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【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
魔王国で勤務開始、目指せ魔王!!

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第31話 地下の牙と『奇襲』

その頃、男爵領の地下――誰にも知られていなかったはずのトンネルの奥で、静かな異変が起きていた。

「――なんだ、この揺れは……!」

守備にあたっていた魔族の兵が、足元の異常に気づいた時には、既に遅かった。

――ドゴォォォンッ!!

地面が爆ぜ、無数の穴が一斉に開いた。

「第一神殿騎士団、突撃――!!」

数年をかけて掘り進められた地下トンネルから、完全武装の騎士たちが、堰を切ったように溢れ出した。

その先頭に立つのは、白髪の巨躯の老将――統括神殿騎士団長、剣聖ゴウロウその人だった。

「――まさか、自ら、先陣を切るとはな……!」

守護・事務部門を率いるデルポポが、報告を受けて即座に駆けつけた頃には、既に複数の拠点が制圧されかけていた。

「――侮っていたつもりはなかったが、これほど大規模な仕掛けだったとは…」

デルポポは、眼鏡の奥で目を細めながら、冷静に指示を飛ばした。

「防衛ラインを、第二陣まで下げよ。……無理に食い止めようとするな」

「デルポポ様、あちらの拠点が――!」

「くっ……! 分かっている!」

同じ頃、ノノとメメも、デルポポ隊の後方支援として戦場に立っていた。

「『黒雷雲』――!」

ノノの雷撃が、突入してきた騎士の一角を打ち払う。

「メメ、バフを!」

「――『身体能力向上』!」

淡い光が、周囲の魔族兵を包む。

「これだけの数、想定より遥かに多い……!」

ノノが、額に汗を滲ませながら唸った。

「デルポポ様も、前線に出ずっぱりで……」

メメが、心配そうに指揮官の背中を見つめる。

デルポポは、自ら剣を取り、押し寄せる騎士たちと切り結んでいた。

「――全知の王、その本領、見せてもらおうか」

デルポポの操る攻撃魔法は、魔族トップクラスと称されるだけあって、凄まじい精度と威力を誇っていた。

「――ぐああッ!」

一撃で、数名の騎士が同時に打ち払われる。

だが、そこへ、ゴウロウ自身が、静かに歩み出た。

「――全知の王、か。悪くない…」

「――統括神殿騎士団長、剣聖ゴウロウ……! 自ら出張るとは」

「我が国の命運がかかった戦だ。……座して待つ理由もあるまい」

ゴウロウが、静かに剣を抜いた。

「――これでも、少々、腕には覚えがある」

「な……!」

一合も交えぬうちに、デルポポの魔術障壁が、まるで存在しないかのように断ち斬られた。

「デルポポ様、後ろです――!」

ノノの叫びに、デルポポが振り返った、その一瞬。

「――ぐっ……!」

ゴウロウの放った一閃が、デルポポの脇腹を深々と切り裂いた。

「デルポポ様――!!」

メメの悲鳴が、戦場に響き渡った。

「――くく。全知の王とやらも、この程度か」

ゴウロウは、静かに剣を収めながら呟いた。

「――だが、随分と粘る国だ。今日のところは、この戦果で十分としよう」

そう言い残し、ゴウロウは悠然と踵を返した。

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