第十七話 情欲には抗えないもので、不謹慎極まりない脳内再生不可避の神展開
黄金の髪を靡かせた彼女を天へと還るのを見届けた。火が消えるまで、俺とニーシャはその場に留まっていた。燃えたあとから煙が上がっている。気付いたら壁にもたれる形となって俺は座って寝ていた。昨晩なのかは分からないが、流石に夜通し見続けるのは辛くなり、壁の残骸を片して、もたれていたら眠っていたようだ。
左肩に何やら違和感があった。顔を傾けて様子を見ると隣にはニーシャが俺の肩に頭を乗せていた。銀色の髪の毛から、薔薇の香水のような香りとフェロモンなのか分からないがミルキーないい匂いが鼻を刺激し、俺の心を惑わしてくる。
さ、流石にこの場でそんなこと考えるのは不謹慎だ、良くないぞっ俺!!
だけど、、
ニーシャたんが、俺の肩に!?
高校生のゲーム三昧な生活で培われたオタク精神が目覚め更に脈打たせてくる。好きな異世界シチュエーションランキングの上位に入ってきそうなこのシチュエーションに悶えてしまう。
だって、推しとなる巨乳銀髪ロングエルフ、しかも魔法も剣技も使えるプレートメイルを着用した完璧お姉さんだよ?どストライクこの上ない。そんな彼女が俺の肩に、しかも、無防備な姿で寝てるんだぞ、ぐふふ。でもニーシャたん、俺のことなんだと思ってるのかい?君のこと襲わないとでも思ってるのかい?
だがしかし、ぬう、童貞の俺にはそんな勇気もなく、ただ見惚れることしか出来ない。
くっ!殺せ!こんな、生殺しなんて辛すぎる!
そして、隣の彼女を脳内メモリーに焼き付けるべく、一切の瞬きを禁じ、寝息を立てているニーシャをジッと見る。微かに体が揺れている。プレートメイル越しだから、彼女の柔らかさや体温は伝わってはこない。
ニーシャはむにゃむにゃして、もたれた頭が更にもたれて、俺の右腕に抱きついてきた。
こ、これはぁ!?
プレートメイルの上部から見事な双丘がこれでもかと主張している。そして、かぐわしい匂いが更に刺激される。
オウ、カミヨ!ワタシのエクスカリバァーが
エキュスキャリバァーしててタイヘンデス!!
ダメガミとモウシタコト、オユルシクダサイ!!
カミヨ、キイテイマスカ?
ドゥユーアンダースタンド?
く、可愛いすぎる。やっぱり此処で死んでもいいかもしれない。ありがとう!こんな童貞に素敵なサプライズをくれて、女神に感謝!
室内は静かだった。
ニーシャは起きたのだろう。眠たそうにふああと口を開けて声を出した。その反動で俺の肩から彼女の頭が外れて、もたれかかっていた重さによって俺のエクスカリバァーに向かい顔面が落下していく。落下していく…していく…いく…。
パクっ
それは心地よい音だった。俺の脳内再生は瞬く間に不可避の映像として再生される。
夏の風物詩と言えば浴衣だろう。夏祭り、夜の露店で浴衣姿のニーシャが『あ、あれ食べたいなー』と黄色く細長い果実に、茶色い液体をふんだんに掛けた物に指を差して俺の右腕を引く。屋台にはチョコバナナと書かれており、彼女はずっとせがんでいて俺は仕方ないな…といって屋台の店主にそのデカいの頂戴という。店主はへい毎度と言って俺は小銭を渡して購入し、引き換えにチョコバナナを貰う。彼女は『やった!』と言い、俺が渡されたチョコバナナをほらあげるよと串部を手で持ってチョコバナナの先端をふりふりさせてるのを見せると、急に彼女がパクッと口で咥えて『おいしいね、このバナナ♡』と言い、唇についたチョコレートを舌でペロっと舐めた。恥ずかしくなった彼女は少し照れて、俺も照れる。そして彼女の後ろで盛大な花火がドォン!!パラパラァ…と美しくも儚く音と共に散り、そこで脳内再生は終了した。
タ、タマヤ〜、カギヤ〜!!!
オウ、カミヨ!!
ワタシはココでシヌノデショウカ!!!
コンナコトガァー、アッテモヨロシイノデショウカ! カミヨォォォオオオ!!
ニーシャは異変に気付き、モゴモゴする。
何という刺激、何と言えばいいか、、
こ、これ以上は脳内再生が追いつきません!!
そして、股間に顔を埋めた彼女の目と合わさる。彼女は少し頬を赤らめながら俺を手で突き飛ばし離れた。その際立て掛けたロングソードを手に持って俺の首元につきつける。
「違う、違う!!誤解ですって!」
俺は必死に全ての誤解を解くように、脳内にある全ての引き出しという引き出しをだして、パントマイムで彼女に伝えた。
ニーシャはロングソードを地面にザスっと突き刺して、なるほどと手で相槌を打った。
「良かった…」
しかし、また彼女は地面からロングソードを抜いて刃の部分を首元に当てる。下衆を見るような、軽蔑した目で俺を睨んだ。
「ヒッ!!」
彼女はその様子をみて、軽蔑した目が徐々に目尻が下がり冗談というのように、ロングソードをひらひらし腰に掛け納めた。
そして、でもダメだよと口元に人差し指を立てたのだった。
くう〜、ギャップ萌えって奴ですか!
ニーシャたんではなくニーシャ様になった時のまるで女王様になったあの蔑んだ顔、そして軽蔑した目に、俺は更に欲情してしまった。ああ、さっきの目も最高にいい、ありがとうございます異世界、ありがとう女神様!
するとシューっと、炭火が乾いた音が響いた。
それは女神が「知りませんよ」と言いたげに聞こえてきた。
ニーシャはくるっと向きを変えて体をほぐし始め、軽く伸びをした。
彼女は体を動かしたあと、燃えた残った物へと歩いていく。熱くないか確認するため屈んで手を翳している。大丈夫だったのか、近くに置いてあった刃物を拾い、ニーシャは切った衣服をポッケから取り出して、衣服を細く切った。少し大きめの生地と紐状になった生地に分けられたものとなった。その大きめの生地に燃え残った遺灰や遺骨を袋状に入れていく。
凄い、この人かなりライフハック出来る人だ。
きっとお嫁さんになったら、家事とか料理とか全部器用にこなしてしまうんだろうなーと、彼女がその場の始末をしているのを感心して見ていた。
ボーッとみていたが、流石に俺もばつが悪くなり手伝うことにした。近くに寄ると彼女は少し困惑していたが、笑ってうなづいてくれた。
俺と彼女は全ての遺灰と遺骨を大きめの衣服で袋詰めする。そして始めに細く切った生地を紐で括って結んだ。これで後片付けを綺麗に済ませることが出来た。
そういえば、何でニーシャとブロンドの彼女はこの洞窟にいたんだろうか?聞いてみたいが、今はよそう。もう少し時間が経ってニーシャと話せるようになってから聞いてみるか。
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