、『二重詠唱』……!」

ノノが、興奮気味に、自分の掌を見つめていた。

「――二つの魔法を、同時に、放てるってこと……!? すごい……!」

「――私は、『慈愛の女神』……」

メメは、静かに、その名を、噛み締めるように呟いた。

「――皆さんを、もっと、しっかり、支えられる、力……」

「――我には、『不倒』、か」

べべが、静かに、その効果を確かめるように、目を閉じた。

「――一度だけ、致命の一撃を、凌げる、というわけだな。……悪くない」

そして、最後に――リアーナが、静かに、恩恵書を手に取った。

淡い光が、彼女を包み込む。

だが。

「――……あら」

リアーナは、静かに、首を傾げた。

「――何も、感じないわね」

「――どういうことだ」

俺は、静かに、鑑定を発動させた。

『――スキル取得。詳細不明』

「――鑑定でも、見えない、だと……?」

俺は、思わず、目を見開いた。

「――ふふ、面白いじゃない」

リアーナは、静かに、不敵に笑った。

「――何が起きるか、分からない。……真祖の私にすら、底知れぬ力、ということかしら」

その言葉には、不安よりも、むしろ、確かな余裕が滲んでいた。

「――まあ、いざという時に、分かることもあるでしょう」

「――そうだな」

俺は、静かに、頷いた。

(――何が眠っているのか、想像もつかない……。だが、リアーナのことだ、きっと)

その底知れなさもまた、彼女らしい、と、俺は、静かに思った。

装備と、新たな力を得た俺たちは、改めて、互いの姿を見渡した。

「――随分と、頼もしい面構えに、なったものだな」

ルピンが、豪快に笑いながら、そう言った。

「――ここまで、来られたのも」

俺は、静かに、皆の顔を見渡した。

かつて、たった一人、洞窟に籠っていた自分。あの日から、どれほどの旅路を経て、どれほど多くの仲間と、共に歩んできたことか。

「――皆のおかげだ。……ありがとう」

俺の言葉に、皆が、それぞれ、静かに、しかし、確かな笑みを浮かべた。

「――最後に、皆の力、しかと、確認しておこう」

俺は、静かに、『鑑定』を発動させ、一人一人の姿を、丁寧に見つめていった。

ディア

種族:グレーターデーモン

武器:恩寵武具『ストレンジスピア(嘆きの槍)』

防具:恩寵武具『鏡花の(きょうかのよろい)

スキル:勇者、スリップ、仕掛け(罠)、槍聖、魔物使い、鑑定、耐熱耐性、飛行、悪魔支配

「――こうして並べると、随分と、詰め込んだものだな」

ルピン

種族:オークジェネラル

武器:恩寵武具『守護の戦棍(しゅごのせんこん)

防具:恩寵武具『不壊の大盾(ふえのたいじゅん)

スキル:怪力、自己回復、統率、上級棒術、盾術、耐熱耐性、ガーディアン

「――守護に、不壊、か。……俺らしい、名だな」

ルピンが、満足げに、自分の得物を見つめた。

「――棒術も、いつの間にか、上級まで、育ってたんだな」

ノノ

種族:ハイサキュバス

武器:恩寵武具『宵闇の(よいやみのゆみ)

防具:恩寵武具『深淵の法衣(しんえんのほうい)

スキル:魔術師、瞬足、弓術、超級攻撃魔法(黒炎槍・黒流岩・黒雷雲)、二重詠唱

「――深淵、かぁ。……なんか、格好いいじゃない」

ノノが、袖を翻しながら、嬉しそうに笑った。

メメ

種族:ハイサキュバス

武器:恩寵武具『夢喰いの(ゆめくいのおうぎ)

防具:恩寵武具『慈愛の法衣(じあいのほうい)

スキル:回避、察知、扇術、慈愛の女神(身体能力向上・癒しの風・清心の光・聖域展開)

「――慈愛、ですか……。皆さんを、支えられるように、頑張ります」

べべ

種族:氷龍

防具:恩寵武具『不倒の鱗衣(ふとうのりんい)

スキル:氷雪の理、攻撃魔法、飛行、瞬足、不倒

「――不倒の鱗衣、か。……この身に、相応しい」

べべは、静かに、その名を確かめるように、鱗衣に触れた。デェソンから受け継いだものは、あくまで、族長という"座"のみ。この一つ一つの力は、全て、自らの旅路の中で、積み上げてきたものだった。

「――我の力は、我自身のもの、か。……悪くない響きだ」

リアーナ

種族:ヴァンパイア(真祖)

スキル:予知、眷属化、超級体術、超級攻撃魔法、参謀、回避、???(未鑑定)

「――やっぱり、私のは、一つだけ、分からないのね」

リアーナは、静かに、自分の掌を見つめた。

「――でも、なんだか……」

その声には、僅かな、戸惑いが滲んでいた。

「――力が、内側から、満ちていくような……。それに、妙な、全能感のようなものも、感じるわ」

「――大丈夫か?」

俺が、静かに問うと、リアーナは、静かに、しかし穏やかに、微笑んだ。

「――ええ、悪い感覚じゃないの。……ただ、少し、自分が、自分でなくなるような、不思議な、心地」

「――……無理はするな」

「――ふふ、心配性ね。……大丈夫よ」

リアーナは、静かに、いつもの涼やかな笑みを浮かべた。だが、その瞳の奥には、まだ、彼女自身にも、正体の分からぬ何かが、確かに、静かに宿り始めていた。

俺は、静かに、その一覧を、胸に刻み込んだ。

(――皆、それぞれの形で、確かに、強くなった)

「――さて」

俺は、静かに、宝物庫の窓から、遠く、西の空を見つめた。

ガステンダーの言葉が、静かに、脳裏を過る。

――近年、天使の暴走が、増えている。

(――積み上げてきた、この力。……いずれ、必ず、必要になる時が、来る)

その予感を、俺は、静かに、しかし確かに、胸の奥に、刻み込んだ。

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