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8話 善民拉致事件①

「まじで授業だりー」

半袖短パンの金髪が校庭で嘆く。

「何を言ってるんですか、バカなんだから真面目に受けたらどうですか?」

すると、隣から長袖長ズボンの男子が冷笑した。

「こんな体育なんて、雑魚どもとやったって意味ねーよ」

「ここを幼稚園かなんかと間違えてませんか?僕、迅斗(じんと)くんより弱い人見たことありません」

「幼稚園児でも強い奴はいるんじゃないか?」

ついには、話を聞くだけだったかずまも馬鹿にしている。

「二人ともぉ…舐めやがって…」

ーキーンコーンカーンコーン

「よぅしー、これにて六限目はお終いだー。はい、解散ー」

三人で授業をサボり、ダラダラとしていると授業は終わった。

「じゃあ、俺は夏帆(かほ)と帰るからまたな」

「さっさと帰りやがれ!」「また明日ですね。さようなら」

そうして、いつも通りの現地解散で三人は別れの挨拶を終えて歩き出す。


気が付くと二人はもう家に着いていた。

やはり夏帆との時間は早く経ってしまう。

「家には私たちしかいないんだね」

「そうだな、今日は一年生は学校が休みで、霜佳(そうか)と水雨(みう)はビックモールまで行ってるからな。でも、すぐ帰ってくるんじゃないか?」

そんな会話をしながら家に入る。

実のところ、霜佳と水雨は姉妹なのだが、歳の差が一年離れていないのだ。

「お茶でも淹れるね」

ーピンポーン

その時いきなりだった。

帰ってまもなくインターフォンがなり、カメラで見てみると水雨が玄関で辛そうに立っている。

何故だ、鍵を持っているはずなのに…

「いま、開けるからなー」

ーガチャ

すると、開けた途端いきなりかずまに倒れかかってきた。

「おにぃ、おにい、ちゃん…」

「なにがあった!?」

朝見送った時の服はボロボロになり、水雨は相当混乱しているようだ。

「落ち着いてなにがあったのか話すんだ!霜佳は?」

「お、お姉ちゃんは、うぅぅ、ぐすっ、私を、助けるた、ためにぃぃ」

「…」

「わ、悪い人たちが、みんなを閉じ込めてぇ、警察に、みんな捕まっちゃったぁのぉぉ」

「霜佳も、か?」

「う、うん」

許せない。絶対に許さない。よくも大切な妹を。

今、水雨は警察に捕まったと言っていた。

ならば、二区にある警察庁兼刑務所の国家警察署にいるに違いない!

そうと分かったら、霜佳を助けに行かなくては。

「夏帆!こっちに来てくれ!」

「えっ、わ、分かった。…水雨ちゃん!大丈夫?」

「か、夏帆ちゃん…」

「よし、二人とも行くぞ」

そうして、可愛い二人を軽々持ち上げ、風のような速さで会社に向かった。

「社長!二人を頼む!お前もいたのか。変なことしたら許さないからな」

「おい、風解(ふうかい)、ちゃんと説明しろ!社長なんとか言ってくださいよ!」

たまたま居合わせた蜜澤(みつざわ)は社長に異議を申し立てる。

けれど、一番驚いていたのが社長で、唖然としていた。

なので、秘書の的召(まとめ)が代わりに反応してくれた。

「もう行ってしまいましたね」

「はぁ」

こうやって、いつも振り回されるとため息しか出ないのだ。


急がなくては!だが、〈風〉だけでなんとかなるか?そうだ!ちょうどいいやつがいた。

たくっ、こんな豪邸に住みやがって。

かずまが着いたのはクラスメイトである天涯迅斗(てんがいじんと)の家だ。

ーピンポーン

「おい、勝負だ。来い!」

「んだ?いきなり。ライバルからの誘いを断っ!」

話の途中だったが迅斗の首元を掴み、かずまは国家警察署へと走っていく。

「迅斗坊ちゃん!!」

事態を察して、玄関から赤髪の美しい女性が出てきた。

「うわぁぁ、鮮乃(あやの)ちょぉぉっと、帰りがぁぁ遅ぉぉくなるぅぅ」

迅斗は一応裕福な家庭であるため、メイドもいるようだ。

早く、助けに行かなくちゃ。

待ってろ霜佳!

人物紹介

・風解かずま

妹が危険な目に遭い、怒りに震える兄。どんな手を使っても助け出す。能力〈風〉

・天涯迅斗

友達からは雑に扱われるバカな性格。電気を使える。

・風解水雨

今は事件に遭い、とても混乱している。能力〈?〉

・鮮乃

天涯迅斗の家でメイドを務めている赤髪の女性。過去に色々あり、今はもう迅斗の親のような存在となっている。能力〈?〉

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