24話 VS龍王戦1
遅めのハッピーニューイヤー。
カインが前世を思い出しながらソフィアを慰めている頃、
リマリアは、
『ちっ、あのクソ婆もう手を出してきやがりましたか。まさか、トラップに介入
してくるなんて』
リマリアが呼ぶクソ婆は、リマリアが支配している混沌の迷宮上層にて発動した
交換制転移トラップに介入し優也達を最下層の自分のエリアに引き込んだのだ。
『あのクソ爺のことですし戦闘目的でしょうか。遅かれ早かれ連れて行く積もり
でしたが死なないでしょうか.......まあ、気に入られなければそれだけの器だ
ったってことでしょう。問題ないとは思いますが』
因みにだが優也達に話していた口調は半分ほど素でありこの口調が正真正銘の素
の口調である。
・・・・・◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇・・・・・
ドラゴンが息を吸い込む。
あれはブレスだ。
香里が〈水聖の城壁〉を全方位に発動し受け流す準備を始める。
と、同時にドラゴンの放つ極炎のブレスが放射される。
火炎放射のような勢いだ。
「くぅっ!」
「くそっ!!何なんだあの強さは!?」
「.....まさか、龍王?」
『グッハハハハハ!どうした、古き血の末裔よ。うぬ等の力はその程度か!』
ブレスが纏まっていきビーム状に変化する。
香里は、魔力を集め全方位に張っていた〈水聖の城壁〉を前方に集中させ角度を
つけて逸らすようにしてから魔法とのリンクが切る。
「これじゃ時間稼ぎしか出来ない。ひとまず逃げよう」
香里は戦闘中は饒舌になるのだ。
先程の動揺は薄れ俺たちに指示を出してくる。
かく言う俺もつられて冷静になりそれに従い香里の小規模な転移で離脱する。
香里は、かなりの数の空間魔法を受けていたため空間魔法を把握し始めていた。
『甘いわ!ぬぁぁぁ!』
ドラゴンの雄叫びで勢いの増した極炎のブレスは〈水聖の城壁〉を蒸発させ先程
俺らがいた場所を通り抜ける。
「俺達は戦う意思はない!矛を収めてくれ!」
『知らん!』
ドラゴンの後ろに周り転移し声を掛けるも返答は尾の攻撃で返される。
ここに転移してきてからずっとこの調子である。
いきなりドラゴンが前に現れたかと思うと『待っていたぞ、古き血の末裔よ。さ
あ、血湧き肉踊る闘争を!』と言って襲いかかってきたのだ。
「ぐぅ!ハァッ!」
神龍一刀で上へ逸らす。
この刀で切れないと硬すぎないか!?
「優也、チナミ戦おう。三人で全力でやればいけるかもしれない」
香里が神鬼水液で弓矢と指輪をかたどりながら言う。
正直言ってイライラしていたしこのまま話をし続けても暖簾に腕押し、意味がな
さそうだし攻勢にでるしかないか。
『ぬぅっ!』
上に流した尾が下に叩きつけるように降ってくる。
大きさとあいまって壁が落ちてくるようだ。
「ぐおぉぉぉおおぉおおぉっ!」
神龍一刀を上に構え身体強化系のスキルを重ね掛けする。
あまりの圧力に周囲の地面が陥没する。
「ぐぅおお!香里っ...チナミっ今のうちにっグハッ!?」
香里達に追撃するように頼み、尾が振り上げられたと思った瞬間尾が横凪に振る
われ身体が吹き飛ぶ。
「優也っ!?だ「大丈夫だ!」分かった!」
香里は、ドラゴンの頭上に転移をして攪乱する。
チナミは、側面から攻撃する。
その間に立て直した俺は神龍一刀に魔力を込める。
リマリアに聞いたのだがこの刀には、第一、第二解放状態があって魔力を一定
量注ぎ込むと順に解放されていくのだそうだ。
「第一制御解放っ!!」
力が刀に込めた倍以上の魔力の奔流となり溢れでる。
この魔力に気付いたのか香里をブレスでチナミは、前足で吹き飛ばし声を掛けて
くる。
『ほう!いいではないか。それなら儂に傷を負わせることができるぞ。さあ、こ
い!』
「ふっ!」
地面が爆ぜる。
第一解放状態なためか身体能力も上がっている。
気絶しているチナミの所に駆け寄り回収すると、香里が転移で跳んでくる。
香里が気絶していないのは寸前でブレスを回避したからだろう。
「へぇ、すごいね。漏れ出した魔力だけでそれなの?。放出抑えれない?」
『おい』
「いや、俺じゃ無理だな。香里ならできるかしらんが魔力が強すぎる」
『おい』
「それはそれとして、チナミを起こすか」
『死ね』
「転移」
残念。
脳筋っぽいし煽り耐性低いかと思ったんだが方向性が違うか。
わめき散らす方向じゃなくて冷静にキレる方か。
「香里、援護頼む」
「分かった。チナミもさっさと起こして手伝わせるわ」
先程の転移で上に跳んだ俺は、香里に矢継ぎ早に指示を出し落下と共に居合いの
型を取る。
「〈飛剣・烈風〉」
第一解解放状態の時には、スキルの飛翔に五つの属性で撃てるようになった。
最初となにが違うのかと言われたら威力としか言いようがない。
敵を燃やし斬る―豪炎
敵を凍りつかせる―氷極
敵を斬り裂く―烈風
敵に衝撃を伝える―衝土
敵を電光石火の速さで斬る―雷鎚
どれも威力が上がって例えば烈風なら飛剣に全力で風の属性を混ぜた時と同じ切
れ味を百分の一の労力で放てる。
だから、切れ味も恐ろしい事になってる筈なのだが....
『やっとその気になったか!』
「なっ!?ぐあっ!!」
ドラゴンの全身から勢いよく炎が噴き出し風の刃を消し去ってしまう。
余波で俺の体も焼ける。
「〈岩石〉はあっ.....ふっ!」
余波で吹き飛ぶのをなんとかこらえ、後ろに岩を作る。
それを、足場にしてドラゴンの首の下に飛び首筋を裂く。
漸く香里とチナミが援護してくれてるからドラゴンはさっきのような隙のデカい
技を使えないので焼かれる心配もない。
『グハハハッハ!いいぞ、儂を楽しませろ!』
ドラゴンは、傷などものともせずに暴れ続けている。
しかし、俺もヒットアンドアウェイを繰り返しているので攻撃が当たらない。
そんな膠着状態の中ドラゴンが動き出した。
『うむぅ、この体じゃと当たらぬな。仕方がない!』
と言うと、隙ができるのを知っているのにも関わらず全身から炎を噴き出した。
多少、香里は訝しんだようだがチャンスではあるため貫通系の魔法を放った。
前回よりも長く噴き出している炎に雷槍が勢いよく突っ込むと炎を突き抜け背後
の壁にぶち当たり四散した。
「えっ?」
香里の疑問の声が後方に聞こえる。
俺もそう思う。あの質量と大きさなら外す筈もなく、雷槍は貫通した後体内で拡
散する魔法な筈なので突き抜ける訳がない。
「うむっ。久々にこうなったが上手くいったな。では、続きだ!」
爆炎が晴れるとそこには1人の美女が全裸で立っていた。
飛んできた拳を避けながら思う。
ああ、そういえば強い奴って大体人型になるよなと。
ーーー続くーーー




