19話 香里side 最初からクライマックス?
「はぁぁぁっ!」
「.....ふっ!」
キンッ
私の剣が弾かれる。
最初に攻撃した直後からずっと繰り返される光景だ。
斬っては弾かれカウンターを斬り返す。
いい加減に飽きてきた。
「らちがあかない!ルシエ!ちょっとお願い!あれやって」
《わかりました。5分待って下さい》
「.....やらせない本気で行く。ちょっと違うけど...『最初からクライマックス
だぜ!』」
見事な某魔法系仮面ライダーの物まねだった。
「なんで知ってるの!?」
「....内緒。いくよ....《神の剣は全てを貫く〈神聖剣〉》」
7つの剣がレイラの周りに現れた。光魔法に似た魔法を知ってるけど明らかに圧
が違う。私の知らない魔法!?まさか...
「固有キル...いや固有技能か」
「...正解..私の白魔法食らうといい。〈発〉」
レイラの命令により一本一本が必殺の威力を持つ剣が襲いかかってきた。
けど、私はそれを持っていた剣で受け流す(・・・・)。
「なっ!?」
「驚いた?私の小太刀の得意分野は受け。それが剣であろうと変わらない。剣
が武器なら大抵は受け流せる。失敗だったね」
「.....別に。人は圧倒的物量差には叶わない。〈神聖剣・散〉」
次の瞬間、7つの剣が無数の刃となりこっちに向かってきた。
「くぅぅぅっ!」
剣で受け流して致命傷は避けているものの体中に傷が増えていく。
更に...
「....これを受けて死なないの...は賞賛..に値する..。敬意を込めてこの魔
法を《それは、死ではない救いである。我に立ちふさがりし敵に慈悲無き一撃
を。神をも滅するその槍で〈神滅槍〉》」
未だに刃を受け流している私の頭上に何の変哲の無い槍が出現する。
私がブルーオーガを殺した時よりも短い詠唱のそれは必殺何て生温い"必滅"そ
れ程の威力が込められている。
「......受けてみてっ!」
状況から見て対処は出来ない。私は(・・)無数の刃の対処に追われている。
アレを防御出来る魔法を今は(・・)持っていない。
そして、そのまま槍は落ちてくる。
スンッ……ゴバァァァァンンンン!!!!!!
・・・・・・◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇・・・・・・
〈神滅槍〉は凄まじい威力を誇り底が見えない穴を作っていた。
その穴は、1Kmはありその威力が窺える。
「………やった?」
そうレイラが思うのも仕方が無いだろう。全魔力の7割を使い残り魔力も普
段の1割もない。香里にあの時打つ手など無いに等しかった筈だ。倒せはし
ないものの重傷は負っていると考えていた。
そう、〈神滅槍〉が当たる寸前までは....
「ダメだよ。レイラ。日本の文化を知ってるなら『やった!?』なんて言う
もっともなフラグを立てたらね」
後ろにある香里の声に気付いて前に転がる。しかし、それを予想されていた
のか横にある剣によって吹き飛ばされる。
「えっ...!?」
レイラは驚いていた。咄嗟に防御した手が氷に覆われたからではない。
勿論、その事にも驚いたがのだがそれ以上に香里の持っている剣に驚い
た。。それは、材質が氷だが〈神滅槍〉と同じ雰囲気を
持っていた。
「ふふっ、驚いた?これはね〈魔氷剣〉。〈神滅槍〉を模して
さっき創った魔法」
香里は、この剣で周囲を凍らせ〈神滅槍〉をやり過ごしてい
た。物語ではグラムはグングニル負けてたりするのだがそこを指摘するもの
はいなかった。
「..そんなの..できるはず無い」
「でも出来るんだよね。作業方法はヒ・ミ・ツ」
「....どっちにしてもそんな事乱発出来るハズ..ない。そもそもMPもあん
まり残ってないでしょ?」
「うぐっ、まっ、まあMPはそんなにないしグラムも直ぐに消えちゃうけど
魔法を創る分にはMPはいらないんだよね」
この話に嘘はなくスキルはいくらでも創れた。しかし、グラムはMP消費が
激しいため少し体がダルかった。
「だから、最後はこの体を使うよ。〈魔装・紫電〉っ!」
見た目に変化は無く特に身体強化以外の魔力も感じなかった。しかし、レイ
ラはこの場でハッタリを使う意味など無いと思っているので後先考え無い魔
力で最大限肉体を強化出来る魔法を使った。
「...出来れば使いたく..無かった。決戦用魔法〈劣化神化〉」
瞬間、この部屋に凄まじい白銀の魔力が吹き荒れる。
おもあず、目を閉じた香里が目を開けると白銀の魔力を纏い強烈な神々しさすら
感じる威圧感を放つレイラがいた。
「っ、凄いわね。でも行くわ。はぁっ!」
「.....こい」
香里は、一瞬でレイラの横に跳ぶと顔に向けて回し蹴りを放つ。
〈劣化神化〉とは、名ばかりの白魔法で強引に身体強化しただけの魔法。しかし、
それは攻撃、防御、速度共に桁外れに強化された体を存分に発揮し蹴りを無視して
突きを繰り出す。
「はぁぁぁぁ...っ!?」
「ぐはっ!」
回し蹴りと突きは同時に当たり急所をなんとか外せた香里は吹き飛び、回し蹴りに
直撃したレイラは、紫電に包まれ膝から崩れ落ちる。
「.....んんっ!?」
体が痺れて声も出ないのか言葉にならない声を上げる。
そこに、口から血を吹き出しながらあるく香里が近づく。
「はぁはぁはぁっ....予想外だったわ。あそこまで速いなんて。けど、終わりね。
体が痺れて動けないようだし。瞬間的に、待機させた紫電を纏って放つ。貴方の
魔法を通るかは、賭けだったけど良かったわ」
そう言った、香里は麻痺から復活しないうちに掌低を打った。
ーーー続くーーー




