92 束の間の休憩
翌日。
翠夢の森の小屋の中で、昨晩夜ふかしたなセリーナはいつもより少し遅い時間に目を覚ました。サクラリアも同時に目を覚ます。
「ふぁ~……おはよう、サクラリア」
『ふわぁ……おはようございます、セリーナ』
『おはよう、二人とも』
「……えっ!? 女王様!?」
『……お母様!?』
返事をしたのは、なんと妖精の女王様だった。
どうやら彼女は昨晩いつの間にかやって来て、しかし小屋にある女王様専用のベッドではなく、娘であるサクラリアのベッドで一緒に眠っていたらしい。
まあ、気まぐれな女王様のことだ。急にサクラリアと一緒に寝たくなって城から飛んできたのだろう——セリーナたちは少し驚きはしたものの、すぐにいつもの朝の調子を取り戻した。
店の制服に着替え、セリーナたちはリビングへと向かう。
そこには、人数分のパンを用意して待っていたレオンの姿があった。
「おはようございます、レオンくん。ごめんなさい、寝坊しちゃいました!」
「おはよう、セリーナ、女王様、サクラリア。わ、悪いな。俺はあんまり料理ができないから、パンを買ってくるくらいしかできなかったんだ」
「いえいえ! パンを買ってきてくれただけで十分ですよ」
セリーナは冷蔵庫からサラダとベーコンを取り出し、パンに挟んで手際よくサンドイッチを作っていく。
およそ一週間前、レオンが騎士団からのスカウトを断り、王都から迷宮都市へと戻ってきてから二人の同棲生活が始まった。
彼は騎士団長アルベルトの推薦によって冒険者ギルドの副ギルド長に就任することが決まっていたが、王都のギルド本部から正式な承認が降りるまでは、変わらず一人の冒険者として過ごしていた。
ただ……セリーナは少し不思議に思った。普段のこの時間なら、彼はすでにギルドへ向かって依頼を探しているはずなのだ。
「レオンくん、今日は依頼を探しに行かなくていいの?」
レオンはパンをかじりながら、彼女に答えた。
「ああ、今日は休もうと思ってさ」
「え? どうして?」
「そうだな……俺はダリオンみたいに優しくて綺麗な言葉は言えないが……だから直接言うよ。俺も、女王様と同じで……セリーナたちのことが心配なんだ」
セリーナとサクラリアは、その言葉の意味をすぐに理解した。
昨晩からずっと気持ちを抑え込んでいたサクラリアは、手にしていた小さなパンを置くと、目から溢れ出す涙をぬぐいもせず、隣にいた母親の女王様へ抱きついた。
『お、お母様ぁ……っ! 精霊様たちが……! うわぁぁぁんっ!!』
女王様はそのまま優しくサクラリアを受け止め、ポンポンと背中を叩いて撫でてあげる。
そしてセリーナもまた、パンを口へ運ぶ手を止めた。
レオンは静かに言葉を続けた。
「昨晩、アリスさんとタピオカさんが俺のところに来て話をしてくれたんだ。二人とも、セリーナたちのことをすごく心配してたぞ」
「……」
セリーナは返事をすることができなかった。
レオンは立ち上がると、そっとセリーナの隣へ歩み寄り、彼女の頭を優しく撫でた。
「セリーナ……アリスさんたちに心配をかけたくないからって、平気なフリをしてたのはバレバレだったぞ。俺たちの前でくらい、素直になりなよ。モヤモヤして自分の中で整理できないことでも、吐き出してみた方が少しはスッキリするんじゃないか?」
もう、我慢の限界だった。
セリーナはレオンの腰にしがみつき、声を上げて泣き出した。
「ひっぐ……嫌だよぉ……っ! 精霊さんたちと別れたくないっ!……ひっぐ、昨日お父さんとお別れしたばかりなのに、今度は精霊さんたちとお別れなんて……嫌だ! 精霊さんたちと、ずっと一緒にいたいよぉ……っ! ううっ……っ!」
レオンと女王様は、二人が泣き止むまで黙って優しく抱きしめ続けた。
やがて二人の気持ちがようやく落ち着き、セリーナはレオンを抱きしめていた手を離した。女王様はサクラリアの頭を撫でながら、自分の膝の上に頭を乗せさせている。
ここで、先に口を開いたのは女王様だった。
『セリーナ、サクラリア。精霊殿たちはこの世界の者ではない。別れは遅かれ早かれ訪れるものなのじゃ。二人とも、そなたたちを悲しませまいと、自ら打ち上げの提案をした……その意味、分かっておるな?』
セリーナは涙を拭いながら答えた。
「……最後に、私たちに楽しい思い出を残してくれるためです」
『そうじゃ。二人だってそなたたちと別れたくはない。だが、それは叶わぬ……だからこそ、せめて最高の思い出をそなたたちに残そうと、わざわざこちらの仕事まで休んで、残された時間を共に過ごそうとしてくれておるのじゃ』
