2話 ホームルームにて
「はぁはぁ、いつもなら走らなくても良かったのに
」
そう息を切らしながら、愚痴をこぼすのは俺の彼女の夏帆だ。
一日の半分を家の中で過ごす夏帆は、体力が無いのと等しい。
「よく頑張ったな!もう学校だ」
そして目の前には、国内唯一の能力者専門の高校、国立能力育成高等学校の正門がある。
何とも安直な名前だが、国立と言うからに金のかかった施設となっている。
言ってしまえば、能力者の多い高級な学校だ。
―キーンコーンカーンコーン
「やばい、チャイムだ!夏帆、急ごう」
ふらふらの夏帆を連れて三階の教室へ向かう。
ん?何かに見られている気がする…
「ニ組はそこだよ?」
不安はあるが、今は遅刻しないために気にしないようにしよう。
ーガラガラガラ
「やっと来たかー、風解早く席に着けー。十六夜はどうしたー?」
そうかずまに声をかけたのは、担任のゲン先生だ。
髪はオールバックで、顎髭を伸ばした熟年教師、というわけでもないただのおじさん教師。
「すぐ来ます」
ゲン先生ガラガラ声で語尾を伸ばす癖があり、いつも通りだ。
ちなみに、クラスメイトはもう揃っていたようだ。
「おはようございます」
すると、後ろから夏帆が開いたドアから入ってきた。
「ギリギリ間に合ったなー。早く席に着きなさいー」
二人が席に行くと、ゲン先生は挨拶を始める。
「はいー、じゃあ起立!礼!」
「おはようございます」
「はーい、おはようー。元気でいいねー。この後の始業式だけど1時間後に体育館に集合だからー」
「えぇー、じゃあその時間何するんすか」
平気で先生にタメ口を使うのは、天涯迅斗金髪のバカだ。
「先生に言われてもなー」
「なら、一年の時にまた今度って言ってた能力の話してくださいよ!」
「みんなはそれで良いのかー?」
半分くらいは頷いて残りは特に反応を示さない。
「ちょっとだけだからなー、他の先生には内緒だぞー。まず、能力そもそも何なのかって話だ」
授業になると語尾は元に戻り、真剣に話をしてくれるなら、こちらも耳を傾けてしまう。
確か、能力というのは同じものが存在しない唯一無二のものだ。
だが、似ていたり、真似するとこは可能だ。
「能力ってこの世界に存在するもの全てあるんじゃ無いの?俺の持ってるこの電気みたいに」
手の中で微かに黄色の発光が見えた気がした。
「そうだな、だいたいそうだ。でもな、特殊な奴らもいるよな」
「第六冠でしょ?」
会ったことはないが、特別な能力が使えるというものだ。他にも
「あと、バーストでしょ!」
「これは前言ったか。一億人に一人ぐらいの確率だってな」
窓の外と夏帆を眺めながら、初耳だと思った。
「何だ!俺なれねーじゃんかよッ」
「なったら奇跡だなー」
「じゃあ、いっぱいの能力を集めて使えば最強じゃね」
「それはやめろ!一つで満足しとけ。稀に二つ使える奴もいるが、天涯がやれば能力過多で死ぬからな」
「へー」
「あぁ!あと他にもな…」
「てか、先生の能力教えてよ」
それは、かずまも気になる内容だったのか耳を傾けている。
「…すまんが、それは言えないんだ…?あれ、そんなに興味なくしちゃうのかー。先生悲しい」
ゲン先生が嫌いという訳ではないが毎回知ってる話をするため、寝てしまう生徒が大半である。
しかも、毎回聞いても能力は教えてくれない。
「もう睡眠学習で待機だー!」
と言ったゲン先生も始業式が始まるまで教卓で寝ることにした。
人物紹介
・風解かずま
能力を狙われた夏帆を護衛することとなる。夏帆はのちの彼女。緑髪の高校2年生。能力〈風〉
・十六夜夏帆
〈w〉に能力を狙われ、かずまに守ってもらう護衛対象。かずまはのちの彼氏。月光色で長髪の高校2年。能力〈夜〉
・天涯迅斗
金髪のバカキャラ。能力は電気。
・ゲン先生
変な喋り方をする変わった教師。




