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【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
西大陸と神々の正体

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第51話 南方開拓と『民』

魔王城への報告を終えた数日後、俺は改めて、人族の国――王都跡地の復興が進む地を訪れていた。


「――よく、来たな、ディア殿」


ゴウロウは、復興作業の陣頭指揮の合間を縫って、俺を出迎えてくれた。その表情には、隠しきれない疲労が滲んでいたが、瞳には、確かな覚悟が宿っていた。


「――お忙しいところ、申し訳ない」


「――構わん。……して、今日は、何用か」


俺は、静かに、本題を切り出した。


「――南の未開の地に、新たな街を築こうと思っている。……人族、魔族、亜人が、共に暮らす街だ」


「――共存の、街、か」


ゴウロウは、静かに、興味深げに、俺を見つめた。


「――そこで、力を貸してもらえる、人族の希望者を、募りたい。……ただ、これは、あくまで、ゴウロウ殿を通しての、お願いだ」


「――ほう」


「――こちらから、直接、貴殿の部下に声をかけるのは、道理に反する。……人選は、ゴウロウ殿に、委ねたい」


その言葉に、ゴウロウは、僅かに、目を細めた。


「――律儀な、男だな」


「――当然のことだ」


ゴウロウは、暫し、考え込んだ後、静かに口を開いた。


「――なら、一人、心当たりがある」



数日後、ゴウロウに呼び出され、俺は改めて、王都跡地を訪れていた。


そこで待っていたのは、まだ若い、しかしどこか、鋭さを内に秘めた騎士――第二神殿騎士団長、ハクロウだった。


「――久しいな、悪魔よ」


ハクロウは、静かに、複雑な表情を浮かべていた。


「――……蘇生術で、戻ってきたのか」


俺の言葉に、ハクロウは、静かに頷いた。


「――左様。あの日、貴殿らに敗れ、命を落とした。……だが、蘇生の理により、こうして、再び、剣を振るえる身に戻れた。ただし、以前の力には、まだ、遠く及ばぬ。デスペナルティの影響が、色濃く残っておる」


その声には、隠しきれない、悔しさが滲んでいた。


「――ゴウロウ殿から、話は、聞いておる」


ハクロウは、静かに続けた。


「――南の未開の地に、共存の街を、築く、と」


「――ああ」


「――正直、貴殿らを、憎まぬと言えば、嘘になる」


その声には、複雑な感情が、渦巻いていた。


「――だが」


彼は、静かに、拳を開いた。


「――このまま、燻り続けるくらいなら……。一度、外の世界で、己を鍛え直すのも、一興かもしれん。……ゴウロウ殿からも、良い経験になるだろう、と、背中を押された」


「――ゴウロウ殿が」


「――ああ。……あの御方らしい、判断だ」


ハクロウは、静かに、しかし確かな決意を込めて、頷いた。


「――行こう。……希望する者も、募ってみる」


こうして、第二神殿騎士団の一部と、志願した人族の民が、ゴウロウの計らいの下、モチガイアへの移住を、決意することとなった。



続いて、俺はライオネル王国――タラボーヤの元を訪れた。


「――良いだろう」


タラボーヤは、二つ返事で頷いた。


「――希望者を、募るといい。……東は、寒暖差が激しく、乾燥した大地だ。……西の、特に、火山近くとなれば、適した種族が、手を挙げるだろうよ」


こうして、ドワーフをはじめとした、火山地帯の環境に適した亜人たちが、名乗りを上げることとなった。


「――こいつぁ、良い土地だ。腕が鳴るぜ」


髭を撫でながら、豪快に笑うドワーフの棟梁の姿に、俺は、静かに、確かな手応えを感じていた。



魔王国側からも、俺は、適した種族に、声をかけて回った。


「――火山近くの土地、か。……我らにとっては、まさに、故郷のような環境だな」


炎を纏う体を持つ、サラマンダー族の長が、静かに笑った。


「――喜んで、参ろう」


さらに、力仕事や採掘に長けた、ゴーレム族の一団も、名乗りを上げた。


「――我らの、力を、存分に振るえる場所と、聞いた。……ぜひ、加えてほしい」


「――頼む」


俺は、静かに、その申し出を受け入れた。



さらに、俺は、地質調査の報告を受け、思わぬ発見に、静かに目を見開いていた。


「――火山の麓に、ダンジョンが、あります。……そこから、豊富な鉱石が、採れることが、確認されました」


技術者の報告に、俺は、静かに頷いた。


「――ドワーフたちにとっては、願ってもない環境だな」


先に合流を決めていたドワーフたちも、この報せを聞き、一層、意気込みを強めていった。



最後に、俺は、南の火山――モーチの元を、改めて訪れた。


「――モーチ。……近々、この付近に、集落を作っていこうと思う」


「――ほう」


モーチは、静かに、興味深げに、俺を見つめた。


「――もしよければ、モーチも、そこで暮らし、皆を、導いてほしい」


俺の申し出に、モーチは、暫し、目を閉じた。


「――……よかろう」


その声には、静かな、しかし確かな決意が宿っていた。


「――他種族との協力体制は、まさに、アルカナに、足りなかったものだ。……ゆえに、あの戦は、敗れた」


モーチは、静かに、続けた。


「――なぜ、アルカナが、その考えに至ったのか。……この目で、確かめてみよう」


その言葉に、俺は、静かに、深く頷いた。


「――頼む、モーチ」


こうして、火山と海に挟まれた土地に、人族、魔族、そして様々な亜人が集う、新たな街――モチガイアの、建設が始まることとなった。

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