思い切り泣いて気持ちが吹っ切れたセリーナは、しっかりと涙を拭うと女王様に向き直った。
「はい……分かっています。お見苦しいところをお見せしてしまって、ごめんなさい」
『良いのじゃ。吐き出してスッキリしたかい?』
「はい、スッキリしました! ありがとうございます、女王様……それと、レオンくんも」
女王様は優しく微笑みを浮かべた。レオンもまた、彼女の手をそっと握りしめて笑顔を返す。
「そしたら、私も精霊さんたちに何か作ってあげたいな。何がいいと思う、レオンくん?」
「お菓子とかはどうだ?」
「あ〜、タピオカさんが明日新しいレシピを教えてくれるみたいだから、試食でお腹いっぱいになっちゃいそうです。食べ物は難しいかも……」
「あの二人、向こうの世界にこちらの物を持ち帰ることはできないんだろ? 食べ物がダメなら……あとは君たちとの『楽しい思い出』くらいしかないんじゃないか?」
「えっと……それって……」
「特別な何かをしなくたっていいんだよ。アリスさんたちとの残された時間を思い切り楽しんで、君たちが今、とっても幸せなんだって姿を見せてあげればいいのさ」
「……そうですね! 分かりました!」
すっかり気持ちが切り替わったセリーナは、朝食を食べながらレオンと打ち上げについての相談を始めた。
一方、未だに100%納得しきれていないサクラリアは、女王様の膝の上に顔を埋めたままだ。女王様は彼女の頭を優しく撫でながら、まだ拗ねている娘へ語りかけた。
『サクラリア、まだ拗ねておるのかい?』
『別に……拗ねてなんか過ごしていませんわ。お母様は……それでよろしいのですか?』
『精霊殿たちとの別れのことかい?』
『そうですわ』
サクラリアも思い切り泣いたおかげで、気持ち自体は少し落ち着いている。しかし、生まれてから毎日一緒に過ごしてきた悠希たちとの突然の別れを、そう簡単には受け入れられずにいたのだ。
女王様は、どこかわだかまりを溶かすような優しい声で語りかけた。
『良いわけがなかろう。妾だって寂しいわ。精霊殿たちと出会ってからというもの、毎日のように新しい発見があって……妾だって別れたくなどない』
『そうですわよね……っ!』
『アルミーナ……初代聖女と別れる時もな、当時の妾はそなたのように泣き明かしたものじゃ』
『え……お母様も、ですか……!?』
『もちろんだとも。じゃがな、妾たちは妖精じゃ。人間と違って寿命などほぼ無いに等しい』
『…………』
『だからこそ、精霊殿たちだけではない。そなたはいずれ……セリーナとも別れを迎えることになる。今後も人間と関わり続ける限り、このような別れは何度も経験せねばならぬのじゃ』
『……っ』
『だからこそじゃ。妖精である我々は、人間の友人たちと過ごす限られた時間の中で、一つでも多くの思い出を残すべきだと妾は思うのじゃよ』
『でも……でも、お母様はそれで納得できるのですか……!?』
『良いも悪いも、妾たちは受け入れるしかないのじゃ。現に初代聖女との楽しかった思い出は、今でも鮮明に覚えておる。たまに思い出しては一人で微笑むのじゃよ。そなたが忘れぬ限り、精霊殿たちも、セリーナも、ずっとそなたの心の中で生き続ける。妾もずっとそうやって生きてきた。……考え方を変えてみるのじゃ』
『考え方を……変える?』
『簡単な話じゃ。精霊殿たちやセリーナとの残された時間を目一杯楽しむか、それとも別れのことばかり考えて気まずいまま時間を無駄にするか。どちらを選ぶかというだけの話じゃよ』
女王様の言葉を、サクラリアは少しずつ噛み締め、理解していった。
彼女は女王様の膝から顔を上げ、楽しそうに言葉を交わすセリーナとレオンの姿を見つめる。二人の笑顔を見ているうちに、サクラリアの胸のつかえもすーっと消えていった。
『……わたくしも、悲しい顔のまま嫌な思い出を残すより、セリーナや精霊様たちと楽しい思い出をたくさん作りたいですわ!』
『そうでおろう? ほら、行ってまいれ』
『ありがとうございます、お母様!』
サクラリアはパッと顔を輝かせると、セリーナの元へと飛んでいった。その微笑ましい光景を見守る女王様の心もまた、温かな温もりに満たされていく。女王様もそのまま二人の方へと飛び立ち、打ち上げの話し合いに参加したのだった。
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悠希たちは職場へ無理やりの形で有給申請を叩き込み、明日から一週間、ゲーム内に付きっきりでログインできる環境を整えた。
