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52 あれは一体…

哀れな騎士――セルディスを倒した俺たちは、そのまま塔を登り続けた。



37階の雷鳴巨人トールグは、入り口横で銅の槍を地面に突き立てていたが、唐辛子水玉であっさり撃破。


38階の幻影の道化師ミラージュはセリーナの姿に化けてきたが、レベルが低いの自分自身には勝負にならない。ただし、道化師は勝手にセリーナが知っている短剣技を使ってくるので要注意。もし〈シャドウステップ〉で背後を取られると危険だ。そこで背中を壁に貼り付けたまま水玉を操作し、結局は相変わらず唐辛子水玉で簡単に倒した。


39階の堕天使の尖兵ルシエルは少し厄介。サンダーハーピー同様に飛んでいるため、水玉を頭に張り付けるのが難しい。まずタピオカくんが唐辛子水矢で目潰し、俺はその流れでたらいを投げつける。地面に落ちたところで翼を切り、翼が再生する前にハメ技で速攻撃破。



そして、ついに40階へ。


40階のボスは〈古代兵器アーク・キャノン〉。要するに巨大タンクだ。攻略サイトによれば生き物ではなく、ゴーレムのような魔法生物。定番の唐辛子水玉は効かない。


だが対処法は意外と単純だった。


試しにキャタピラへ鉄鉱石を投げてみると、簡単に動きが止まった。移動できないことを確認したタピオカくんがさらに鉄鉱石を追加し、これで機動力を完全に封じ込めることに成功。


遠距離では主砲、中距離技「天空砲弾」は迫撃砲のようなものだ。砲塔は真後ろに回転できないため、遠距離・中距離の攻撃は地面に赤い範囲が表示され、その範囲に入らなければ当たらない。接近すると砲台に備え付けられたマシンガンのような魔導銃が最も危険だ。赤い攻撃範囲は真正面の扇型でかなり広いが、砲塔の真正面に立たなければ発動しない。


つまりキャタピラを封じた今、古代兵器の真後ろに陣取り、「天空砲弾」さえ警戒すれば完封できるはずだ。


真後ろから短剣と魔法で攻撃したが、防御力が高く、HPはほとんど削れない。ならば土魔法で砲口を塞ぐ!主砲の発射を誘発し、砲管を暴発させて内部から破壊するしかない。もしそれも通じなければ、弱点のジェネレータを守る外部装甲を削り切るまで攻撃するしかない。


その前に、暴発から身を守るため、俺はタンクの後ろの死角で距離を取り、土魔法で厚い壁を築いた。タピオカくんはその壁の陰にずっと隠れている。俺は囮役として遠距離から主砲を撃たせるよう仕向ける。発射準備のモーションを確認した瞬間、すぐに〈シャドウステップ〉でタンクの後ろへ移動し、土壁に身を隠した。



ドーーーーーーーーン!!!



……しかし予想外。砲弾は普通に撃ち出され、先ほど俺がいた場所で大爆発が発生。内部機構を暴発で破壊するつもりだったが、どうやら土だけでは「栓」としての強度が足りなかったらしい。


では濡れた土ならどうだろう?タンクの横で水魔法を使い、爆発で生じた火を消しながら、そのまま濡れた土を砲口に詰めてみた。


残念ながら、二発目の主砲も普通に撃ち出されてしまった。


そこで俺はヤケクソ気味に、大砲がリロード中の砲口へ魔法で大量の水を流し込んだ。さらに「栓」の強度を補うため鉄鉱石を詰め込み、その上から濡れた土で覆い固める。


こうして三発目を誘発するため、再び囮役として走り回る。警告音が鳴り響き、発射モーションが始まった瞬間、俺はすぐに土の壁の陰へ戻って身を隠した。もしこれでも駄目なら、大人しく後ろの装甲を破壊し、ジェネレータを狙うしかないだろう。


そして――三発目の発射音は轟音ではなく、悲鳴だった。砲口から炎と蒸気が噴き出し、砲管は爆発、詰め込んだ鉄鉱石が弾け飛ぶ。アーク・キャノンのHPバー3本は一気に消え、ボスは自らの力で内部から崩壊し、自壊した。


転移陣に入る前に、散らばった鉄鉱石を一つひとつ回収しながら、俺たちは反省会を始めた。




セリーナ:すごい爆発ですね、怖かった。

サクラリア:そうですね、音が大きかったです。

セリーナ:それは何の建物ですか?

