22話 カイン、残念時々主人公
カインのそこはかとない主人公感
目の前に巨大な斧を振り上げる牛頭の巨人−ミノタウロスがいた。
「うおっ!?」
一斉に散った。
俺と香里とカインを蹴り飛ばしてこっちにきたチナミが右に、カインはミノタウ
ロスの股の下に飛ばされた。
「我に何する!。先程から、我の扱い雑ではないか!?」
カインは、飛ばされた所から更に前転し、ミノタウロスの後ろに立つ。
器用なことに、転がりながら喋ってた。
「.....さあ?〈氷結針〉」
「ブモォォォォォォ!?」
「おいぃぃ!?」
チナミが氷の針を発現させミノタウロスの目とカインの足元に発射する。
カインは、バックステップでかわす。
容赦ねぇ。と言うか氷魔法も使えるのか。
「...凄い。...私も〈火炎槍〉」
何に驚いたのか知らないが、香里も炎の槍をミノタウロスとカインに飛ばす。
針と違い大きいからどうすんのかと思ったら、ミノタウロスを迂回してカインに
当てていた。
魔法を発動後に操作するのは高等技術なので凄まじい無駄遣いである。
シュボンッ!
カインは、いつ取り出したのか一つの剣で向かってきた炎槍を消し飛ばした。
そして、一直線にこちらに向かって来る。その姿は、さながら幽鬼のようでふら
ふらとした足取りだ。
「モォォォッッ!!」
後ろにいたカインに今更ながら気がついたのか、これまでの怒りが爆発したよう
に斧を横薙ぎにする。
しかし、片手の剣で斧を止め、もう一つの赤く赤熱している刀を取り出した。
「...モォモォうるさいぞっ!」
カインは、それを一閃する。
その刀は、一瞬でミノタウロスの肉と骨を断ち切り、傷口を燃やしていく。
あの刀は....うん、料理包丁だな。
家の台所に似たやつあったわ....用途不明な物として。
今更だがあれは、異世界のだったのか。
と、そんなこと思っているとミノタウロスの身体が左右に分れカインがやってき
た。シュバッ!とチナミと香里が俺の後ろに隠れる。
これは、自業自得だな。多少の罰はありだろう。
俺は二人を差し出した。慈悲はない。
「死ね」
カインが二人の頭を片手ずつで握る。俗に、アイアンクローである。
「痛い...割れるぅ」
「痛たたたたあぁぁっ」
上から香里、チナミである。
握る握る。
「いいいいいいっっっっうぅ!」
「いたあたったた!」
そろそろやめた方が良いんじゃないだろうか。
暴れてるよ。危ないんじゃないか?お前が。
「クッククク、苦しいだあああああ!!??」
「...痛い。止めてくれてもいいのに」
「そうだよ。....お詫びに食べさせて」
「自業自得だ、やかましい。あと、却下だからな」
香里とチナミが暴れた末、二人の足がカインの股間にクリーンヒット。
ほらみろ、お前はそういう運命だ。
「おおおおおお」
「気持ち...悪.」
「同感」
「哀れカイン。さらば」
俺達は、股間を押さえるカインを残し立ち去った。
というか、一歩踏み出したら転移した。
.........多くない?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はぁはぁっ、はぁ......あいつらはどこに行った?」
漸く痛みが引いたころカインはやっと優也達がいない事に気付いた。
カインは、しばらく地面に手を置いた。
「......む、あっちに一人いるな」
カインが使うのは魔力を波状に飛ばし空間を把握するオリジナル技術《サーチ》
である。
膨大な量の魔力と技術を要するので割と難易度が高かったりする。
その、《サーチ》に広い部屋で魔物とは明らかに大きさが違い反応の小さいもの
があった。この、反応が小さいというのは生命力の話であって要するにこの人間
は死にかけというわけだ。しかも、近くに特大の反応がある。
「っと、マズいな《時と空間を司りし者の力の欠片、見るがいい〈ワープ〉》!」
因みに、これもオリジナル魔術でリマリアのように無詠唱も出来ないし距離も
遠い場所は飛べない制限があるものの香里にはまだ真似できない芸当だ。年の功
は伊達じゃない。
しかし……
「転移場所がズレただと!?」
そこは魔物が四方にいるものの広い部屋ではなく狭い部屋だった。
視界範囲内は全て魔物である。
よく感知するとこの感知出来る範囲全域に阻害系の魔法が掛かっていた。
これのせいで転移位置がずらされたようだ。
「ちっ、これは...右!」
即座に剣をマジックボックスから剣を取り出し部屋の右手にある通路まで斬り進
む。部屋に被害が出ないレベルで一振り、二振り、三振り、進行方向の魔物の殆
どが死に絶える。
迂闊にワープは使えないため、走って向かうしかない。
「っ、間に合うか?」
部屋を出て走りながら襲い来る魔物を殺す。
幸いにも、道がそう複雑ではないためカインの記憶力でも問題ない。
別に、悪い訳でもないのだが。
「あれか!」
右、真っ直ぐ、左、右と進み見えた広い部屋に少女とサイクロプスがいた。
少女の容姿は、銀髪ロングヘアーに狼耳で顔のパーツも完璧であった。しかし、
それらを引き下げる程に目が死んでいた。がその思考は中座される。サイクロプ
スが足をを振り上げていたのだ。
「ブアァアアアァァァ!!」
「ぐぅぅぅ!!」
「………?」
なんとか、間に体を入れ剣では、圧力が大きすぎるため盾で耐える。。
金剛石、アンダマイト、ミスリル、ヒイロカネの合金をふんだんに使った自作で
ある。命名は、レフレクシオン。
「オラァッ!!」
「ボァッ!?」
カインが押し返すと同時にレフレクシオンが光り輝き極光を放射する。
これは、物流限定の能力で効果は”受け止めた衝撃を極光に変換して放射”だ。
しかし、サイクロプスは多少肌が焼け焦げ怯んだだけでギッとカインをにらめ
つける。
「ボブァアァ!!」
「ちっ、よっこいしょっ」
サイクロプスは両腕を祈るように組みゆっくり振り上げると一気に下ろす。
カインは、先程の一撃で壊れかけた盾をしまい込んで少女を抱いて後ろに回避
する。
すると、少女は漸く助けられた事に気付いたのか顔を青ざめる。
そして、悲痛な顔で
「どうして私を死なせてくれないんですか!?」
と言った。
ーーー続くーーー




