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異世界指令「転生して歴史を改変せよ」  作者: 小津敬一郎
第一章 魔女騎士ジェニーを殺害せよ
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鍛冶屋街と悪魔の工匠

 カン、カン、カン。快音が響く。鉄を打つ音だ。

 そしてこの、見事に広がる……小麦畑。冬を越す準備をしている。

 馬車を降りたところで猫が寄ってくる。この世界の猫は初めて見るな。


 やってきました、オリエステン鍛冶屋街。

 馬車を降りてから十日間は馬車利用券、使用不可か。

 どちらにせよ、観光はしていくつもりだった。


 なぜかって?俺は鉱場村出身だ。あの村で鉄鉱石を掘ったんだ。

 そして製鉄都市でその鉄鉱石は加工されて……この鍛冶屋街に送られる。

 自分が掘った鉄鉱石の最後の姿が見るチャンスがあるのだ。寄らない理由はない。


 カン、カン、カン。快音が響く街を歩く。

 街と言うより、のどかな村だ。居住区と作業場を同じにしている工匠がほとんどだ。

 まばらに住宅地と、それを包む小麦畑。そして猫。

 どこも仕事中だが、武器屋を発見した。

 武器屋。ワクワクする響きだ。


「いらっしゃい。」


 芸術品にも見える武器の数々!

 これはロングソード。隣にあるのはモーニングスター。ダガーやナイフなども。

 防具も置いてある。

 いい。凄くいい。

 値段を見ると、この小さなナイフ一本で金貨五十枚。

 クラクラする値段だ。


「この店はね、工匠たちの最高のクオリティを持つ武器しか扱ってないよ!」


 クオリティが高すぎて一般には流通しない物らしい。


「隣の武器屋は、逆だね。クオリティが低すぎて流通しない武器を置いてある。」


 なるほど、じゃあ隣の武器屋に行きます。


 隣の武器屋は……確かに安物揃いだ。

 ナイフ一本……金貨一枚。結局、買えないんだよな。


「………………。」


 何かの気配に後ろを振り向くと、木箱を担いだ、いかにも寡黙な人物。

 俺を素通りして武器屋の主人の下へ。

 恐らく自作であろう武器を木箱から一つ一つ取り出していく。

 店主は金貨を支払うと、その武器に、全品金貨百枚均一!と張り紙を。

 寡黙な人物は店を後にする。


「そんなに高くして、売れるんですか?」


 店主はニッコリと頷く。


「あの人の作る武器は、この値段でも安いくらいさ。」


 クオリティが低すぎて一般流通しない武器を扱っているのでは?と聞く。


「ああ、この武器。最悪も最悪。なんせ呪われているからね。」


 呪われている?


「あの人って言ったけど、実はあの人……人間じゃないんだ。」


 人間じゃないなら誰なんだ?


「悪魔だ。悪魔の工匠、フォルエーダ。」


 悪魔!

 なんだか、その人の事が凄く気になってきた。

 追いかけようと急いで店を出る。入れ替わりで商人らしい男が入店。


「フォルエーダ銘の武器を。ありったけ、全部だ。」


 そんなやり取りを背中で受け取る。

 凄い。一瞬で売れた。

 俺は周囲を見渡すと……さっきの人、遠くに見えた。

 急いで追いかける。すると、彼は……こちらに気付き、猛スピードで逃げ始めた。


 建物の死角に入ったのを最後に、もうその姿を見ることはなかった。

 謎に包まれた、呪われた武器を造る工匠か。


「僕に、何の用ですか?」


 不意打ち!後ろからザクッと斬られた感触を受ける。

 後ろを振り向くと……少年が。年齢は、十二歳くらい。


「フォルエーダと申します。」


 え?さっきの人物とはかけ離れている気がする。


「ああ。さっきの姿は、職人モード。今は会話モードなんだ。」


 望む姿に変身できる能力を持つ、と説明される。

 といっても、到底信じられない……いや、ここは元から異世界だ。

 とにかく、今すべき事。相手が名乗ったならば、自分も名乗らねば。


「ふうん……ヴィオス。で、本当の名前は何?」


 ………………!

 確か自分の正体に関わる発言は、現地人の前では禁句だった。


「まあ、誰にだって隠し事はあるよね。」


 そ、そうとも。

 何かを握られた感触だ。


「どこから来たんだい?」


 ウィンクスノウ鉱場村から来た、と答える。


「ふうん……で、どこから来たの?」


 フォルエーダはニヤリと笑みを浮かべる。

 これ以上はまずい。この悪魔、知っている。


「失礼します!」


 とその場を立ち去ろうとする。

 途端、ものすごい重量に押さえ込まれる。


「話の途中だよ。なんなら僕の家に来たらいい。」


 関わろうとするんじゃなかった。これは、魔法と言う奴か。


 二階建ての割りと大きい家。

 一階部分は作業場だそう。階段をのぼり、二階部分は居住スペース。

 フォルエーダはお茶を淹れ、ゆっくり話でもとふるまう。


「多分だけど、僕には教えちゃいけない隠し事でもあるのかな?」


 そうだ、言ってはいけない事が結構ある。


「じゃあ、イエスかノーで答えられる質問にするから、首で返事して。」


 禁句、ということは言葉にしてはいけないという意味で……

 なるほど、それなら抵触しなさそうだ。


「君は……異世界からやってきた。」


 首を縦に振る。

 警告音は鳴らない。


「しかも……多分、未来だね。未来からやってきた。」


 首を縦に振る。


「つまり……なるほど……そういうことか……」


 フォルエーダはしばらく考え込む。

 そして。


「アッハッハッハ!そうか、そうか!」


 大笑いしながら階段で下の階に。

 程なくして、戻ってきた。


「これをあげよう。」


 これは……革の入れ物に包まれた、ナイフ。


「暗殺するなら、それがオススメさ。」


 暗殺?やはりこのフォルエーダ、目的まで把握しているか。

 聞くと、どんなに固い物でも貫通する力が込められていると。


「これもまた奇縁。逢えてよかった。」


 馬車が使えるようになるまで、ここに泊まっても良いと。

 それは非常にありがたい。奇縁に、感謝を。

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