サクラリア:新種のゴーレムではないでしょうか?

セリーナ:なるほど!


「作戦は成功しましたが、この方法はやはり危険ですね。」

『ええ、自爆の瞬間は土壁の後ろでもハラハラしました。ガチで怖かった。』

「次はキャタピラを封じた後、正攻法で後部の装甲を破壊し、ジェネレータを狙うしかありません。そして最後のHPバーに入った際に発動する大技――全範囲レーザー攻撃については、どう対処すべきでしょうか。」

『土壁の後ろに隠れるしかないと思う。それとも発動前にジェネレータへ大量の水を流し込む?ショートして止まるかも……いや、魔力で動いてるなら意味ないか。』

「うーん……土壁よりタンクの下に隠れる方が安全かもしれません。レーザーは砲台から発射されるので、本体の下、キャタピラの中央部分が一番安全だと思います。」

『キャタピラを封じた後は動かないし……いけますね。あそこが一番安全そう。』

「攻撃力が足りれば、大技が来る前にHPバーを削り切れるでしょう。」

『なるほど、周回時は攻撃バフをあなたにかけるわ。』

「お願いします。」


セリーナ:攻撃力が欲しいなら、

セリーナ:その“じぇねれーた”?弱点?に〈アブソリュートゼロビーム〉を撃てば倒せますか?


「『あ!』」


そうだ、ロマン砲のゲロビームがあった!


『弱点に私のバフをかけたゲロビームなら、いけるかも!』

「そうですね、気付きませんでした。よくやったね、セリーナ。」


こうして最後の難関も解決策が見えた。


続きの階層はまだ攻略サイトや動画で勉強していないため、これ以上は登らない。しばらくは31~40階を周回してレベル上げとタピオカくんの弓ドロップを狙う。安全第一だ。


俺たちは転送陣に入り、入り口の階へ戻り、昼間まで周回を続けた。



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悠希たちが迷宮都市ヴァロリアの覇者の塔で周回していた頃、バールヴィレッジのギルド長エルドラーナは、ナイジェリアの森の中心部にある遺跡ダンジョンから帰還した。


今回のクリスタルゴーレム攻略戦は、領主エトワールと冒険者ギルドの合同依頼であったため、彼女はすぐに領主邸へ赴き、攻略成功とダンジョン解放を報告する。


応接室に通されたエルドラーナに、老執事セバスチャンが香り高い茶を差し出す。ほどなくして領主エトワールが姿を現し、彼女の報告に耳を傾けた。


エトワールは眉をひそめながら言った。


「そうか……アリスはクリスタルゴーレムを瞬殺し、君たちを最深部まで導いてアラクネの女王すら瞬殺。彼女は予想以上に危険だ、君が言われた通り、監視はやめた方が良いだろう。」

「はい。あの強さは尋常ではありません。」

「信じがたい話だが、君が私に嘘を言う理由もない。すぐに監視中止を伝えよう。」

「信じていただき、ありがとうございます。」

「私は辺境の子爵に過ぎぬ、バールヴィレッジが平和ならそれで良い。触らぬ神に祟りなし……ただし、彼女を監視しているのは我々だけではないようだ。」

「もしかして……」

「あまり詮索しない方がいい。強者を国が欲しがるのは当然だ。他国に渡る前に手駒にしようとする者もいる。だから、アリスの正体と思われるセリーナへの監視は、あの人は続けているのだろう。」

