96 笑顔の旅立ち
俺たちはノルン様の神殿で祈りを捧げていたはずだったが、気づけば日本の超高級タワーマンションの最上階で、創造神ノルン様と女神エリシア様を囲んで優雅なお茶会を楽しんでいた。
俺とタピオカくんから身体が分離したセリーナとサクラリアは、隣のリビングでメイドのリーンベル様に付き添われ、タブレット端末に興味津々で張り付いている。
テーブルに残された俺とタピオカくんは、引き続きノルン様たちと向き合っていた。
元々俺たちが口にする言葉は自動的にあの世界の言語へと翻訳されていたが、ここからは会話がノルン様は「日本語」へと切り替わっていた。これからの対話はセリーナたちに聞かせない方がいいと配慮して判断してくれたのだ。
まず俺はずっと胸の中の一番の疑問を、目の前に座るノルン様へと投げかけた。
「……ノルン様にお聞きしたいのですが。なぜエメラルダさんの願いを叶えるために、ワタシをあなたの世界へ招き入れたのですか?」
「あ〜、それね! 実は私、あの時あの場にいたのよ。奥の個室で稲荷さんと一緒にお酒を飲んでいたの」
「稲荷……様? あの、出張先の神社にいらっしゃった巫女さんの……?」
「ええ。あの日ね、すでに現世の日本へ転生していたエメラルダが今世で2歳でなっていてね。ご両親がそんな彼女を連れて、日本の稲荷神社へ健康祈願のお参りに来ていたのよ。それでね、現世の彼女の心に残っていた『前世のエメラルダ』としてのセリーナへの強い想いが、消滅する直前に稲荷さんの本物の神社へと迷い込んだの」
あまりにも現実離れしたファンタジーな経緯だったが、すでに別の世界と関わり、怪奇現象を何度も体験してきた俺たちには、今更驚くような展開でもなかった。俺は続けて尋ねる。
「では……なぜワタシがあの本物の稲荷神社へと足を踏み入れることができたのですか?」
「それは単に、あなたとエメラルダの『魂の波長』がすごく似ていたからよ。だから神社にいたエメラルダの想いに引き寄せられたの。それでね、偶然にもあなたがその日に『セレアグ』をプレイする予定だったでしょう? まさかこんな偶然があるなんて私たちも思わなかったわ。だから、愛する娘のセリーナの幸せを強く願うエメラルダの願いを叶えてあげようかな〜って……当時、少し酔っ払っていた私と稲荷さんの気まぐれで決まったことなのよね……」
「な、なるほど……。だからワタシはあの日『セレアグ』にログインする際、そのままノルン様の世界へと引き込まれたのですね」
「ええ。本当は最初からすぐにあなたへ状況を説明するつもりだったのだけれど……私の神殿の空間位置が、現実の私の現在地と同期しているせいで、セリーナの家からすごく離れていたでしょう? でも稲荷さんが言っていた通り、あなたは私が直接説明しなくても、自分から進んでセリーナのために必死になって動き出してくれたわね」
「そうだったのですね……。だから神殿へ向かうクエストが、いつの間にか消滅していたのですか」
「そういうこと!」
(……簡単に言えば、酔っ払ったノルン様と稲荷様が、偶然『セレアグ』で遊ぼうとしていた俺を神社へと引き寄せ、気まぐれでエメラルダさんの願いを叶えさせようと……俺にそれを丸投げした)
隣にいたタピオカくんも、呆れたような、どこか哀れむような視線を俺に向けてきた。『ツッコんだら負けだよ』と目線で訴えかけているようだ。
だが、ラノベの神隠しのようにセリーナの元へ直接召喚されるのではなく、自分の意思で自由にログイン・ログアウトができる憑依という形態を取ってくれたこと、さらには使い慣れたゲームシステムまで用意してくれたことには感謝しきれない。
結果としてセリーナたちと出会い、あの世界で過ごした数ヶ月間は、俺の人生においてかけがえのない最高の時間となったのだから。
ここで今度は、タピオカくんが礼儀正しくノルン様に向き直った。
『あの、ノルン様。私からも一つお伺いしたいことがございます』
「なにかしら?」
『どうして、リアル……私たちの世界には、ノルン様の世界と酷似したゲーム『セレスティアル・アグリーメント』が存在しているのでしょうか? それに、あなたの世界の時系列は、ゲームの『セレアグ』よりも前の時間のように感じます』
「ああ、そのことね!」
ノルン様はなぜか胸元から上品なカードケースを取り出し、俺たちに一枚ずつ名刺を手渡してきた。
それを受け取って記載された文字を目にした瞬間、俺とタピオカくんはこの日一番の衝撃を受けることになった。
なんと、名刺の肩書きには——『星宮乃瑠羽:セレスティアル・アグリーメント メインシナリオディレクター』と鮮明に印刷されていたのだ!!
