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謎の臓物スキルは俺に適正だった模様   作者: 未来が見えない
野外生活編

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第十二話 君の臓物はなあに?

 1体と1人の男は泉の外周を陸上競技場の選手のように、姿勢正しく走り回っているが、距離は一向に縮まっていなかった。


 運動会で掛けられる有名な曲、『天国と地獄』が流れてきそうな局面だ。


 忙しなく、腕を振って走る両者。オスッシーには腕は生えていないが。


 水面から照り返す光がシルエットを浮き彫りにする。つらら石に滴る水滴に二つの影が映り込む。洞窟内で走る二つの影は、やがて水面の光で反射し、さながらスポットライトを当てた舞台演者のようだ。


 限界が近づいている。胃酸が沸き立ち、胃を締め付けてくる。


 俺の目的は眼前のオスッシーそのものだ。

 食べたい、只々食べたい、食欲という元来からある人間が持っている欲求を強く刺激されている。

 血眼になって、その豊満な大トロが揺れる度、涎が出てきてしまう。


 されども追いつけない、かなりの速さで走ってるというのに。だが、それはオスッシーも同様のようだ。奴には顔はないし焦りというものがあるかも分からない、だが、屈強な筋肉を躍動させている足は何処となく汗と、痙攣のような素振りを見せていた。


 あいつ、もしや走りすぎて脱水してるのでは?このまま長距離をひたすらに走り続ければ奴は倒れるはず。というか、あいつにも脱水とか疲れとかあるんだな。



 ドドドドッ!

 ダダダダッ!


 泉を囲んだトラックを走り回る二つの光。水面に反射する影はまるで青春の1ページのようだ。


 幻想的な空間で巨大な寿司に足が生えた魔物とスーツがボロボロに破けた営業社員が追いかけっこをしている。


 まるで大活劇のような茶番に見えるが、

 生きるか死ぬかの防衛線で戦っているのだ。


 見ろよあれ、惜しげもなくシャリを振り散らすオスッシーを!あいつも必死なんだ、分かるよ背後に鬼気迫るような顔で追いかけられちゃあそうなるよな。


 追いかけること、何時間経ったのだろうか、それともそんなに経ってないのだろうか。


 そんな時、転機は訪れた。

 オスッシーがコケたのだ。

 どうやら、こむら返りをしたらしい。倒れたオスッシーの寿司部分は形状を保ったまま、足だけピンと両足を痙攣させている。いや、どういう状況よ、ただの変態じゃねえか。


 追いついた俺は、足が生えている部位をなるべく見ないようにして、大トロに齧り付いた。


「う、うまい!まるで牛肉の霜降り肉のような芳醇な脂、ジュワッとタンパク質の肉質な旨みが滲み出る。そして、真綿のような優しく舌でとろけて落ちていく、元の世界の大トロより美味いぞおおおぉ!!」


 シャリと合わせて大トロを食べてみる、頭の中で何かが弾ける。甘味と酢で締まった米が、濃厚な大トロの味わいに奇跡のハーモニーを起こしていた。


「……うわっ、ひとくち食べた瞬間、シャリの酸味がラストスパートのドーパミンが出て脳を直撃したわ! ネタの旨味がまるで自己ベスト更新の瞬間みたいに、一気に全身の血管を駆け巡るでぇ……!脚が勝手に前に出る!心拍数がマッハで跳ね上がる!フルマラソンのゴールテープを華麗に切り裂く、栄光のフィニッシュ寿司や〜!」


 あ、あかん、俺の中のイマジナリー彦摩◯が炸裂してしまう。食べ進めていくが中身は何も入っておらず、本物の寿司であった。


 そして、その後も彦摩◯節を炸裂させながら、寿司部分を食していく。オスッシーの両足はピンと痙攣したままだった。


 ◇


 オスッシーを食したあと、足と繋がった皿が残ってしまった。寿司の可食部の中にどうやら小皿がありそこから足が生えていたのだ。


 小皿と足になったオスッシーは、恥ずかしそうに泉の中に潜って行った。どんな魔物だよ。

「また、違うネタ持ってこいよー」

 俺はオスッシーに手を振り、潜っていくオスッシーを見届けた。ふう、お腹いっぱいだ。あんな魔物ばっかりなら、この異世界も楽しいんだがな。


 さてと、そういえば、今まで魔物の名前やらスキルを使用した時に見えていた名称。それらは魔素が浮かび上がって見えていた。こっちにきた時は俺の情報は見えてなかったが、今の俺なら何かしら見えてもおかしくはないよな?試してみるか、自身の体を深く観察していく。

 どうやら、今までは見えてこなかった情報が目が慣れたせいなのか見えるようになっていた。文字が魔素で俺の前に浮かび上がる。スキルは《臓物》と表示されていた。


 内容は『五臓六腑が強化される』あとは、『蟇セ雎。縺ョ莠碑∮蜈ュ閻代r謫堺ス懊☆繧、13逾樒視縺ョ萓昜サ」縺ィ縺ェ繧玖∮迚ゥ繧剃セ帷黄縺ィ謐ァ縺定?霄ォ縺ォ逾槭?蜉帙r螳ソ縺』というように文字化けして何が書かれているか分からない。


 臓物?臓物スキルってことか、なんだぁそれは?五臓六腑が強化される。まあ、何となく分かっていたが、にしても文字化けの所、なんて書いてあるんだ?13て文字だけ読めるが何を意味してるんだ一体?


 それに加えて、権能という言葉も浮かび上がっていた。【猫の目】というものだ。内容は履行状態の観測というものだ。んー、ちっと難しい内容のようだが、俺が今使ってる透視が猫の目ということなんだろう。対象を見透かして、何の能力かが分かるってことだろうなきっと。スキルではないことから誰しもが、相手の素性やスキルを確認できる訳では無いみたいだ。俺にしか出来ない能力てことだろう。


ここまで、お読み下さりありがとうございます。評価して下さるととても嬉しいです!

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