「アリスさんを邪魔しなければ、大事にはならないと思いますが。」

「それは我々の手の届かぬ領域だ。考えても無駄だ。……さて、話をガンド村に戻そう。」

「はい。攻略法が判明した今、クリスタルゴーレムを討伐できる冒険者パーティーを中心部に駐留させる者を募集しています。魔石や高品質の破片は安定供給できるでしょう。」

「ありがたい。森の中心部に最も近いガンド村の再開発が落ち着いたら、私の部隊を駐留させる予定だ。その際は攻略法を教えてほしい。」

「ただでは教えられませんよ。」

「承知している。」


こうしてエルドラーナの報告は終わり、領主エトワールはガンド村と中心部の開発に忙しい日々を送ることとなった。


だがこの会話の裏で、エトワールは監視をやめたものの、第三者によるセリーナへの監視は続いていた……あの人物の正体は一体――。



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昼になり、俺たちは覇者の塔の第31階から40階までを、初回を含めて3周した。攻略法も徐々に洗練され、レベルは上がり、周回にかかる時間も短くなっていった。



【名前:セリーナ】

レベル 55 → 57


【名前:サクラリア】

レベル 47 → 51



セリーナのレベルが50を超えた時点で、新人経験値バフは消えていた。それでも焼き鳥丼の経験値バフだけで、短時間にレベルを三つも上げられたのは驚きだ。やはりボスの経験値は雑魚よりも圧倒的に多い。これなら、不死鳥が待つ50階に挑む頃には、セリーナのレベルは不死鳥を上回っているだろう。


焼き鳥丼の効果も切れ、俺たちは昼食をとるため転送陣から塔の入り口の階層へ戻った。


「そのまま小屋に転送したいのです。」

『だめです、塔から出ていかないと、あなたは死んだと思われてしまいますよ?』

「今回もまた囲まれると思いますね。」

『塔から出たあと、何も言わずに転送しますか?』

「ええ、そうしたいのですが……もしまた偉い方がいらした場合、それを無視すれば万が一塔を封鎖されてしまうかもしれません。それはさすがに避けたいですね。」

『はぁ……直接小屋に転送したい。』

「タピオカくんも、魔法少女の姿から元に戻して、フードの中に隠れてください。これから外へ出ますので。」


タピオカくんの身体は光の粒子に包まれ、サクラリアのいつものピンクのドレス姿へと戻った。彼女をフードの中に隠し、俺は再びキツネの仮面をかぶって塔の外へ出る。



おおおおおおおおぉぉぉぉ!!



塔を出た瞬間、予想通り歓声がわき起こった。俺たちが何階まで登れるか賭けていた連中が、未だに塔の周囲に集まっていたのだ。


衛兵たちも、群衆がこれ以上近づかないよう入り口周辺を守っている。昨日と同じ、まるで有名人が登場したかのような騒ぎ……だが、俺にとっては全く嬉しくない。


そして、筋肉ギルド長が当然のように俺の前へ現れた。


どうやら彼は「自分もこの塔を攻略できそうなパーティー」を止めるため、朝からずっとここに張り付いていたらしい。他に仕事はないのかとツッコミたいところだが、ギルド長がここに居続けるという事実は、この街で〈裁きの塔〉と呼ばれるこの塔から人が出てくることが、それほど珍しい出来事だという証でもあった。




ギルド長に俺たちはしばらく40階で留まると話したら。彼は賭けの野次馬を追い払うだ。


その後、守衛たちから次期侯爵の有能執事からの伝言で、俺達はいつでも塔に入ることを正式に許可された。それと、もし余った素材があれば侯爵家は冒険者ギルドより高く買い取ってくれるらしい。


あれは明らかに素材を買い取って、塔内にはそのモンスターがこんなのあるんだと推測したいだと思う。


守衛たちにお礼を話した後、「お先に失礼いたします。」を言って、俺はそのまま転移で翠夢の森の小屋に帰った。


こんな大勢な人の前に転移するのは初めて。まぁ、何を言われたら俺のスピード速すぎで、君たちが見えないだけと言えばおkです。実際転移する時、魔法みたいな光もないし、ゲームのように急に消えだだけだからな。