「え……? えええ……!?」
『これは一体……!?』
ノルン様はどこか自慢気な笑みを浮かべ、胸を張って言い放った。
「『セレアグ』のメインシナリオは私が担当しているのよ! プロットも執筆も全部私! だから、あの世界をそのまま現実として構築したの!」
彼女にとっては他愛もない創造の一つなのかもしれないが、スケールがあまりにも規格外すぎて、俺とタピオカくんは開いた口が塞がらないまま固まってしまった。
すると、隣で深々と溜め息を吐いたエリシア様が口を挟んできた。
「はぁ……そうなんですよ。お姉ちゃんが勝手にまた新しい世界を創っちゃうから、管理させられる私たち6人姉妹は溜まったものじゃないんです……」
エリシア様がジト目で睨みつけると、ノルン様は「てへっ」とお茶目に首を傾げて誤魔化していた。
そのやり取りを見届け、俺はもうひとつ気になっていたことを彼女に聞いた。
「では……どうして別世界線のゼノヴィウスが現れたのですか? 『セレアグ』のシナリオ通りであれば、現在の時間軸に未来の彼の魂が現れるはずはありません。もしかして、ノルン様の世界は頻繁にリセットが行われているのですか? あるいは、ワタシたちがセリーナの未来を変えたことも、一つの世界線に過ぎないのでしょうか」
「いいえ、私はあの世界のことが大好きだから、リセットなんて絶対にしないわよ。そんなことをしたら、あなたたちが積み重ねてきた努力が無駄になってしまうじゃない? 私の世界は、なんとな〜く私が書いたシナリオの枠組みに沿っていればそれでいいの。あなたたちが“アリス”という存在、そしてアリスは聖女が召喚した精霊という扱いに変わったことも、セリーナの運命を含めて、その程度の改変なら大した問題じゃないわ。そもそもね、サブクエストのプロットを書いたのは私じゃないもの。私はセリーナみたいなバッドエンドの悲惨な話は嫌いだわ」
(サブクエストを書いたのは別の人だったのか……。セリーナをあんな悲しい目に遭わせたシナリオライター、相当悪趣味だな……)
ノルン様は朗らかに話を続けた。
「それでね、あの別世界線のゼノヴィウスは、単なる『没案』の残り香なのよ……最初はそういう泥飾りの展開を書こうとしたのだけれど、制作会議で却下されちゃってね。その時の没データが漏れ出て、私の世界に多少の影響が出ちゃったの」
隣のエリシア様が待ったをかけるように声を荒げた!