その日の夜。悠希とタピオカくんは約束通り、新しいお菓子のレシピと可愛い服のデザイン画を用意し、「セリーナたちは大丈夫だろうか」と少しばかり心配な気持ちを抱えながらログインした。
だが——そんな懸念は、良い意味で裏切られることとなった。
セリーナとサクラリアは普段通り……いや、むしろ普段以上のハイテンションで二人を大歓迎してくれたのだ。それどころか、二人の方から自発的に打ち上げの準備について話し始めてくれたのだった。
悠希たちは「レオンや女王様が一体どんな手を使って二人を立ち直らせたのだろう」と気にはなったが、そんな些細な質問で貴重な時間を無駄にしたくはなかった。ログイン後、すぐに用意してきた新しいお菓子のレシピを二人へ伝授し始める。悠希はこの世界の文字を書けないため、手順の記録はいつものように優秀な妖精メイドたちへ一任した。
レシピを伝授する合間、セリーナたちの口から嬉しい報告が届いた。
セリーナのおばあちゃんであるクラリス夫人も、大司教マティルダ様もスケジュールを調整でき、一週間後に行われる打ち上げに参加してくれるという。場所は王都の大聖堂の一室を借りる手筈が整った。
さらに、ちょうど「和菓子の大福」を試作している最中、聖女シルヴィアの魔力鳥がセリーナの店へと飛んできた。彼女も勿論打ち上げに参加する予定であり、「可能な限り早く王都へ戻る」という返信が綴られていた。
これで、悠希たちが「別世界の精霊」であることを知る重要人物——聖女シルヴィア、大司教マティルダ、そしてクラリス夫人の全員が揃うことになった。
打ち上げの準備といっても、身内だけの小規模な集まりだ。特別な装飾も必要なく、料理も基本的にはメニューの作成機能を使えば一瞬で出来上がるため、事前に準備するものはほとんど存在しない。
つまり、打ち上げ当日までは完全に「自由時間」というわけだ。
かくして、残された一週間の期間——悠希とタピオカくんは、セリーナたちと共にこの世界を全力で堪能することを決意したのだった。
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翌日。
当然ながら、悠希たちは朝一番でログインした。
ずっと店の中に引きこもってお菓子のレシピや服のデザインを研究するのも悪くはないが、それだけでは味気ない。そこで悠希とタピオカくんは昨晩、ネットで『セレアグ』プレイヤーたちが一押しする絶景スポットをリサーチし、セリーナたちを連れて「プチ旅行」に出かけることにしたのだ。
カフェはしばらく休業とすることにし、扉には「新作お菓子の開発中」という看板を掲げておく。目的地から最寄りの転送ポイントへと一気に転移した。
その日の日中、一行は人知れぬ隠しルートの先に広がる絶景へと足を踏み入れた。
そこは、一年中枯れることのない魔力を帯びた桜が咲き誇り、風が吹くたびに光る花びらが雲海へと舞い散る幻想的な場所——『巨樹の天空桜』の下だ。淡いピンクの光を放つ大樹の下で、一同は花見とピクニックを満喫した。
夜になると妖精の女王様も混ざり、みんなで新作お菓子を作り上げた。レオンは発生した大量の「試作品」を男らしく全部平らげてくれた。
また別の日には、この世界でまだ誰にも発見されていない地下世界へとお出かけした。
巨大な発光植物と瑠璃色の水晶に覆われた洞窟を抜け、最深部へと到達すると、そこには魔力を含んだ鉱石の光に照らされた水滴が絶え間なく滴る秘境——『瑠璃光の鍾乳洞』が広がっていた。
その夜はストレージから色々な素材を取り出し、タピオカくんが考案した数々の服のデザインをみんなでワイワイと検証した。
さらに別の日。夕焼けが沈み、静かな夜が訪れると、上空に広がる満天の星空とオーロラが、波一つない鏡のような湖面へと完璧に反射する場所に立ち寄った。
上下の境界線が完全に消失し、まるで宇宙の真ん中に浮いているかのような錯覚に陥る神秘の場所——『星屑の水鏡』だ。
悠希の肩にちょこんと腰掛け、言葉を失うほど美しい景色を見つめていたタピオカくんが、思わず感嘆の声を漏らした。
『すごい……! 動画で見るよりずっと迫力があって、本当に宇宙に浮いてるみたいね……』
同じく絶景に目を奪われていた悠希も、静かに言葉を返す。
「そうですね……この美しさは、実際にここで風を感じないと分からないですね。ゲームの画面越しでは説明がつきません」
『あぁ〜っ! スクショしたいわ、本当に!!』
セリーナ:すごい……頭の上も足元も、全部が星空……綺麗……。まるで夜空を飛んでいるみたいです。
サクラリア:大きな鏡みたいですわ! ほら、わたくしが二人いるみたいに見えますわ!
