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INNER NAUTS(インナーノーツ)第二部  作者: SunYoh
第二章 月と夢と精霊と
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帰郷 5

「どうするつもり?」PSI波動砲の準備にかかる直人に、カミラはその目的を確認する。

 

「泉と一体になってしまった、ファビオさんの魂に、サニの想いを届けます! PSI波動砲に乗せて!」

 

 直人の策に<アマテラス>、<クナピピ>、そして通信を繋ぐ各所の皆が、聞き耳を立てている。

 

「ファビオさんは、ずっとここに囚われている。囚われにある孤独な魂には……誰かが手を差し伸べなければ……」

 

 自分には父やサニ、仲間達が手を差し伸べてくれた。手を差し伸べてくれる人がいた——その事を直人は、改めて痛感している。

 

 ……なおと……それは、貴方も……我に手を差し伸べてくれたのは……貴方……

 

 そう呟くアムネリアの声なき声は、音声変換される事はない。

 

 PSI波動砲のターゲットスコープが展開され、発射管制システムが起動する。

 

 直人は、呼吸を改めて、再び口を開く。

 

「……抜け出すことなんて……誰かの……他の願いが必要なんだ!」

 

「だが、PSI波動砲では、下手をすれば、対象者の魂まで変質させる、いや消滅させる可能性すらあるぞ」アランは警告する。「でも、あの深層域に働きかけるには、PSI波動砲の出力でなければ届かない!」直人は、意を決してPSI波動砲の発射トリガーに手をかけた。

 

『お願い、皆やらせて!』サニは、通信を通して、皆に訴え掛ける。

 

『アタシはパパを信じる。きっと、アタシの声に応えてくれる!』

 

「いいだろう、サニ、そして<アマテラス>、君たちに任せる! よろしいですね、所長、本部長?」即座に答えたのは、<クナピピ>隊長のライラだ。

 

「他に、手はなさそうだな」『うむ』ライラの迷いのない一声が、モーガン、藤川の承認を取り付ける。

 

「サニ……ファビオを……お願い……」

 

 ロワナは、手を組み、祈りを捧げる——

 

 

 ****

 

『何が起こるか、想定できない。オセアニアIMC、並びに<イワウラ>は、両船の即時回収に備えよ!』東の張り詰めた司令が各所に響き渡る。

 

『承知した!』ライラは、短く答え、オペレーターらに指示を飛ばす。

 

『任せとけ! 齋藤、アイリーン! アイツらを絶対、見落とすな!』『はい!』<イワクラ>のオペレーションブリッジにも、俄かに緊張が漲ってくる。

 

「田中、各所の連携タイムラグ補正は、本部でコントロールする! 彼らの無事な帰還は、君にかかっているぞ」「はい! 任せてください!」

 

 常に運行を見守り、<アマテラス>の出航、及び帰還のナビゲーターを務める本部IMCの田中は、俄然張り切り出した。

 

「真世。お前は、亜夢とアムネリアのPSIパルスとバイオパラメーターの監視を。<アマテラス>と<クナピピ>を繋ぐ彼女達には、相当な負担がかかるはずだ。あの()らが折れては、元も子もない」「わかったわ、お爺ちゃん」藤川の指示に真世は、心に巣食った邪気を祓うように、自分の頬を叩くと、仕事に集中する。

 

「では、作戦行動開始!」「<アマテラス>了解! じゃあ、いくわよ、サニ!」東の発令を受け、カミラは呼びかけた。

 

『はい!』

 

 泉を正面に、<アマテラス>、その後方で<クナピピ>は船を倒し、船首(最上部)を<アマテラス>の船尾に向ける。

 

「取舵三〇、下げ舵四〇! PSI波動砲への回路開け!」

 

「サニ先輩! 船は僕らに任せて! 飛び込んでください!」「ありがとう! いくよ、シドレア! 接続!」

 

 <クナピピ>船首のレンズ状の超次元転送波送信機(本来、<クナピピ>が探索したインナースペース深淵部情報データバンクの大容量データ送信を可能にするため、開発されていた装備)が、青緑の発光を伴い、転送波を<アマテラス>に送り込む。

 

 転送波は、現状、<クナピピ>の拠点、オセアニア支部のホストシステムへの送信のみ可能であり、僚船へのリアルタイムデータ共有システムは開発中であった。<アマテラス>は、アムネリアが、データ共有のインターフェースとなる事で、<クナピピ>のデータバンク情報を共有する。

 

「えっ? ……サニ??」

 

 亜夢は感じ取ったサニの気配を追って、アムネリアのフォログラムへと向く。フォログラムにサニの姿が重なり始めている。

 

「サニのPSIパルスを確認! 波動共振フィールドにデータを展開!」直人は、PSI波動砲の発射シーケンスを一つ一つ、確認しながら慎重に進める。

 

「ナオ、船の操縦を渡すぞ!」「ああ」

 

 直人は船首PSI波動砲の照準を、拳銃型コントローラーの操船機能によって合わせ込んでいく。

 

「ターゲットスコープ、座標セット! 目標は、前方、虹蛇の泉!」

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