「そこですよ! お姉ちゃんがその展開を実装したくて未練を残していたから、こっちの世界にまで悪影響が出たんです! 自分の力くらいちゃんとコントロールしてください!」
「ごめんなさいってぇ……あの夜、没案を書き直した時、ちょっとお酒を飲んでいて……ね?」
「“ね?”で済むわけないでしょ!? 豆腐さん、タピオカさん……シルヴィアたちを助けてくれて、本〜〜〜当にありがとうございました……!」
「『いいえ、滅相もございません……!』」
相手は全知全能の女神様だ。つまり……悪いのはすべて“お酒”だ。酒がすべてを狂わせたのだ。反論もツッコミも認めない。
真実を知った瞬間、張り詰めていた緊張が一気に抜け落ちていくのを感じた。あの世界にとっては存亡の危機だったゼノヴィウスの侵攻が、まさか神様の晩酌のせいだったとは……。エリシア様をはじめとする他の5人の女神様たちの苦労が偲ばれる。
最後に、どうしても確認しておきたかったことを、まったく反省の色が見えないノルン様へ尋ねた。
「あの……最後にお伺いしたいのですが。ワタシはエメラルダさんからひとつのコインを頂戴したのですが、これはそのまま持っていて大丈夫なのでしょうか? あれは……セリーナが大切にしていたぬいぐるみの中に隠されていたお守りと、全く同じカースティア伯爵家のコインですよね」
「あ〜、そのコインね! そのまま持っていて大丈夫よ。それはエメラルダが最期の力を振り絞って、あなたへ贈った感謝の証なの。セリーナが持っている本物と同じものだけれど、彼女の記憶の中にある大切なそれを具現化したものね。そして知っての通り、カースティア伯爵家の一員であることを証明するための大事な家紋コインよ。エドガーがあのコインをエメラルダに託したのは、万が一自分に何かがあった時、彼女たちが間違いなく伯爵家の人間であると証明できるようにするためだったの」
(やっぱりそうだったのか……。あのコインはセリーナたちの『幸運のコイン』。エドガーは自分に何かあった際、二人が伯爵家へ身を寄せられるように託したのだ。だがゲームでもあの世界でも、エメラルダさんは伯爵家へ向かわなかった。いや、借金に追われて行くことすら叶わなかったのか……。だが、結果的には行かなくて正解だったのかもしれない。あの世界でゼノヴィウスに乗っ取られていたエドガーは二人に対する情など持ち合わせていなかったし、仮にゲームの世界線であっても、当時の当主であるエドワード伯爵が隠し子である彼女たちを認めるはずがなかったのだから)
ノルン様は微笑みを絶やさずに言葉を重ねた。
「そのコインは、あなたたちにしか認識できない特別な存在だから、この旅の記念としてそのまま持っておいて頂戴。……あとで使うことになるから」
(確かに、タピオカくんがあの世界へ来る前は、そのコインの存在すら認識できていなかった。……待て、“あとで使う”……? なぜか猛烈に嫌な予感がするのだが……)
「分かりました。では、大切な思い出として受け取っておきます」
会話の締めくくりとして、ノルン様が温かい眼差しで俺たちを見つめた。
「豆腐さん、タピオカさん。先ほどあなたたちが石像の前で捧げてくれた祈り、私はしっかりと聴かせていただきましたわ。こちらの気まぐれで巻き込んでしまったのに、たくさんの感謝を伝えてくれて、本当にありがとうございました」
「そんな! あれはワタシたちの本心です! システムの補正がなければ、仮にワタシがセリーナに憑依できたとしても、彼女の凄絶な借金問題だけで詰んでいました。エリシア様のクエストだって成功させられなかったはずです。あの時、魔剣に刺された際も、システムがなかったらワタシは恐怖で精神的に死んでいたかもしれません。だから、心から感謝しているのです」
「ふふっ、あなたの温かい感謝、しっかりと受け取りましたわ。タピオカさんは……」
『はいっ!!! 私の祈りの内容は口に出さなくて大丈夫です!! ここで言わないでいただけると非常に助かりますっ!!』
