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64 聖女シルヴィア

進行目標②:エルセリス国王エドマンド、冒険者ダリオンの生存。(時間制限6分)



タピオカが冷静に現状を分析した結果、かなりピンチだと確認できた。


王は瀕死、それに劣勢。

保護対象のダリオンは強化されたボスと対峙している。

召喚魔法陣は未だに魔力を送り続けている。


『すーはぁ……冷静に考えなさい、私。』


(シルヴィアが王の付近に到着すれば、中位光魔法での奇襲で王の観戦台周りの雑魚は掃討できる。王は側にいる魔法使いたちが回復中、時間はかかりそうだけど、周りの敵をなんとかなれば、王は死にはしない……)


それでは簡単すぎる。何となく違和感を感じた……ではなぜクエストに時間制限があるのか?


(………違う!! その魔法使いたちとシルヴィアは魔剣の攻撃が呪い確定だと知らなかった! 呪いを解除しないと回復は効かない!! 例えシルヴィアが神々しい日輪を見せ、周りの人たちが彼女を聖女だと信じたとしても、魔法使いたちに「王を治して」とお願いされるでしょう。ここでその聖女と思われた人が王を回復できないなら?! 誰にも彼女のことをニセ聖女と思われる!! シルヴィアは「奈落の七印」側の人と思われ、そこの全員と敵対される!)


タピオカがそう考えていた時、ダリオンたちと対峙していたセルディスが動き出した。


「モルデン村の生き残りのダリオン。」


自分と自分の村の名前が呼ばれて、ダリオンはすぐに反応した!


「なぜ俺の村を!」

「死ねぇーーー!」


そんな答えが来るわけもなく、セルディスはすぐにダリオンに向けて斬り掛かった!!


レオンはすぐに反応して、一瞬戸惑ったダリオンを庇った!



ガキン!



「ダリオン! 逃げろ! 狙いは君だ!」


しかし、その忌々しい黒い魔剣の前に、試合用の剣身は一秒も耐えられず、瞬く間に断ち切られた。幸いレオンはそれを読んでいた。剣が折れた反動を利用して身体を回転させ、謎の男の剣撃を紙一重でかわす。そして手に残った欠け剣を、セルディスの顔めがけて投げつける!


残念ながら、セルディスはすぐに反応し、投げられた剣を余裕で避けた。


「いい腕だ。殺すのは惜しい。」


レオンはすぐに倒された黒いマントたちから落ちてきた短剣を拾い、敵と対峙する。


彼はダリオンの戸惑いを和らげるため、わざと冗談を言った。


「ダリオン……お前はやっぱりあの男の彼女を奪ったか。だから俺はセリーナを君に紹介しなかったよ。」


ダリオンはすぐに反応し、試合用の剣を捨て、地上に落ちてきた短剣を拾い、レオンに返事をする。


「すーはぁ……残念ながら、俺はあの男の女の趣味には合わないと思う。短剣が……あんまり使ったことないけど。」

「では今から慣れろ!」


セルディスは引き続き攻撃してくるが、ダリオンとレオンはなんとかその攻撃を避けた。


それを見たタピオカは迷いなく、すぐに〈雷鳴の羽弓〉を引いて、セルディスを撃つ。しかし、彼は謎の攻撃にもすぐに対応して、魔剣でそれを防いだ。


残念ながら、タピオカの矢を受けた魔剣のHPには全く減らなかったが、その代わりに、周りには見えない敵がいることで、セルディスは攻撃をやめ、後ろに飛び、見えない敵に警戒し始めた。


ダリオンたちがセルディスと互角に戦えそうと見て、タピオカは思わずこう囁いた。


『武器……ダリオンたちに武器を渡せば!』


ここでチャット欄からメッセージが来た。


サクラリア:タピオカ様、妖精結界の腕輪を外してください!


『え?! でもあなたが……。』


サクラリア:時間がないのです。あなたが強い武器をレオンたちに渡して、

サクラリア:先に王様を救ってください!


『……』


サクラリア:大丈夫、タピオカ様なら、王様のところでレオンさんたちを弓で援護することができますわ。

サクラリア:セリーナ、あとどれくらい戻れますか?

