18話 当事者たちのその後
「締崎!どこだ!どこにいる?」
極楼緊急事態の連絡を受信した最下層に来たが、締崎が見当たらない。
ーピチャ
「は、ぁ?」
そこには、血溜りに横たわる締崎の姿があった。
信じられない光景に言葉がうまく出てこない。
極楼はそれを見ても涙の攻撃を受けなかったのは、血で濃度が薄まったからだろう。
「なんで、そこまでして……そうか、君は、そんなやつだったな…」
極楼は彼の固く握りしめた拳を見て、そう思った。
昔から仕事熱心で尊敬される人柄だった。
「…ここからは、全て私に託してくれ。逃げた奴らも、企てた奴らもまた、ここに閉じ込めてやる。安心しろ、目ぼしい奴らには印がついてる」
そして、極楼は目を伏せ、脱獄したものを捉えるために宇宙空間へと消えた。
もう二度とこんなことが起こらないように。
「うぅぅ、?」
何だろう、頭に柔らかい感触がある。
「鮮乃?はっ、鮮乃!!うくぅぅ」
少し記憶があやふやだ。
今、何で道端で鮮乃に抱きしめられた状態で気絶していたのだろう。
しかも、身体中が悲鳴をあげている。
だが、そんなことより
「ぁよかったぁ」
鮮乃息はある。
それは良いことなんだが、何故鮮乃も意識を失っているんだ?
確か…思い出せない。
とにかく、病院に連れて行かなきゃ。
そして、迅斗はズタズタの体を叱咤し、五区にある、国内最大の病院まで鮮乃を運んだ。
それは長い道のりだった。
鮮乃は女性とはいえ、背負って歩くのは大変だ。
怪我をしていたらなおさらだ。
「あ、鮮乃は大丈夫ですか!?」
やっとの思いで病院につき、病室に案内された。
そして、医者に問い詰める。
「うむ、これは難しい症状で、恐らく意識は戻らないでしょう」
「そ…そんなぁ…」
人生のほとんどを共にした鮮乃の意識が戻らないと知るとその場で膝から崩れ落ちた。
「なので、この病院で出来ることは、ここで安静にしておくぐらいです」
「…二人にしてもらっても、いいですか?」
「はい、分かりました。何かあったら、おっしゃって下さい」
医者と看護師が部屋を出ていった。
「うぅぅ、ぐすっ、あやのぉ…」
なんで、こんなことに、ただ俺は…
…あいつのせいだ。
全部あいつが招いたんだ。
ー許さない。
「かずま!」
やることを終わらせたかずまは妹である霜佳の元にいち早く迎えに来ていた。
「今戻った。さぁ帰ろう!夏帆や水雨が待ってる家に!」
「うん、でも他に捕まった人たちも連れて行ってほしい。だめ?」
霜佳は辺りで困っている人を見渡し、かずまに助けを求めていた。
しかも、霜佳にしては珍しく上目遣いで。
「…そうだな、霜佳のお願いなら仕方ない」
「ありがとう。では!みなさんついてきてください!」
なんだ、もう話はつけていたのか。
霜佳の一声でずらずらと人が群がってきた。
そして、かずまに守られながら、それぞれの家にきちんと送り届けていった。
かずまが最終的に会社に戻ったのは夜九時にもなってしまっていた。
「おねぇぇちゃあぁん!」
会社に入るとすぐさま水雨が強く霜佳に抱きついた。
「ふふ、ただいま。無事でよかった」
そんな微笑ましい光景を横目に、かずまは彼女である夏帆に近づく。
「夏帆にも心配をかけたな」
「もう!本当に心配したんだから」
同様に夏帆もかずまに抱きついてきた。
ここで、一回夏帆を撫でる。
すると、かずまは
「あっまずい!忘れ物をした!」
と言って頭を押さえている。
「もーお兄ちゃんったら!」
ここにいるほとんどは呆れ、水雨に関しては怒っていた。
「すまん!遅くなるからみんな先に寝ててくれ!じゃあ夏帆、行ってくる!」
そうして、かずまは会社を飛び出していった。
「うん、気をつけてね」
かずまが帰ってきたのは深夜一時頃だった。
何をしていたのかは分からないが、大きな音を立てていたため、水雨と霜佳は目を覚ました。
だが、夏帆は気づかなかったらしい。
人物紹介
・極楼
国家警察署を跡形もなく破壊され、それに加えて、部下の大半は殉職してしまった。その報復のため、脱獄した者を一人残さず、牢屋にぶち込んでやる!能力〈宇宙〉
・天涯迅斗
今日、起きた事全て風解のせいだ!許さない。と、鮮乃が眠るベットの横で友を憎んでいる。
・風解かずま
自分が今日した事については反省はない。ちなみに夜の出来事を知っているのはかずま一人だけである。能力〈風〉




