51話 封印の謎
ゲートをくぐり抜け、集致収群に続いて日奈、廉、日共水は保護監視施設へと歩いていた。
敷地には入ったものの、施設は山頂付近に作られているため、斜面を登らなくてはならない。
「では、お三方!保護監視施設にようこそお越しいただいた。私が責任をもってご案内しよう」
施設入り口に辿り着くと、集致が改めて挨拶をし、ようやく室内に入ることができたのだ。
「わぁ思ってたより綺麗」
「綺麗っていうよりメカニックじゃないか?」
「そうかも」
「こりゃ唆られるなぁ」
施設内は機械的な構造が多く見られ、警備もしっかりとしている。
「やはり、あなた方が調査するものと言えば、この施設が作られた要因でもある封印であろう。今からそこへお見せしよう」
「あ、ありがとうございます」
前置きを述べた後、集致は複雑になっている道を熟知した足取りで進んでいく。
「ところで、どのくらい知っておるのかな?」
ふと、思いついたように集致は三人に問いかけてきた。
「いーや、全然しらね」
すると、間髪入れずに日共水が反応した。
一番情報を知っている者なはずで、車に乗っている時にもいろいろと日奈と廉に教えていたはずなのに。
「そうだろうな…ならば、簡潔に話そう」
歩きながら咳払いをし、集致は語り始める。
「昔、ここはただの山岳地帯だった。だが、何者かがこの山に何かを封印したのだ。その影響により、火山活動が活発になり始め、その他の生命にも危害が及ぶようになった」
この話をしている時の顔は、なんとも悲しそうな表情をしている。
おそらく、集致も外の暴走した獣を見たのだろう。
「封印は四つの能力、というより四人の能力者で作られている。よっぽど強大なものを閉じ込めたかったのだろう」
「四人…」
日奈にはありえないことを聞いたかのように、ぼそっと嘆いた。
「そうだ。この封印をした者が四人を生贄とした結界を張ったのだ。一人ひとりが機械的に改造され、永遠に生きる封印となっている」
「それを辺境守護者として、管理しているってことか」
廉は理解をし、表情が少し暗くなる。
「だが、私達でも守りきることは難しかった。なにせ、その結界は動かしてしまうと簡単に解けてしまうのだよ。だから、ある研究者に頼み、この保護監視施設として封印を固定する仕組みを作り、安全性を高めることが出来たのだ」
「…てことは、もう解除は出来ないのか…」
この話を聞いていた日共水は落胆したような声音で問いかけていた。
「それは違う。カードキーがあれば固定を解除出来る。あなた方には後で特別にお見せするから安心しなさい」
日共水が調査をする一員だと思っている集致は、カードキーをチラリと見せてすぐにポケットにしまった。
表向きには男に厳しい集致だが、内心では甘やかしたい気持ちでいっぱいだったのだ。
「しっかりと目に焼き付けなさい。これが噴火だ」
長く迷路のような道を進んだ先の山頂には、ガラス張りでかい部屋があった。
封印を囲むように作られた部屋はどこからでも監視できるみたいだ。
他にはたくさんの機材が置いてあり、明らかに重要度が違う。
「あれが、四人の能力者だ」
二メートルほどの奇妙な物体を中心として、周りに四つの塊が宙に浮かんでいる。
それは、人と言われても気づかない見た目で、光の玉が機械でぐるりと囲まれている形である。
「こんなの酷すぎる…」
「そうだな、これを見ればそう思ってしまうだろう。だが、本当の悪とは断言することができない…」
「そんな」
封印時の当事者は誰も居ないため、詳しい事情を知ることが不可能なのだ。
もしかすると封印されたものが凶悪で、四人の能力者も同意の元の封印かも知れないのだから。
「気に病む必要はないのだよ。今日はもう遅い、空き部屋を好きに使って良いから、そこでおやすみなさい」
「おいぉぃ…封印の解除を見せてくれるんじゃねぇのか?」
「…お前調子に乗るなよ」
関係者でもないのにでしゃばる日共水に対して、廉が強い怒りを表す。
「日菜、行こう」
「…うん」
俯く日菜を支えながら休憩をとる部屋へと向かう廉。
「あなたもやすみなされ」
「けっ、まぁいい」
そうして、長い旅を終えたもの達は休息につくのであった。
人物紹介
・岡田廉
日奈が心に病んでいる時に追い討ちをかける日共水に怒りを覚えていた。なので、その晩は日奈の隣で寄り添っていた。能力〈拳〉
・日比谷日奈
気は強いが意外と繊細な女子。廉のケアによりすぐに落ち着くことができた。能力〈太陽〉
・日共水
保護監視施設に来た目的や封印を解くことを急かす理由が不明の男。能力〈爆〉
・集致収群
ちょび髭を生やした辺境守護者の総司令。女子に対しては目に見えて優しいが、男子に対しては強くあたるものの内心では優しい。能力〈?〉