セリーナ:あと5分くらいです。

サクラリア:タピオカ様、私はもうレベル56ですよ、ここの皆より強いと思います。


『わかったわ。ありがとう、サクラリア。』


迷う暇はない、タピオカは〈妖精結界の腕輪〉を外し、ダリオンとレオンたちの前に現れた。


『ダリオンとレオン!』


当然、目の前に急に羽のついた小さな少女が現れたことに驚いた彼らは、短剣をかざし、タピオカを警戒した。


「な! 誰だ!」

「?!」

『時間がない! 武器を渡すから! あの男を足止めして! 私は王を救う!』

「……」

「……」

『いいか! ダリオン、あなたは死んではいけません。レオン、彼を守ってください。ここであの敵を足止めできる人はあなたたちしかないわ! 5分だけ耐えてください!』


それを言ったあと、タピオカはストレージから武器を取り出した。


レオンには風を操作できる、素早さを上げるSRランクの剣、ダリオンにはHP自動回復付きのSRランクの剣、それと回復と呪い解除のポーション数本を彼らに渡した。


その妖精サイズの剣が彼らの手に乗せられると、すぐに大きくなった。


「ちっさい! ……うわ! なんだこの剣! ……風が手に取れるような……すごい。」

「剣が触れた後、大きくなった!」


彼らはタピオカが何者かはわからないが、武器を与え、王を救うと言い出すから、すぐに王家の者だと思っていた。その後、彼らの身体には赤いと茶色のオーラが纏い始めた。これは補助魔法だ。


『王を救ったら、私も君たちを援護する! 5分耐えていいのです! 足止めでいいわ。その剣を絶対触れるな、呪われるわ! 命が大事よ! わかった?』

「わ、わかりました。」

「……5分だな、任せてくれ!」


タピオカはそのまま妖精結界の腕輪を付けずに、シルヴィアの元へ飛んだ。




レオンとダリオンは手に持った剣を見て、それが明らかに宝剣クラスの魔法剣だとすぐにわかった。お互いに視線を交わし、覚悟を決めた!


当然、タピオカが急に姿を現したことで、セルディスはさっきの謎の攻撃と周りの仲間が一掃された原因が彼女だと察した。まっすぐにタピオカに向けて剣を振った!


「させない!」


ダリオンがその攻撃を防いだ! 補助魔法を受けた彼らは少し余裕を持ってセルディスの攻撃を捌けた。


「ちぃ、そんなに死にたいなら、先に貴様を切り捨てる! ……はぁぁぁーー!!」


セルディスが力を溜め始めた! 身に纏った黒いオーラがさっきより重く濃くなり、再びダリオンを狙って斬り掛かった! ダリオンはその連撃をギリギリで避けた。


「な、なんだ! その黒い炎は!」


避けた斬撃の軌跡から、ヤバそうな黒い炎が現れた!


「それは我ら偉大なる邪竜ネザーヴェイル様の力だ!! 黒い炎に焼き付いて死ぬがいい!!! ふん!!」


この斬撃は避けられない! ダリオンはすぐにガードする。


しかし、ガードしたのに黒い炎はまるで幻影のように剣をすり抜け、直接彼の腕にまとわりついた!それはただの炎ではなかった。 光を吸い込むようなその漆黒の炎は熱はない! しかし触れた場所は焼けたように痛い! まるで心臓を直接握り潰されるような苦痛が全身を駆け巡り、視界が一瞬暗転した。


ダリオンはすぐに後ろに跳んだ! すると、手に持った剣の力によって、怪我はゆっくりと治り、痛みも段々と消えていく。


「レオン! ガードするな! 死ぬぞ!」

「ははっ、簡単に言うねぇ。呪いは?」

「多分剣の力で怪我が治っていく。黒い炎には呪いがない……でも、あの炎はただの火じゃない。触れた瞬間、魂まで削られるような感覚だ……!」


レオンはすぐにダリオンの前に立ち、彼を庇った。


「あのちっさいお嬢さんから、お前も倒れてはいけないと言われた。ここは俺に任せろ。ダリオン”くん”。」

「生憎、男に守られるほど俺は弱くない。レオン”くん”。生き延びたらあのセリーナって娘を俺に紹介しろ。」

「だが断る!」



【UR 奈落爪剣モルス】


武器効果:

—防御力50%無視攻撃

—呪い攻撃(100%)

—邪竜の力解放

 効果:60秒間、STR・DEFが50%アップ、通常攻撃に黒い炎発生(攻撃力の1%の固定ダメージ)

 再使用時間:120秒



まるでメインストーリーのように、主人公ダリオンと裏切りの騎士セルディスとの戦いが始まった。




王の観戦台では、相変わらず約40人の敵が集まっていた。


王は倒れ、王宮魔法使いが必死に回復を試みているが、近衛騎士4名も魔剣の攻撃で腹を貫通され、完全に戦えない状態だ。


おまけに戦闘経験のない貴族数名。アルベルトと貴族の護衛を含めても、今戦えるのはせいぜい10人程度。敵は未だにアルベルトたちに休む暇を与えず、ずっと苦手な攻撃を仕掛けてくる。傷も段々増え、このままだと体力の限界がいずれ来る。王が回復次第、すぐに撤退を!


