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ポラリス 2章  作者: susan
7/13

最悪のイタリア出張 

 フィレンツェで体調を崩した常務理事は腹の調子が悪い。

 それが原因で、ミラノへ移動する予定が遅れた。

 営業のほとんどを、イタリア語を話すグレンが受け持ち、本社への連絡や販売代行をお願いしている商社との日本語でのやり取りは常務理事が受け持った。

 本社から助っ人で駆けつけた後藤は、街で財布をすられた。彼はグレンのサブとして一緒に営業して歩いた。

 だが、グレンがいつもメ―ルばかり気にしている様子に見えた。

 常務理事は、早めに日本へ戻れるように本社と掛け合うと言い出す。

 常務理事は下痢が続き、血便が出たらしい。

 

 ミラノでの営業が本命であるのに、ミラノへ到着した三人のコンディションは最悪の状態まで、落ちていた。

 「焦らなくていいから、グレン。ポラリスはアメリカシェア拡大に成功して、それだけで大黒字なんだ。ヨ―ロッパシェア拡大は、ひとつのチャレンジだから。企業としてのチャレンジ。実際、イタリアに支店を置くことになったら、イタリア語話せるグレンは100%の確率で、こっちに転勤になるんだから。商社に販売代行させているのがベストだと思うよ。」

 と常務理事は言った。


「グレン、イタリア支店作らない方が良いらしいっすよ。」


「ドウシテ?」


「そしたら、グレンがイタリアに転勤よ」


 グレンは嫌そうではなかった。


「そうなったら、紅子さん、どうしますか?」


「紅子サン、よくワカラナイ女」


 グレンは夕べ

『干渉し過ぎるとgood-byeする』

と紅子からのメ―ルに、少々腹を立てていた。

 多分、彼女は浮気をしているだろう。

 日本へ帰ったら、話し合い次第では、紅子と別れるかもしれない。


 自分はそれに耐えられるだろうか?


 毎週末、泊まりに来てくれた美しい紅子が来なくなる。

 これから週末は1人で過ごす。

 いや、新しい女性を探せばいいのさ。

 寂しさを紛らわせる可愛い女性なら。

 

 でも、本当にそれでいいのか、グレン?


 グレンは後藤との会話の途中で考え込み始めた。

 後藤は後藤で、すられた財布の中に、20万円とカ―ドやトラベラーズチェック等が入っていたので、ショックは大きい。

 後藤も、札幌の恋人にメ―ルばかり送信して、グレンと同じ状態になっていた。


 紅子はス―ザンに内緒で大森と会っていた。

 ス―ザンはTOKIOの松岡似イケメンと上手くいきそうらしい。


 大森と会うと、凄くドキドキするのはどうしてだろう?と紅子は考えた。

 グレンは、それほどはドキドキしなかったのも不思議だ。


 私は大森さんに恋をしているかもしれない。


 今週末は紅子と大森は、ゴルフ練習場へ行ったり、ボ―リングをしたりして楽しんだ。

 夜は大森の好きな焼肉屋で食事をした。 


 でも、紅子は一線を越えるのは安易であると考えた。

 グレンから国際電話がかかってくる10時前には帰宅するつもりでいた。

 「大森さん、私、仕事が山積みなんです。今夜も家で記事書かなくてはいけないんです。だから、もうそろそろ帰ります」


 大人の大森は、紅子のその『言葉の意味』を理解した。

 

 体の関係になるつもりはない


 「そうですか、送りますよ」

 大森は車を運転しながら考えていた。

 もう誘わない方が良いのか。

 それともまだチャンスはあるのか。

 考えているうちに麻布駅に着いてしまった。


 「ありがとうございます。楽しかったです」 


 「夜遅くなければ、お誘い出来るんですか?」


 「時間?」


 「お友だちでいるのも、ダメですか?」


 整い過ぎた大森の顔が、少し悲しそうな表情に変わった。

 

 紅子は今、大森の車を降りてしまうか、このままどこかへ連れて行ってもらうか、頭が混乱しそうだった。


          続く


 

 

 

 

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