翠夢の森の小屋に戻ると、妖精の女王様はまるで自宅のように振る舞い、妖精用の冷蔵庫から勝手にコーヒーを取り出して新しく作った”ひとをダメにするクッション”に腰掛け、本を読んでいた。その背後では、メイド妖精二人も当然のように何かをつまんでいる。


本棚に並んでいた本は、製作時におまけとして付属していたもの。興味本位で女王様に尋ねてみると、それは王国の歴史書や初級教科書、モンスター図鑑のようなものだった。


その時、タピオカくんがふと気づいた。あの本棚は、この王国の魔法学校の図書館にあるものと同じ設定だという。つまり、付属していた本は実際にその図書館にある書物なのかもしれない。


なるほど――学園の本棚に教科書が揃っているなら、他の本棚B~Dを製作すれば、さらに教科書を揃えられる。そうすればセリーナも読み書きを学ぶことができるだろう。俺はすぐに追加の本棚作りに取りかかった。


昼食を済ませた後、俺たちは再び塔へ入り、二時間ほど周回した。残念ながらタピオカくんの〈雷鳴の羽弓〉は今回も出なかった。こうして今日の周回は終わりだ。丸一日続けるのはさすがに飽きるので、今日はこのくらいにしておく。


午後四時頃、小屋に戻り、セリーナのカフェを作る準備を始めた。製作できないものは市場で買い揃え、木材を集め、昨日の続きとして家具作りに取りかかる。


カフェは多くは店内で食べる形式だが、安全面を考え、メニューの力で店は非公開設定にし、他人は入れないようにした。そのため、カウンター式にすることに決めた。


店の前には四人掛けのテーブルを二組並べ、テーブルの中央には大きな日傘を設置。ケーキ用のガラスケースも製作し、基本的な準備は整った。残るは看板だ。だが看板は製作メニューでは作れないため、街で塗料を買い、自分で描くしかない。


画伯な俺には到底無理なので、看板の絵描きはほぼタピオカくんに任せることになった。


セリーナは一晩悩んだ末に、ようやくカフェの名前を決めた。タピオカくんはシルバーウィークが終わる直前、ぎりぎりで看板を完成させた。




水曜日、シルバーウィーク最終日の夜十時。


セリーナとサクラリアたちはすでに眠りについていた。俺は看板を手にハシゴを登り、木製の小さな板に描かれた「ケーキの積み合わせの上に大きな赤いバラ」の絵をカウンターの上に掛ける。


これで小さなカフェ――「ブロッサム・ガトー」が完成した。


やっと店作りが終わり、俺たちは小屋に戻ってひとをダメにするクッションに腰を下ろし、お茶を飲みながら一息つく。タピオカくんは妖精用のソファに座り、自分へのご褒美にチョコケーキを頬張っていた。