サクラリアの言葉に応じるように、サクラリア中のタピオカくんは湖の上をグルグルと楽しそうに飛び回った。
しばらく幻想的な景色に見入っていると、静寂の中にセリーナの可愛らしいお腹の音が響いた。
「そろそろ、小屋へ戻りましょうか。時間的にもレオンさんが帰ってくる頃ですし、夕飯の準備をしないとですね」
セリーナ:……レオンくんにも、この景色を見せてあげたかったなぁ。
「この周りのモンスターはレベルも低いですから、今度はぜひレオンさんと二人で遊びに来ると良いですよ」
セリーナ:ふふっ、そうしますね!
セリーナ:あ、そうだ……! 精霊さん、お母さんとお父さんの新しいお墓を建てる場所が決まりましたよ。
「そうですか。どこに決めたのですか?」
セリーナ:あの大きな『巨樹の天空桜』の下に建てようと思います。
セリーナ:今まで見た景色の中で、あそこが一番綺麗でしたから。
セリーナ:隠し通路を通らないと行けない場所ですし、荒らされる心配もありません。
セリーナ:それに、迷宮都市からも近いですからね。
「分かりました。では明日、もう一度あの天空桜の場所へ向かいましょうか」
セリーナ:ありがとうございます!
会話を切り上げ、夕飯の準備のために悠希たちは翠夢の森の小屋へと転移した。
帰宅すると、ちょうどタイミングよくレオンも仕事を終えて帰ってきた。
先ほど見てきた絶景について、セリーナとサクラリアはレオンや女王様に色々と話したいことだろう。悠希たちはストレージから手早く夕食を取り出すと、身体の主導権をセリーナたちへ返し、一旦ログアウトした。後ほど再ログインし、夜の「お菓子レシピ講習」を再開をした。
こんな風に、毎日昼間は色とりどりの街や絶景スポットを巡り、気ままな観光旅行を楽しんだ。そして夜になれば、現実世界のレシピを伝授し、タピオカくん厳選の可愛い服のデザイン画を仕込んでいく。
……なお、途中でなぜか話題が「男装」へと脱線し、筋金入りのレオン推しであるタピオカくんの変なスイッチがオンになる一幕もあった。タピオカくんは悠希に命令してメニューから作れる男性用装備を大量に引っ張り出し、哀れなレオンを着せ替え人形にしてセリーナと共に弄り倒したのだった。
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楽しい時間は風のように過ぎ去り、一週間は過ぎだ。
今日の秘境探しを終えたセリーナたちは、小屋へと転移してきた。
そこで一行を待っていたのは、「人をダメにするクッション」に埋もれて完全に堕落している女王様と、その隣に止まっているシルヴィアの魔力鳥だった。
『お〜、今日の帰りは早かったのじゃな、精霊殿』
「ええ。セリーナたちが『タピオカ』を作りたいと言うので、少し早めに帰宅いたしました」
『タピオカ殿を作る……? そなたたちは何を言っておるのじゃ?』
ハテナを浮かべる女王様へ、タピオカくんが代理で説明に入る。
『女王様、“タピオカ”っていうのは私の名前の由来になった飲み物のことですよ! 私たちの世界では“悪魔の飲み物”って呼ばれているんです』
女王様はあからさまに物騒な方向へと想像を巡らせたらしく、一瞬で険しい顔つきになった。
『あ、悪魔の飲み物とな……!?』
セリーナたちも最初全く同じ反応をしたため、タピオカくんは大慌てで補足を入れる。
『そうです……悪魔の飲み物です……“ダイエット”の天敵ですからね!』
『“ダイエット”……確か、そなたたちの世界の言葉で“痩せるための取組”という意味じゃったな?』
『はい! 飲み過ぎると……激太りします! でもすっごく美味しいから、ついついもう一杯飲んじゃうんです!』
『な、なんじゃ……そういう意味での悪魔か。本物の悪魔の毒薬かと思ったぞ……』
『ふふっ、さっきセリーナたちも同じ反応をしていましたよ。でも、そう言っておかないと二人とも何杯も飲んじゃいそうですからね』
『妾に冗談を言うのはそなたたちくらいじゃな。良い、許すぞ。……それより、聖女からの手紙が届いておるぞ』
悠希が魔力鳥に優しく触れると、鳥は一通の手紙へと姿を変えた。そこには「すでに王都へ到着しました、明日は時間を取れます」というシルヴィアからのメッセージが記されていた。
聖女である彼女は、王都へ戻った後すぐに聖王国へと向かい、別の世界線からやってきたゼノヴィウスの魂——「邪竜の魂の欠片」を大聖堂の地下深くへ厳重に封印する予定になっている。そのため、彼女が王都に滞在できる時間は決して長くはないのだ。
どうやら……かけがえのない楽しい時間は、本当に今日で最後のようだ。




