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10話 国家警察署への道

「はぁー、もう疲れたんだけど」

横で走る金髪がほざいている。

「黙って走れ!俺に負けるのが怖いのか!」

だが、今はそんなやつに心配をしている暇はない。

何故なら、今は妹を助けに行くために、かずまは天涯迅斗(てんがいじんと)を連れて、国家警察署に向かっているのだ。

「あぁ?ちっ、その挑発乗ってやるよ!」

迅斗の走る勢いが上がる。

よし、あと三十分ぐらいで着くな。…誰だあいつは?

そこには、道の真ん中に立ち、こちらの行手を阻む人がいる。

「ちょっと待ちたまえ。どこへ向かっている?」

仕方なく、足を止める。

「誰だか知らんやつに教えるつもりはねーぞ!おっさん。なんせ俺も知らないんだからな!」

「そうか、お前たちのしようとしている事はやめておけ。それはいずれ、世界を巻き込んだ争いになる。私には、〈過去〉と〈未来〉の力がある。どうしても行きたいのなら、私を倒してから行け」

「おい、無視していくぞ」

こんな変質者に構ってる暇はない。

一刻も早く霜佳(そうか)を助けたいのだ。

そして一歩を踏み出した途端、世界が歪みだし、ここの三人は現世と隔離されていた。

「くっ」

あっちがその気ならやってやる。

まず、かずまは変質者に狙いを定めて、強風を当てる。

それは確実に当たったはずだが、髪ひとつ揺らさない。

「今の風は過去と未来に飛ばした」

何もなかったかの様に語っている。

「何強がってんだよ。おっさん!お前も手ー抜いてんじゃねぇ!」

迅斗に言われたくは無いが、ならばと強めの風の塊を三つ作り出し、正確に飛ばした。

これでどうだ?

「後ろを見ろ」

「なに?」

振り返ると、迅斗が倒れていた。

まるで、何かがぶつかったかの様に…

「過去に一発、未来に二発送った」

まさか、本当に? 


すると、こんな記憶が追加された気がした。

「うわーなんだこらゃ。ぐはッ、な、に、すん、だ」

と馬鹿っぽい声をあげながらその場で倒れ込む迅斗の姿を。


そういうことか!まて、あいつはなんて言った?

未来に二発送っただと!?いつ来るかわからないちだてことだと!くそっ

「さぁどうする?」

そして、かずまは頭をフル回転させる。

最初に俺がやつに放った風は、全身に当たった。

それで、次に放った風玉は左半身に一発、右半身に二発。つまり、左は過去、右は未来ということではないのか?

ならば

「ぐほぉぉ」

やはり、真ん中は現在のようだ。

すると、能力の弱点を突かれ、怒りに満ちた変質者は殴りかかってくる。

だが、かずまには通用しない。

そこから一発、二発とかずまは〈風〉の攻撃を繰り出し、堪らず変質者は距離を取る。

「接近戦では負けるが。過去と未来への同時攻撃はどうだ?これで終わらしてやる!」

すると、左半身は青色、右半身は赤色に変化し始めた。

ただ、真ん中はそのままなのが少しダサい。

そんな事を考えていると、せっかく変化した色が消えていった。

「なんだ?何もしないのか?」

「いぃや?今してる最中だ。お前がいつ死ぬのか楽しみだ」

なるほど、能力の二つを過去と未来に飛ばして攻撃をするつもりか。

なら、あいつは、いま、ただのおっさんだ!

「お、おい、何を考えてる?」

流石に焦っているよだ。

なんせ、かずまの目の前には巨大な風が渦を巻いている。

そして、出来るだけ空気と風を凝縮させ、解き放つ!

「うぐぅはぁぁぁ」

その刹那、変質者の左半身は亀裂が入り、右半身からは爆発が生じたように見えた。

一瞬すぎて分かりにくかったが、そんな気がした。

変質者が背中から倒れ込んだ時には、空間の歪みも消え、元々いた場所に戻ってきた。

「ほ、本当に行くのか?」

攻撃を喰らってもなお、生きていたようだ。

「あぁ大切なものが懸かっているからな」

「どれだけ、これからが大変になってもか?」

「それなら、守るだけだ」

「そうか」

変質者はその場で俯き諦めたようだ。

そういえば、俺の流れ弾を喰らったやつはどうしているのだろう?

「う、まだいてぇ。てめぇ、手加減しろよぉ!」

未来からの攻撃とも知らぬ迅斗の怒りの矛先はかずまに向いていた。

「手を抜くなと言ったのはおまえだ」

一応、最初に言われたことを返しておく。

「…」

何も言えなくなると、迅斗は走り出していった。

本当にバカな奴だ。

「おい!置いてくからな!」

後ろを振り返らず走っていく。

「…じゃあ、行くからな」

「…」

変質者は返事がないようなので、進みだしすぐ迅斗に追いつく。

「もうきたのかよ。…ひとつ聞いていいか?」

「なんだ?」

ひと段落つくと、迅斗はかずまに問いかける。

「さっきのおっさんが能力を二個使ってたのに、めちゃくちゃ弱かったのはなんでだ?」

「いや、奇跡が重なっただけであのおっさんはそこそこやれる奴だったぞ。実際に戦って分かったが、あの変質者は能力者ではなかった」

「え、いや、だって、過去と未来って言ってたし…」

「それは、過去と未来という力の物を使っていたからな」

「じゃあ能力だろ?」

「世界にひとつだけの道具。聞いた事ないか?あまり知られてはいないが、世(・)界(・)具(・)とも呼ばれている」

「世界にひとつ?じゃあ〈過去〉って能力を持ってる人はいるのか?」

「いないに決まってるだろ。はぁ、やっぱりバカと喋ると疲れる」

能力は全て一つしか存在しない。

例え、どんな風に存在しようと。

「んだと!」

「分かるように説明してやる。例えば、俺は〈風〉を使ってるから、〈風〉の世界具は存在しない」

「そーゆーことか、分かっちまったぜ!」

「後もうひとつお前に教えてやる。先生は言ってなかったが、能力には使用する者との相性がある。お前の場合それが最悪だ」

「なんてこと言ってんだ!んなことお前に分かるわけねーだろ!」

「勘だ」

「このクソやろ」

こんな会話を交わしながらも、目的地にまであと二分ぐらいだろう。

俺のやろうとしている事がバレないように、予めこいつに目隠しをつける。

「ふがっ、なにしやがんだ!前が見えねぇ!」

「大人しくしてろ、外せば勝負はなしだ」

そして、少し歩くと国家警察署についた。

すぐここから出してやるからな、待ってろ霜佳!


人物紹介

・風解かずま

持久力と走る事に自信がある。

能力〈風〉風を凝縮したものをぶつけたり、風を身に纏い攻撃力や防御力を高める。周りのものを巻き込んだ威力の高い風の塊を放つこともできる。

・天涯迅斗

過去の能力により、早々に退場した。かずまであれば、避けることが出来た。電気を使うことができる。

・過去と未来のおっさん

これから起こる未来を悟り、かずまと迅斗を止めにきた。世界具が無ければ何も出来ない。

世界具〈過去〉〈未来〉使用することで過去と未来へ干渉できる。


・世界具

世界に一つしか存在しない代物。しかも、決して破壊することは出来ない。どうやってできたのかは不明。

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