『やっと、完成だ~~!!』

「ふう……そうですね。看板は綺麗に仕上がりましたね。」

『ふふっ!身体が小さいから細かい部分を描きやすかったの。色とりどりの看板なら、すぐ覚えてもらえるでしょう。』

「毎日限定二十食の宣伝用の看板も、すごく綺麗に描けてましたね。」

『まぁ、バラは簡単だからね。でも二十食で本当に大丈夫?セリーナ一人だよ。』

「明日オープンじゃないので、彼女はしばらくは練習するつもりみたいです。ホール三~四個くらいの感じでしょうか。」

『メニューで作った料理にはバフがあるから、私たちは手伝えない、これはセリーナが自分で作るしかないよね。でもホール三~四個くらいなら、慣れればすぐ作れるはず。』

「サクラリアもレシピを知ってますし、多少は手伝えるでしょう。あの二人なら大丈夫でしょう。セリーナは金に関わるとすごく真面目ですからね。」

『確かに、買い出しの時は各店の値段を全部覚えてるもんね。でも、メニューの力で画像を見ただけでレシピを覚えられるのは羨ましいよ。』

「ワタシたちはボタン一つで作れますから、こっちの方が便利ですけどね。」

『それは違いない、ふふっ。』


念のため、俺は冷蔵庫を開き中身を確認する。お菓子作り用の材料は十分に揃っている。釣り銭も準備完了。制服とエプロンもテーブルの上に置き、今日の準備は終わりだ。


『あ~明日は仕事か~!嫌だな。飛べるのに慣れると、リアルでも飛べる気がしてきたよ。』

「あ~それはわかります。」

『豆腐くん、女装に目醒めた?セリーナにブラの付け方まで教えてたし。』

「そうですね、付けると胸のあたりに違和感がありました。仕方ない、今年の冬コミは好きな女性キャラでコスプレするか、サークル参加するときは呼んでください。」

『ふふっ、いいね。”君がホントにコスしたら”、私は君を脅し用に写真撮ってあげるね。……でもセリーナがブラの付け方を知らないのは意外だったな。この世界じゃ貴族しか付けないのが定番だけど、彼女の元家業は裁縫屋でしょう?』

「まぁ、金持ちしか買えないものですからね。修繕を頼まれても、他人の下着を実際に着ける人はいないでしょう……普通。」

『それもそうか……あ~やっぱりリアルでも飛びたい~!』

「そうですね。ワタシも急に元の身長に戻ると、違和感を覚えます。」

『それと胸辺りですよね。』

「そこは…まぁ、触れないでください。しかし、長くセリーナになると、ワタシがうっかり職場で女性らしい仕草がつい出てしまいそうなんです。」

『ふふっ、これは見て見たいわ。まぁ、シルバーウィークみたいな連休じゃないと、五日連続でログインできる機会なんて、そうそうないよね。』

「そうですね。まだ十時ですし、今日はどうします?」

『もちろん二周くらいは余裕でしょう。』

「わかりました、覇者の塔に行きましょう。」

『〈雷鳴の羽弓〉!今日こそ手に入れるんだから!』

「物欲センサーに感知されますよ。」

『しまった!』


次期侯爵の有能な執事のおかげで、俺たちはいつでも塔に入ることを許されていた。その夜、塔の31~40階を二周した後、小屋に戻り、そのままログアウトした。



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【名前:セリーナ】

レベル 57


【名前:サクラリア】

レベル 51 → 52



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その夜、王都のとある部屋。


魔法鳥が静かに舞い降り、執務机に座る人の前へ手紙を置くと、瞬く間に姿を消した。


その人はペンを置き、すぐに封を切る。目を走らせた瞬間、思わず息を呑む。


手紙にはこう記されていた。


「ターゲットと思われる少女は迷宮都市に到着。ほぼ同時期に“アリス”なる人物が現れ、裁きの塔に侵入し、40階までを制覇した。ターゲットの少女は塔へ近づく様子はなく、街で店を開く準備を進めている。一方で、“アリス”の出現時期はあまりに出来すぎており、噂通り両者の関連性が疑われる。 少女の尾行は容易であるが、アリスは神出鬼没であり、追跡は困難。両者が同一人物である可能性も視野に入れ、監視を継続する。現段階ではカースティア伯爵との関わりは確認されていない」


手紙を引き出しにしまい、その人は深い溜息を吐いた。


(依頼人はカースティア伯爵か……?いや、彼女はまだ伯爵と接点を持っていない。だが、なぜ依頼の素材が塔内にいると知っている?しかもソロで裁きの塔を40階まで制覇するとは……クリフォンがいるはずの階層を突破したというのか。これ以上の実力があるというのか?……ふぅ、ひとまず“塔”の件だけ陛下に報告すべきだ。アリスについては、伯爵との繋がりが判明してからにしよう。今は監視を続けるしかない。)


そう心に決めると、謎の人物は再び執務机に向かい、淡々と報告書を書き始めた。

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