表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】最弱インプ、勇者を事故死させてスキルを強奪してしまう~成り上がり魔王譚~  作者: 下総山中
魔王国で勤務開始、目指せ魔王!!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/67

第27話 暗黒龍と『魔槍』

隠し階段を下りた先、俺たちは二つの空間を見つけた。

一つは、金銀財宝が眠る宝物殿。もう一つは、大きく封印された、謎の扉だった。

「――この扉、なんだ」

俺が近づくと、リアーナが眉をひそめた。

「……分からん。私の知る封印術とは、まるで違う理を纏っている」

扉の表面には、複雑な紋様が刻まれ、微かな脈動を繰り返している。どこか、見覚えのあるような、ないような、奇妙な既視感があった。

「情報だけ持ち帰ろう。……模写しておく」

俺は、扉に刻まれた紋様を、丹念に書き写した。

宝物殿の奥へと進むと、そこには、山と積まれた金銀財宝と共に、一振りの槍が静かに横たわっていた。

「――これは」

俺は鑑定を発動させた。

『――ストレンジスピア。神殺しの槍。使用者の熟練度に応じて、その真価を発揮する』

「神殺し……」

その名に、その場の全員が息を呑んだ。

俺が手を伸ばし、槍の柄に触れた瞬間――

――ザワリ、と脳内に、直接語りかける声が響いた。

『――ようやく、か』

「な……!?」

『我が主、アルカナは、既に事切れたようだな。……長い、眠りであった』

「――お前は」

『我は、この槍に宿りし意思。……主を失って久しいが、丁重に弔われたこと、感謝する』

槍から伝わる意思は、静かに続けた。

『次なる主を、探していた。……お主の魂の波長、アルカナのそれに、よく似ている。デーモンロード――彼の者が至った境地に、お主もまた至るであろう』

「……俺を、次の主に選ぶ、と?」

『左様。この槍は、使い手の熟練度に応じて、その力を開放する。……今のお主では、まだ持て余すだろうがな』

「――構わない。俺は、これまでも、地道に積み上げてきた身だ」

俺の言葉に、槍から伝わる意思が、微かに笑ったような気配がした。

『――良い返答だ』

その時、財宝の山の奥から、重い足音が響いた。

「――何か、来る……!」

メメの『察知』が反応する。

姿を現したのは、腐り果てた鱗を纏う、巨大な竜の骸――暗黒龍のゾンビだった。

「――こんな場所にまで、守護者がいたか」

俺は、手にしたばかりのストレンジスピアを構えた。

「グ、ォォォオオオッ……!」

咆哮と共に、暗黒龍のゾンビが襲いかかってくる。

「散開しろ!」

俺たちは即座に散り、それぞれの得物で応戦した。

「『黒雷雲』――!」

ノノの新術式が炸裂し、竜の巨躯に電撃が走る。

「メメ、バフを!」

「――『身体能力向上』!」

「アレン、ユート、カリナ! 側面から!」

眷属となった三人も、的確な連携で援護に加わる。

「ハアッ!」

俺は槍を振るうも、まだ持て余す新たな得物に、僅かな違和感を覚えていた。

(――まだ、この槍の真価を引き出せていない)

だが、それでも、これまでの経験が、着実に暗黒龍のゾンビを追い詰めていった。

「――今だ! 封印の呪符を!」

リアーナの号令に、俺は懐から、常世の塔で手に入れた呪符を取り出した。

『――封印の呪符、発動』

呪符が、暗黒龍のゾンビの膨大な魔素を、みるみるうちに吸い込んでいく。

「グ、ル、ゥ……」

動きを大きく鈍らせた暗黒龍のゾンビへ、全員の攻撃が一斉に叩き込まれた。

――ドガァァァンッ!!

竜の骸が、ゆっくりと崩れ落ち、静寂が戻る。

「――終わった、か」

俺は、魔素を吸い込んで重くなった呪符を、丁寧に懐へとしまった。

「これは、いつか役に立つ時が来るだろう」

戦いの後、ノノとメメが、改めてあの封印の扉を見つめていた。

「――この文字、見たことある……」

ノノが、ぽつりと呟いた。

「メメも?」

「はい……。確か、常世の塔で見た、あの模様に……似てる、気がします」

「――我にも、覚えがある」

べべが、静かに口を挟んだ。

「かの塔の随所に、確かに似たような紋様があった」

俺は、静かに考えを巡らせた。

「――なら、答えを知っているのは」

「ナアマ、か」

リアーナが、静かに頷いた。

「あの天使に、聞きに行く価値はありそうだな」

「――ここから、常世の塔までは、かなりの距離がある。……幸い、こいつがある」

俺は懐から、常世の塔の宝物殿で拾って以来、使い道のなかった『移動のオーブ』を取り出した。

「一度きりの使い捨てらしいが……。ここで使わない理由もないな」

俺がオーブに魔力を込めると、淡い光が全員を包み込んだ。

――パリンッ。

オーブが、役目を終えたように音を立てて砕け散る。

視界が切り替わった瞬間、俺たちは、見覚えのある塔の前に立っていた。

「――着いた、か。……便利なものだったな」

「ああ。……もう使えないのが、少し惜しいくらいだ」

こうして、俺たちの旅は、常世の塔――誘惑の天使ナアマの元へと、続くことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