アルベルトは目の前の斬撃をガードしながら、王宮魔法使いの女性に話しかけた。


「陛下の容態は!?」


魔法使いの女性はすぐに答える。


「駄目です! 回復魔法は跳ね返されたのです! ポーションと回復のスクロールでもです! もしかして、あの剣で作られた傷は呪われているのかもしれません! すぐに教会に行き、〈聖水〉をもらえないと!」

「なに?!」


呪い——レベル差があっても付与成功率は低く、高レベルの闇魔法使い数人で一緒に呪い付与の魔法を使っても、付与できるかどうかもわからない異常状態。かかったとしても回復できないだけで、実戦では即効性がない。


それに、王には必ず異常状態耐性を上げる魔道具を身につけているため、呪いはほぼ付与できるはずがない。だから聖水は用意していなかった。


(ちっ、隙を……4秒くらい隙があれば! 広範囲剣技で全員焼き払える!)


その時だった。



「〈レイ〉!」



空から無数の光の柱が降り注いだ! それはまるで天から降臨した神罰のように、眩い白銀の輝きを放ちながら、王の観戦台を囲む敵たちを容赦なく焼き払った。光の柱は敵の身体を貫き、敵を瞬時に灰に変え、悲鳴すら上げる間もなく数十人が崩れ落ちた。


アルベルトは反射的に上にガードしたが、魔法の攻撃は彼らに向けられたものではなく、敵だけを正確に選別していた。そしてなぜか、自分の傷も、仲間たちの傷も、少しずつ——いや、驚くべき速さで治っていく。これは回復魔法?! 王宮魔法使いは王を回復中……では、この回復魔法は一体誰のものだ?


(……いや、今がチャンスだ!)


と思うと、闘技場方向から光の矢が連続で撃ってきた。その的確な狙いは残っていた敵を一瞬で一掃した。


闘技場内で待機していた援軍か?!しかし、援軍ではなかった。彼らの目の前に降り立ったのは、修道服のような白いドレスを身に着け、長い杖を持ち、誰が見ても見惚れるほど美しい銀髪の女性だった。


彼女の背中には、まるで太陽そのものが降臨したかのような神々しい日輪が浮かび上がり、周囲の空気を浄化するような柔らかな光を放っていた。


アルベルトと騎士たちは、すぐにその女性に剣を向ける!


「貴様は誰だ! これ以上近づけるな!」


その若い女性が、静かだが力強い声で答えた。


「時間がない。王を救いたいなら、道を開けなさい。」

「もう一度聞く。貴様は誰だ! 答えないと敵とみなす。」


確かに、王宮魔法使いたちの回復魔法は王に効かない。その他に瀕死な騎士たちもいる。でも、もしこの女が「奈落の七印」側の人間なら……。


ここで、闘技場中央から羽を持つ小さな少女が彼女の隣に近づき、何かを話した。すると、銀髪の少女は冷たい視線をアルベルトに向け、言葉を続けた。


「私は女神エリシア様が選ばれた聖女——シルヴィア。アルベルト殿、時間がない。王は私が治します。あなたは冒険者たちを加勢して、敵の魔剣使いを足止めしてください。そうでないと、邪竜は召喚されます。」


騎士たちと貴族たちの私兵も騒ぎ出した。「聖女?!」「邪竜の復活?!」普段冷静なアルベルトにもすぐに判断がつかなかった。


その中に、一人はこう囁いた。


「シルヴィアって、聖王国の聖杖を壊した犯人じゃないか! いや、あの女は死んだはず……。」


それを聞き、全員が反応し、武器を持ち直した。


彼らの言葉が聞こえたように、聖女と言われた女性は持っていた杖を隠していた布を外した。それは聖杖にすごく似た杖だった。


周りの人たちが「聖杖は壊されたはず!」「いや、似てるだけ」「でも俺達が回復された」とざわついている中で、彼女の口から力強い言葉が響き渡った。


「時間がないと言っている! 道を開けなさい! 王を死なせたいですか!」


そんな中、気難しいそうな老紳士の貴族が前に出た。


「道を開けろ! 聖女様、どうか陛下を救ってください。さっきのご無礼をお許しください。アルベルト殿、すぐにその冒険者たちに加勢し、敵の魔剣使いを倒してください。」

「かしこまりました!」


聖女シルヴィアは手を差し、一瞬でアルベルトの怪我を治し、羽を持つ小さな少女は彼に補助魔法をかけた。そんなアルベルトはすぐに闘技場の中央へ駆け抜けた!


