十三話『第13部隊とプチ歓迎会』
「―――えー、というわけで。
第13部隊に新しいメンバーが増えました」
部隊室には俺を含めて四人が集まっていた。
「ハク・ヒュロンです!
―――よろしくお願いしますっ!」
ハクが勢いよくお辞儀をしながら自己紹介をする。
「わぁー、ぱちぱちぃ~」
オキシーは拍手をしながら、
「わたしはオキシーですっ! 回復魔法が得意です!
ケガしたときは遠慮なくいってくださいねぇ」
と笑顔で自己紹介をする。
(完璧な第一印象だね!)
俺も見習いたいものである。うむ。
「………」
一方で、
丸メガネにサイズの合ってないローブ姿のもう一人は、
新人に一瞥もくれず本を読んでいた。
「―――フォスさんや、フォスさんや」
俺はフォスと本の間に手をひらひらと差し込む。
フォスは「はぁ……」とため息をついたあと、本を閉じる。
「……フォスフォライトだ」
仏頂面のまま、それだけ言った。
(……不合格。)
するとハクが少し戸惑ったように、
「……ふぉす、ふぉすふぉすら……」
「……フォスでいい」
(……わかる)
俺たちも最初は言いづらかったから、結局“フォス”で落ち着いた。
(……まあ)
昔はああいう風に噛むと、
――――フォ・ス・フォ・ラ・イ・トだっ!!!
って毎回言い直してた気がする。
(……フォスも成長したな…)
なんとなく、そんなことを思う。
「キミ、今、ロクなこと考えてないな?」
フォスに軽く睨まれる。
「読まれた!?」
エスパーかよ。
「……まったく。
―――しかしキミも大変だね」
そう言ってフォスはコーヒーに口をつける。
「大変……?」
ハクは不思議そうに首をかしげる。
「入隊早々、この隊長の下とはね。
……それに加えて」
フォスはそう言いながら、ちらりとオキシーを見る。
「ふんふんふ〜ん♪ 」
オキシーは鼻歌を歌いながら軽食を準備している。
……お腹すいたな。
―――ぐうぅぅぅぅ…
誰かの腹の虫が鳴った。
「……おなか、空きました……」
ハクが顔を赤らめながら、自分のお腹を押さえる。
「ちょっとまっててくださいねぇ~」
オキシーはそう言うと、手際よく準備を進める。
―――そして。
「はいっ!できましたぁ!」
紅茶とサンドイッチが、テーブルに並べられる。
「すみません、実は朝から何も食べてなくて……」
「ふふふ♪
クロノさんもお昼、食べてないですよね?
食堂で少し材料を分けてもらったので、みんなで食べましょう!」
流石オキシー。
「ありがとう、オキシー」
俺は軽く頷いてから、皆に視線を向ける。
「――じゃあ、みんなカップ持って」
「……クロノ。キミ、自分の自己紹介がまだじゃないかい?」
……あ。
(こ、これからするところだったんだよ!)
「――――えー、ゴホン」
わざとらしく咳払いを一つ。
「……というわけで、
俺が一応、この部隊の隊長のクロノ・ハルです」
三人の視線が集まる。
……こういうの、慣れないよなあ。
「今日はここにいないメンバーもいるけど、
……まあ、プチ歓迎会ってことで」
(みんなそれぞれ忙しいし、仕方ないよね!)
「じゃあ、ハクの入隊を祝って……」
――――乾杯!
カップを軽く掲げる。
「かんぱ~い♪」
「……乾杯」
「―――ありがとうございます!
これから、よろしくお願いします!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
――――翌日
「……え」
鏡の前で、ハクが固まる。
髪が、肩の長さを超えていた。
一晩で、明らかに“伸びすぎている”。
「なっ、なにコレぇえぇぇぇええぇっっっつ!!!?!??」
背後で、
パタン、とページを閉じる音。
「……やっぱり、ね」
フォスは小さく呟き、また本へ視線を落とした。
これでプロローグ完結です!
読んでいただいた方、ありがとうございます。
今書き進めている二章の文章と比べると、結構文体が変わったなあ、と思ったり思わなかったり…。
まだまだ名前しか出せていないキャラクターたちがいるので、二章ではもっと世界観の深堀りと、キャラクター性を出していくように描いているつもりです。
まだまだ書き始めたばかりですが、暫しお付き合い下さい。
本作品を覗いてくださった方、
ブックマークしてくださった方、ありがとうございます!
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