31話 旅立ちの日に
「ねぇねぇ!あれ見た?やばくない?」
「それなー、私びっくりしちゃった!」
でかでかと会話を繰り広げるクラスメイトはあの話題で盛り上がっている。それは、昨日の夕方に国家警察署長の極楼が罪人を逃してしまった罪、遠征過激団を再活動したことを背負い、処刑されたのだ。
「でも、犯罪者も逃しちゃったし」
「それに、8区で起きたのもその人たちが関わってるらしいよ」
「じゃあしょうがないねー」
少しはかずまも罪悪感もあった。極楼の処刑は国邸で行われたのだ。社長曰く、執行人は陰国警備隊らしい。そんな事を考えていると担任のゲン先生が教室に入って来た。
「みんなー、今日は大事な連絡があるー」
「…」
「それはなー、先生は国に帰らなきゃいけない用事ができてー、今から行かなきゃいけないんだー。そこでー、新しい先生を紹介するー」
ーガラガラガラ
「うーす」
「じゃあー、荒規先生だー。あとは任せたよー」
ゲン先生は今日をもって、担任を辞めた。みんなは少し寂しいとは思ってはいるが、感情を徐には出さない。ゲン先生が教室を出る際に、かずまは一瞬目があった。
「だぁ始めてくぞ」
こんな挨拶もなしに適当な合図でこれからは始まって行くのだ。
ーキーンコーンカーンコーン
「昼休みになったね。ご飯食べる?」
夏帆はチャイムが鳴ってすぐにかずまの横に来た。
「先食べててくれ。ちょっと長めのトイレに行ってくる」
「うん」
宣言通り、かずまは10分で戻って来た。そして、すぐに席に着く。
「待っててくれたのか!」
「だって仕事でしょ?かずまはすぐ終わらせちゃうもん」
夏帆はかずまが仕事になると手際が良いことを理解している。だから、かずまの発言は常に尊重するのだ。
「ありがとうな、早く食べよう」
「うん。そう言えば今日は学校終わったら、すぐに1区に行くんだよね」
「あぁそうだよ。俺と夏帆で4泊5日の旅行をしてこいなんて、どんな風の吹き回しだ?でも、嬉しいけど」
昨日、甘丸に会いに行こうとしていた2人は仕事と言うことで1区に旅行に行くのである。
「私も、かずまと行けるの嬉しいよ」
キュンッと心で思いながら噛み締める。夏帆がおにぎりを頬張っているのを眺めながら、甘丸にお土産でも買ってあげようなどと考えていた。そんな昼食もあっという間に終わり、気づけば門の前まで来ていた。
「お兄ちゃんたちいいなぁ〜」
「霜佳!水雨を頼んだ。2人はちゃんと家で待ってるんだぞ」
念のためだが、妹達にはかずまが旅行中学校を休ませている。家にはかずまの結界があるため、安全なのだ。
「はいはい。楽しんできてね」
「お土産いーーぱい!買ってきて!」
「あぁ任せておけ」
「やったー」
「じゃあ、行ってくる」
そして、校門で妹達との別れを終え、1区に向かう2人であった。
人物紹介
・風解かずま
仕事は早く済ませるタイプの人間。能力〈風〉
・ゲン先生
用事で母国に帰らなくてはいけなくなり、担任を降板した。代わりにきた荒規先生とは面識はない。能力〈?〉




