第十四話 異世界言語はミリシラで異世界人に多分意味通じてないけど何故か話が弾んで気付けば友達になってるよね的な話
目の前のニーシャに向かって俺は喋りながらジェスチャーする。
「オレハ、ニホンカラ、テンセイシタ、キッスイノニホンジンデス。トモダチカラ、ヨロシクオネガイシマス。」
身振り手振りで表現する。どうだ、俺のボディーランゲージ力は!街角で外国人から急に話しかけられて、道案内してくれと頼まれても、どうにかしてみせるこの対応力を。ふはは、今まで培ったこの営業の魅惑のランゲージは伝わった筈だろう!
ニーシャの顔は渋い顔つきに変わる。動物園の中にいる珍獣を見るような目でジッと見据えられた。
よ、よせよ、そんな変な目で見てくれるなよ。そうかニーシャはあっちの世界のことミリシラだし、日本国旗を表すように大きく体で丸を作っても分かる訳がないよな。ニーシャの目が丸くなるだけで、まあ、反応が面白いからやってしまうのだが。あ、もしかして俺のボディーランゲージの表現力がまるで役に立っていないのではなく、ニーシャがミリシラだから分かるはずもないってことじゃ?そういうことにしよう、うんそうしよう。
にしても、彼女にどう伝えれば分かってもらえるのだろうか。
「ᚵᚪᛣᛁᛏᛖᚾᚪᛁ?ᚾᚪᚾᛏᛖᛏᛏᛖᛁᚱᚢᚾᛟᚪᚾᚪᛏᚪᚺᚪ」
ニーシャは困った様子で喋りはじめた。頭をぽりぽりと指で掻いた。銀髪の髪がサワサワと揺らめき苦笑した、その顔も天使のように輝いている。
あー困った仕草も可愛い。
ああ、いかんいかん、何といっているのだろうか。彼女の声は凄く綺麗な声で、こちらを心配している。
「ᛋᛟᚱᛖᚾᛁᛋᛁᛏᛖᛗᛟᚴᛟᚾᛟᚺᚪ? ᛋᛟᚱᛖᚾᛁ, ᚪᚾᚪᛏᚪᚾᛟᛏᚢᚴᛁᛏᚪᚴᛟᛏᛟᚾᚪᛁᚥᚪ」
ニーシャは、何かをぶつぶつ呟きながら近づいてきた。
「え、、ど、ど、どうしたんですか?」
こんな美人がいきなり迫ってきたら、キョドってしまうだろ。だって万年サッカーベンチ入り営業成績下から数えた方が早くて、いつも良いところで胸が痛くて機会を逃してきたこの俺は、女っ気なんて全くない。そんな彼女も生まれてこの方、二七年間も出来たことない男だぜ?勿論、童貞に決まってるだろ。だから、こんな美人なお姉さんに急に近づかれたら、僕のハイパーギャラクティックデストロイビーストキャノンが火を噴いてしまうじゃないか。
ニーシャは俺の顔や体をまじまじ見つめてソワソワしている。近づかれた瞬間にフワッと薔薇のような香水が漂ってきた。
鼻の下が伸びてしまう。良い香りだ。ニーシャにバレないように顔を横に振り真面目な顔つきに戻る。なんで、近づいてきたんだ一体?も、もしかして俺に気があるのか?
一度は思う、優しくされたから、話しかけられたからという社会的な交流を童貞特有の勘違いにより、個人に向けられた好意として受け取ってしまう、アレである。
今のニーシャはこの世界にはないものを見て好奇な目で興味を示していただけのことであった。
ニーシャは珍妙な目つきでスーツを触り、ビヨンビヨンと生地を伸ばして確かめている。
「……ᚴᛟᚱᛖᚺᚪ? 」
「あ…っちょ、そ、そんなところ…」
く、不意に服を触られた拍子に彼女の白い細い指が胴体に当たる。なんだよ、この焦らしプレイはよお。
それにニーシャが屈んだ体勢はエロかった。ニーシャが着用するプレートメイルは胸上部の肌が露出しており、上から見る景色は、その豊満な胸の谷間がぷるんと揺れているのが見えた。おっと、それは流石にまずい、おっぱいがぼいんぼいんしてます。えらいこっちゃやで、わわわ。視線がたわわに揺れてるメロンに釘付けになってしまう。
童貞には、余りにも刺激が強すぎるぜ、今にもハイパーギャラクティックデストロ…ふ、二度も言うまい、分かるだろナニが暴発しそうになってるてことさ。
ニーシャがふいに顔を上げた。
俺が胸を見ていた視線とニーシャの視線が交差する。数秒、時が止まったようだった。断固として胸は見てないと意思表示するため顔を上げ目線を外す。
耳に熱が籠る、きっと赤くなっているだろう。
「……?」
ニーシャは何やらクスクス笑い出した。な、何だ!バレたっていうのか、それとも何か?余りにも童貞すぎて、童貞の香りに気でも狂ってしまったとでもいうのか、この魔性のエルフめ!
クソう、揚げ足取られた挙句に後ろ指刺される思いだ。そうだ、共通の話題だ。それさえあればきっと、何か通じ合えるはずだ。
んー、あ、そうださっきの魔物だ。邪鬼の話をしよう。
俺は話した。
「サッキノネエサン、ズバットマモノキッテテ、マジカッコヨカッタッス!」
パントマイムのように切られた邪鬼を真似してニーシャが持ってるロングソードを指差して、首を刎ねた真似をする。
ニーシャは口を開く。
「ᛁᛏᛖᚪᚾᚪᛏᚪᚵᚪᚾᛟᚥᛟᛏᛏᛖᚱᚢᚾᛟ?
ᛋᛟᚱᛖᚾᛁ, ᚪᚾᚪᛏᚪᛏᚪᚴᛟᛏᛟᛗᛟᚾᚪᛁᛞᚪᚥᚪ」
ニーシャは、分かってくれたのかうなづいて手でポンと手で相槌してくれた。
この人が知的好奇心の塊で良かったと改めて心の中で思った。
「そう!それ!!マモノだよ、邪鬼!!」
つ、伝わった!察してくれたのか理解してくれたようだ、嬉しい。
俺のボディーランゲージは世界、いや異世界まで通用したぞ!
言語の壁を超えた歓喜が脳内でドーパミンが流れ、強烈な喜びとなった。
だけどまだ完全な意思疎通までには壁はまだ分厚い。うーむ、しかしちゃんとした会話がしたい。やはりこの世界の言語を学ぶべきだろう。大丈夫、営業課で頑張るために一応、英検取っておいたんだ。まあ、3級なんだけどね。
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