ノルン様とエリシア様は、意味深な笑みを浮かべながらテーブルの上のタピオカくんを見つめていた。
(……もしかして彼女、石像の前で『またこの世界にログインしたい』とか願っていたんじゃないだろうな……? まあ、俺だって普通にこの世界へログインして、セリーナやシルヴィアと友達としてダンジョンを巡りたいけれど……もう叶わないのだろうな)
女神様たちとの真面目な会話はここで一区切りとなり、俺たちの言語設定は「日本語」から再び「ノルン様の世界の言語」へと戻された。
話し合いが終わると、隣のリビングから戻ってきたセリーナが「草原に残してきたレオンくんが心配です……!」と不安そうに口にした。だがノルン様曰く、この空間には時間の概念が存在せず、ここでどれだけ長い時間を過ごそうとも、元の世界に戻れば一秒すら経過していないらしい。
俺とタピオカくんが壁のデジタル時計に視線をやると、秒の数字は完全に静止していた。……さすが神の力。
その後、「もっといいネタが欲しいわ〜!」というノルン様の一声により、俺達はそのまま和やかなお茶会を続けた。
ノルン様からの質問攻めに答えたり、セリーナやサクラリアと一緒になって他愛もないお喋りに花を咲かせたりした。
先ほどいただいた豪華なウェルカムケーキはあくまでデザートとしてノーカウントにするならば……俺たちはこの時、初めてセリーナとサクラリアと直接同じ食卓を囲んでちゃんとした食事を共にしたのだった。
ずっと俺たちと一緒にご飯を食べたがっていたセリーナとサクラリアは大喜びで、食事中もずっと俺たちにぺったりと貼り付いていた。
食後は全員リビングへ移動し、タブレットで現代日本の最新ファッション雑誌や料理番組を鑑賞したり、最後はなぜか日曜朝の魔法少女アニメを全員で並んで鑑賞したりと、夢のようなひとときを過ごした。
そして——ついに、お別れの時が訪れた。
アニメの放送が終わり、ノルン様が優しく、けれど寂しそうに告げた。
「さて……そろそろ、みんなが自分のいるべき場所へ戻る時間ですよ」
「……」
『……』
「……」
『……』
俺、タピオカくん、セリーナ、サクラリアの4人は、何と返事をすべきか分からず、ただ静かに沈黙した。
ノルン様は優しくセリーナへ語りかけた。
「セリーナ、サクラリアちゃん。豆腐さんとタピオカさんと過ごした時間は、楽しかったかしら?」
セリーナはハッと息を呑み、このお茶会とこれまで過ごした夢のような時間が、自分たちのための「お別れ会」だったのだと理解した。
「あ……はい! 私はずっと……ずっと精霊さんたちとこうして一緒にご飯を食べて、一緒に笑い合いたかったのです……! こんなに素晴らしい機会を与えてくださって、本当にありがとうございます、ノルン様……!」
セリーナとサクラリアは、深々とノルン様たちへ頭を下げた。俺とタピオカくんも、隣で深く感謝の一礼を捧げる。
「いいのいいの。エリシア、あれをセリーナたちに渡してあげて。今日はお開きにしましょう」
「分かりました、お姉ちゃん。リーンベル、あれを持ってきてちょうだい」
「かしこまりました」
リーンベル様が部屋の奥から抱えてきたのは、サッカーボールほどもある、黒く不気味に光る大きな「卵」だった。
「これは……?」
エリシア様が静かに説明を始めた。
「闇のネザーヴェイルの分体……あなたたちが回収してくれた、あの生意気な水晶玉が再誕した卵ですよ」
“生意気な水晶玉”というフレーズを聞いた瞬間、俺たち全員の脳裏にあの高飛車な水晶玉との会話が鮮明に蘇った。
全員の「ああ……あいつか」という表情を見て取り、エリシア様は微笑を深めて説明を続ける。
「まあまあ。以前の闇のネザーヴェイルは、千年前の悪徳魔法使いと半融合したせいで、元々のひねくれた性格がさらに歪んでしまっていたのね。だからあなたたちが回収し、浄化して再誕させたの。……セリーナ、あなたに与える最初の任務は、この卵をナイジェリアの森の奥深くにある『時の神殿』へと安置することよ。そうすれば強力な結界が張り巡らされ、誰も神殿の存在を認知できなくなるわ」
