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52話 始動

「よく休めたかな?」

そうおじいちゃんのように日奈(ひな)に問いかけるのは辺境守護者の総司令、集致収群(しゅうちおさむ)だ。

今はホールのような場所で集まって話をしている。

「はい、おかげさまで」

「封印の解除はもういい。俺たちは帰ろう」

廉(れん)は日奈を気遣い、仕事を中断することを勧めている。

「それはダメだから。仕事は仕事!任されたものはしっかりやり遂げないと」

「本当に大丈夫か」

廉は日奈が無理をしているように見えるため、それなりに心配をしてしまう。

「そんなに心配ならちゃんと近くで見守ってよね」

「…」

日奈にどう言われようとも、曇った顔は晴れることはない。

「集致さん、さっき話した通りでお願いします」

「了解した」

「ふはぁ。待ちくたびれたぜ」

そうして、昨日のガラス張りの部屋に四人は向かった。

先ほど話し合ったこととは、集致が封印を一時的に解除し、その間に廉と日奈の二人がいろいろ調査をするということだ。

加えて日共水(ひきょうすい)は近寄らず、ガラス越しで見学という条件もつけられている。

「もう一度だけ、確認をするぞ。封印には触れないこと、それだけを気をつけなさい」

最後の念を押して、各々が定位置についた。

結界のギリギリで構える日奈と廉。

それを不敵な笑みでガラス越しから見つめる日共水。

重要な機会の前に立ち、解除を可能な状態にした集致。

「では、覚悟は良いな…解除」

ーシュッ、ポチ

最高権限のカードをスライドさせ、封印の固定を解除するボタンを押した。

これで、封印に近づくことができる。

ースタッスタッスタ

「やっと、解いてくれたー。この時をどんなに待ったことか…ほんと君達には感謝だね!日奈君、廉君、あとー…?何で君は生きているのかな英雄君」

突如として現れた細身で白衣を纏った男。

あるはずのない空間から階段が創造され、それを悠々と登ってきた。

日奈と廉を認知していた男は日共水を見て、英雄という呼び方をしている。

「…何で…」

「んーまぁいっか。今は使えないし」

「誰だ!どこから入ってきおった!施設はなんも検知していない」

ボタンの前に立つ集致は不法侵入者のとてつもない異常さを感じとっている。

そして、万が一のため、再度封印を固定するボタンわ押そうとする。

ーガチャガチャカチャ

「なっ何だと」

一瞬にして生み出された機械により、ボタンを囲われ、押すことが不可能となってしまった。

「させないよ。せっかく、僕じゃ解除出来ないものが解けたんだ。まったく、創設者は僕の苦手なタイプだね」

男が話している中、誰も動くことができない。

「みんな緊張しすぎだって。あぁ誰かわからないんだよね?日奈君は知っているはずだよ」

その問いかけに対し、日奈は呼吸が荒くなる。

この男はかずまの話していた…

「噂の人物稀縞幸造(きいじまこうぞう)とは僕のことさ!!」

「!?」

その名前を聞いた瞬間、廉と日奈はすぐさま攻撃体勢に移った。

ースタッスタ

「あはは、ちょっと待とうよ。今は僕の話、聞いてほしいなー。…聞けないなら、こっちもそうするしかないよね?」

封印に近づく男、稀縞はただならぬ存在感を放っており、攻撃を躊躇ってしまう。

そんな時

「誰かがこの施設内に侵入いたしました!直ちに警戒を…お、お前かぁ!」

右胸にワッペンをつけ、右手にはライフル銃を携えた辺境守護者の一人がこの場に駆けつけた。

しかし、廉は気づいていた、ゲートで応答をしていた職員でもあるということを。

「馬鹿者!何もするでない!」

「やっと、実践する機会が来たんでやらせていただきます!総司令のお力もあるので大丈夫ですよ!くたばりやがれ不法侵入者ッ」

ーダダダダダダダダッ

その職員は慣れた手つきで弾丸を正確に稀縞に狙って発砲した。

ーカッカッカッカッカッカッカッカン

「あ、ありえないぃ」

発砲の直後、稀縞を取り巻くように機械が下から造り出され、弾丸を全て防いでしまった。

「ははっ、言うことの聞けない脳なしは僕の望む世界には要らないよ」

すると、稀縞の付近にある機械がカチャカチャと音をたてながら銃の形に変形し始める。

ーパン

「くわぁぁぁぁああ」

小さな銃声のあと、職員は踠き、悲痛の叫びを挙げている。

それは腹部を直撃し、流血もしている。

そんな様子を見て、廉は止血をするために職員のもと駆け寄ろうとするが、集致が制止した。

「案ずるな!致命傷ではない!」

「ちゃんと診なきゃわからないだろ!」

「そのワッペンを見たまえ。私の能力〈軍隊〉の印だ。付けている者の能力向上、又、位置や状態を把握出来のだ」

「わかった…」

「今はあの小僧から目を離すでない」

「ふーん、面白い能力だね。でも、助かったよ!おかげで廉君にまで撃たなくて済んだし、みんなが話を聞いてくれるようにしてくれた!」

創造物を地面に埋め込んで、稀縞は攻撃体勢を辞めた。

「小僧よ!何のた…」

「何のために?それを今から教えるんだよ。僕はね、何でもかんでも喋りたくてしょうがないんだ。…だから、みんなちゃんと聞いてね」

集致が言おうとしたことを先に言う稀縞。

この状況で稀縞は何を語るというのだろうか。

人物紹介

・日比谷日奈

ショートの灰色髪女子。間近での封印調査をする際に現れた稀縞に動揺している。能力〈太陽〉

・岡田廉

ガタイの良い黒髪男子。稀縞を目にして、圧倒的な力の差があることを察していた。能力〈拳〉

・日共水

派手な髪型の男。稀縞に「なんで生きているのかな」とありえないことを言われ、虚をつかれていた。能力〈爆〉

・集致収群

保護監視施設の辺境守護者総司令として務めている。非常事態でも対応出来る熟練された男。

能力〈軍隊〉独自のワッペンを造り出し、それを付けた者の能力向上、位置や状態を知ることができる。

・稀縞幸造

黄色髪の白衣を纏った痩せ型の男。封印が解かれたと同時に現れた謎の存在。

能力〈創造〉自身が構造を理解している機械を自在に造ったり、操ったりできる。

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