光魔法が発動し、再び聖杖の範囲回復効果が広がった。老紳士の貴族は聖女シルヴィアに頭を下げ、それを体感した他の騎士たちも同じく頭を下げ、道を開けた……が。


ここで王を救援と言われ、ただの保護対象が増えた戦闘もできない太った伯爵が口を挟んだ。


「ロドリック侯爵様! これだけで彼女を千年前の聖女と認めるのか! そんな光、魔法で……」


やっぱり、反王族派の貴族は口を出した。ロドリック侯爵は「責任は私が取る」と言いたいところだったが。


「〈シャインショット〉。」


小さな白銀の光弾が早いスピードで伯爵の脚を貫いた。あの伯爵は当然すぐに悲鳴を上げた。出どころを見てみると、その光魔法は聖女の杖から発せられた。しかもその光魔法を発動した同時に、聖杖の効果で範囲内の人たちの軽い怪我が再び治っていく。近くにいるだけで怪我が段々と癒えていくのを感じ、元々半信半疑だった人たちも、シルヴィアは本物の聖女だと確信した。


シルヴィアたちは全員を無視して、王の側に走った。王宮魔法使いたちは息を呑み、場所を空けた。王は床に倒れ、魔剣に刺された傷口は未だに血を滴らせ続けていた。その他に近衛騎士たち4名も瀕死の状態。周りの人たちは邪魔しないように少し離れて、再び周りを警戒した。


タピオカはすぐにシルヴィアに王を治す方法を伝えた。


『シルヴィアさん、魔剣の攻撃は呪いを付与する。先に異常状態解除の〈ピュリファイ〉を使って、あとは〈ヒール〉でいいわよ。』

「ヒールで大丈夫ですか?」

『王様たちのレベルが低いですから、ヒールでも全回復できます。念のため、封印の術を使うための魔力を残したいのです。』

「わかりました。」


聖女シルヴィアは王に近づき、静かに杖を掲げた。まず、彼女は深く息を吸い込み、穏やかな声で呪文を唱えた。


「〈ピュリファイ〉。」


白銀の柔らかな光が王の身体を包み込んだ。魔剣の傷口から黒い煙のような呪いの残滓が蒸発し、ゆっくりと消えていく。


続けて、シルヴィアは杖を優しく王の胸に近づけ、穏やかだが力強い声で唱えた。


「〈ヒール〉。」


今度はキラキラな白銀の魔力を混じった黄金色の温かな光が王の全身を包み込んだ。腹に開いていた深い傷口が、まるで時間が巻き戻るように塞がり、血が止まり、肌が再生していく。王の顔色が一瞬で戻り、苦痛に歪んでいた表情が安堵に変わった。


王はゆっくりと目を覚まし、息を整えながら周囲を見回した。


「これは……私は……生きているのか……?」


王宮魔法使いたちは驚愕の表情でシルヴィアを見つめた。高位な呪い解除魔法にも使え、あの大怪我をこんな簡単に治されたとは、到底信じられなかった。


王宮魔法使いたちはすぐに王を席に座らせ、休ませた。シルヴィアは続けて瀕死状態の近衛騎士たちの回復に進んだ。


王は救い、タピオカは緊急クエストの進捗を確認する。



進行目標②:エルセリス国王エドマンド、冒険者ダリオンの生存。



(良かった、時間制限は消えた。ミニマップを確認したところ、先ほどの太った貴族が敵対の赤い点以外に、中立の白い点と味方の青い点が半々。騎士たちを回復しているシルヴィアは、私もいるから襲われることはないと思う。アルベルトはダリオンたちに加勢しに行った。では私は召喚魔法陣の魔力供給を止めるのが先ね。)


彼女はすぐに弓を引き、魔法の矢を続々と召喚魔法陣周りの奈落の七印の魔法使いたちへ放った。魔法陣に魔力を注ぎ続けていた敵を次々と貫き、陣の輝きを弱めていった。

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