今思えば、あの世界が生まれてから千年も経っていないはずだ。千年前の邪竜の伝説も、シナリオ上の設定に過ぎなかったのかもしれない。……だが、それを知らないセリーナたちにとっては、紛れもない歴史と真実なのだ。
セリーナは凛とした表情で、エリシア様に向かって頷いた。
「かしこまりました、エリシア様!」
「では、この卵はあなたのストレージに入れておきますね。後で確認してください」
「はい!」
リーンベル様が抱えていた卵が光の粒子となり、セリーナのストレージへと収納されて消えていった。
そして、今度こそ——本当の別れの瞬間が訪れた。
俺たち4人は玄関へと向かい、俺とセリーナは靴を履いた。
ノルン様は温かい笑顔を浮かべ、最後の言葉を贈る。
「この扉を出ると、みんなは自分の本来いるべき世界へと戻ります。セリーナ、サクラリアちゃん。もし豆腐さんとタピオカさんに伝えたい言葉があるなら、今のうちに話しておきなさいね」
セリーナとサクラリアは「はい!」と力強く頷き、俺たちの方へと振り向いた。
「精霊さん、タピオカさん……短い間でしたが、あなたたちと過ごしたかけがえのない思い出は、一生私の胸に刻まれています。私はサクラリアと一緒に、これからもずっと幸せに生きていきます。私に新しい人生と未来を与えてくださって……本当に、本当にありがとうございました……!」
俺はそっと手を伸ばし、セリーナの小さな身体を優しく抱きしめた。そこへタピオカくんとサクラリアも加わり、4人はお互いの温もりを確かめ合うように最後の抱擁を交わした。
「セリーナ、サクラリア。ワタシたちも二人のことを絶対に忘れません。ずっとずっと、幸せになってくださいね」
「はい……っ!」
俺とセリーナの会話が終わり、今度はタピオカくんがサクラリアへ視線を向けた。
『サクラリア隊員! セリーナのことは頼んだぞ! それと、女王様にお菓子の食べ過ぎを注意すること! そして君自身も、毎日笑顔で元気に生きていくこと! 以上だ!』
『サー、イエス、サー!! セリーナのことはこのサクラリアにお任せくださいませ!!隊長!』
そんな微笑ましい敬礼劇の直後、サクラリアが猛烈な勢いでタピオカくんの頬へ飛びつき、誓いのキスを浴びせかけた!
横から見ると、ピンクのドレスを着たサクラリアが、魔法少女姿のサクラリア(タピオカ入り)へキスをしまくっているという、なんとも不思議で滑稽な光景だ。
『ちょっ……!? サクラ……リア! やめなさ〜い!』
『え〜? 大好きな人にはチュチュッてするものではありませんの〜?』
『それは異性に対してやることでしょう!? っていうか、今の私はあなたと同じ妖精なのよ……!? はぁ、はぁ……』
『いいではありませんか! わたくし、タピオカ様のおことが大〜好きですもの!』
思わず吹き出してしまうようなドタバタ劇を見かねて、エリシア様が優しく打ち切った。
「はいはい、これくらいにしておきなさい。……セリーナたち、元の世界へ戻ったら、私達と会ったことは“絶対”に他言してはダメですよ。それとお姉ちゃんのこと……私達より上の存在がいるなんて噂が広まれば、混乱を招くだけですからね」
「『かしこまりました!』」
「卵の件は、後で発生するクエストの指示に従って神殿へ安置すれば大丈夫です。それと、シルヴィアのこともよろしくお願いしますね」
「はい! 全てお任せください!」
「新しいクエストが発生した時は、リーンベルから連絡を入れさせます」
「はい!」
女神様たちの背後に控えていたリーンベル様が、俺たちに向かって深々と一礼を捧げた。
全ての会話が終わり、ノルン様が旅立ちの言葉を紡ぐ。
「では……いってらっしゃ〜い! 気をつけて帰ってね!」
「「『『はい! 本当にありがとうございました!!』』」」
俺たち4人はしっかりと手を繋ぎ合い、満面の笑顔でその玄関の扉を開け、一歩を踏み出していった——。




