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『剣なし部隊の英雄譚―――無敗の剣士ですが、自分では平凡な剣士だと思っています。』  作者: 檜浅利
第一章

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九話『強いカード』


「――オレからも一つ、ルール追加だ」


ゴズはそう言って、手元のカードを数枚表にする。


「……一回きり、ってぇのはつまらねぇよなぁ……?」


「いや、別に俺は十分だけど」


「……ハッ!つれねぇこと言うじゃねぇか」


ゴズはエールをぐいとあおる。


「カードを引くのが一回っきりじゃあ、ただの運で決まっちまう。

……それじゃ勝負としてつまらねぇ。そういう話よ」


ジョッキを置き、テーブルに散らばったカードを数枚拾い上げる。


「―――そこで、だ。

ルールとして一回。カードのチェンジを挟む」


そう言って、手札の二枚をテーブルのカードと入れ替える。


そして並んだカードは―――


6・6・6。


「カードを交換するも自由。そのままで勝負するも自由。

……多少は“戦略性”ってもんが出んだろう?」


にやり、と口元を歪める。


「“田舎モン”向けのゲームじゃあ、お前さんだって物足りねぇだろうよ?」


ゴズはそう言って、床へ視線を落とす。

床では、さっきの子が「ぐー、ぐー」と幸せそうに寝息を立てていた。


……こいつ、そのまま転がしといた方が幸せなんじゃないか?


「……まあ、いいよ。それでやろう。」


チャンスが増えるのは良いことだしね!


「……ハッ。ゲーム成立、だな。」


ゴズは横にいたヒョロいのにカードを配るよう目配せする。


「さあ―――」


ゲーム開始だ。



◇◇◇◇◇◇


「―――おっと、失礼」


俺に配るカードが一枚、

風でめくれて表向きになる。


カードは……6。


「おいおい、しっかりしろやヒョロ!」


クックック……とゴズが笑いを漏らす。


「どうするよ?

一枚、変えてもいいぜ?」


「……いや、別にいいよ。よくあることだし。」


ゲームにはつきものだ。


(それに、一枚見えたところで何も変わんないしね!)


――――さて、


(4と1。それにさっきの6……)


見事にバラバラだ。


……うーん、微妙だな。


(とりあえず、一番強そうなのは残しておくか……)


二枚のカードを交換する。


「……ハッ。

まっそりゃぁ、強いカードは取っときてぇよなあ?」


ゴズがニヤリと笑う。


(……ただなぁ、おめぇが狙ってる“6“は、最初からオレが握ってんだわ)


ゴズは手札の二枚を、手の平に隠していた“6”とすり替える。


6のダブル。


(……オレの”6”が三枚揃うことはねぇが……)


コイツも同じだ。


(コイツが“5”を二枚引いたところで、5のダブル止まり。

対してオレは6のダブルだ)


負けはねぇな。


(床で寝てるチビ助も、コイツもまるで疑わねえ。

……とんだ甘ちゃんだぜ)


「……まあ、オレは一枚だけ替えとくか」


(特に意味はねぇが、ダブルで替えねぇのも不自然だしな)


「―――さて、

ショウダウンだ」


二人がカードを表にする。


――――そして。


「……あ、勝った」


はい、俺の勝ちぃ!!!



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