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ボーダー  作者: きぃ
波乱
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42/46

学級裁判

〈ハナside〉


あー、楽しかったあ♪


アメリカ旅行だったり、某気象系グループのコンサートだったり、

高校2年目の夏もエンジョイしまくったしね!



高校生活2回目の文化祭も間近に迫ったある日、

ある事件が起きた。



ある教師が、亡くなった。


病気などではない。


事件で、だ。



そんな中…あろうことか、レンが疑われた。


そして先生は、学級裁判をやる、とまで言い出した。

…裁判員制度が導入されたこともあって、勉強、という名目もあるのだろう。


検事役は、社会の先生。


私とミツは、弁護士役に回る。


一応、検事の弟だし、何とかなると思う。


レンとの…10年越しの約束…叶えてあげなきゃ。



「もしレンが疑われたら、私が助ける」


そう、あの学級裁判のときに約束したから。



それを真宵ちゃんに話したら、感動して、弁護士だという姉、綾里 千尋さんを紹介してくれた。



学級裁判当日、裁判員役として校長先生や教頭先生、PTAの人たちが来た。



社会の先生、すごい論理的なんだよな…


ちょっと不安だ。



「大丈夫。

相変わらず、力入ってんな。

肩の力抜け。」



「そうよ。

私がいるわ。

大丈夫。

ね?

未来の弁護士さんになるかもしれない貴女の腕前、楽しみにしてるわ。」



ミツめ…


私の今は亡きおばあちゃんが弁護士目指してたって聞いたときから、

弁護士に興味あるってことを…

千尋さんに言ったな!?


もう…


まあ、いいけど。



とにかく、レンを助けたい気持ちだけ持って、法廷に臨むことにした。


事件の概要は、こうだ。波賀 直登(はがなおと)先生が被害者だ。

体育の教師で、演劇部の顧問を務めていた。


死因はお腹を刺されたことによる出血死。


演劇部の活動の一環として着ぐるみを着た「キラピカッ★ショー」を学校近くの遊園地でやっている。


波賀先生は主役、市ヶ谷先生は準主役、生徒として特別に舞台裏の道具役で動き回っていたレンと、悪役役の生徒と、萩原。

司会を務めていた渡辺茉莉佳先生。切れて垂れ下がっ主役が、ショーの途中、ステージ上で突然倒れ、運ばれたときにはすでに息絶えていた。


しかも、外部からの侵入者はなく、背中のファスナーを下ろすことで着脱できる着ぐるみを着ていたため、両手が使えたレンと、茉莉佳さんが容疑者となった。


大道具が置いてある倉庫には、着ぐるみ内で酸欠になってしまったときのために、空調機に針金を引っ掛けて着脱する仕掛けがあった。

それを舞台裏にも作ってあったのではと反論したが、舞台裏にはなかったし、一朝一夕で作れる仕掛けではないらしい。


ちなみに、着ぐるみにはナイフで刺す際に出来るはずの穴があいていなかった。


市ヶ谷先生の証言から、ショーの開演前に茉莉佳さんがナイフを持って波賀さんの着ぐるみに細工をしていたそうで、その着ぐるみからは剥がれたガムテープが発見された。


被告人は、着ぐるみの腹の内側にボタンを押せば刃が飛び出すオートナイフを仕込んで、着ぐるみの外からしたのだ。


よって、それが可能だったのは被告人の2人だという。



「異議あり!

…くだらない。

所詮、バカによるバカのためのバカげた推理ね。聞いていると頭痛がしてくるわ。」


そう言って現れたのは、他ならぬメイちゃんだった。


「蓮太郎はそんなことしないわ。

人の命の重さを身をもって知ってる蓮太郎が…ね。

こんなくだらない茶番、早く終わりにしましょう。

証拠品、持ってきたわ。

ショーの映像を記録したビデオに、被害者を着ぐるみから引っ張り出した瞬間を撮影した写真。」



それが何の証拠になるのかと、教室がざわついた。


「このビデオは、ショーを毎回録画している少年から預かったもの…

ビデオではバック宙になっているこのシーンは、前までは前転宙返りだったそうよ。

被害者の波賀さんは、もっとハデなアクションをしたほうが喜ばれると言われ、いいえ?半ば脅されていたみたいだけどね。前転宙返りをバック宙にしようと考えた。

だけど、自分にまだ技術がないため、着ぐるみを前後逆に着て前転宙返りをすることで、いかにもバック宙をしているかのように見せたのよ。」



「おそらく、換気用の目立たない小さな穴から外の様子を見ていたのでしょうね。

つまり、ファスナーを下ろせば、そこにあるのは、被害者の腹…ということ。

ガムテープで貼り付けられていたナイフは補修用のもので、犯人はあらかじめ隠し持っていたナイフで、被害者を殺害したのよ!!」



前後逆に入っていたなら、被害者を引っ張り出したときに分かったはずだと先生がメイちゃんの主張に反論する。



「あの着ぐるみの東部はねじ込み式で頭を回すうちにどちらが前かわからなくなる。

それに、被害者の着ぐるみのスティックは右側に固定されていて、うつ伏せ状態で置かれていた…

にも関わらず被害者は仰向け状態で引っ張り出されていることが何よりの証拠よっ!!」


メイちゃん…カッコイイなあ…


ところで、さっきから、『前後逆』っていう単語が聞こえる度に私が今は亡き祖母からもらった形見の腕輪がきつくなるんだけど…


メイちゃんの説明に対し、ピカコリンは被害者と同じく腹から出血していた、という先生。



「それは、波賀さんはかなり大量に出血していたため、倒れたときに血が下のほうまで流れ…運んだときには前後とも血まみれ状態になっていただけのこと…

それに、被害者をこのように引っ張り出したのは、背中のファスナーが接着剤で固められていたから。

被害者が前後逆に入っていたという事実を隠ぺいするためでしょう。

ですよね?

…市ヶ谷さん?」



私の犯人告発とも言える発言に、いよいよ教室のざわめきも大きくなった。



隣の千尋さんやメイちゃん、そしてミツは、笑みさえ浮かべている。



「私は犯人じゃない!」



「ホントにそう言い切れますか?

本番後に茉莉佳さんの本番中に爪を噛む仕草について怒鳴り付けることで墓穴を掘っているというのに…」


「茉莉佳先生が爪を噛むのはほんの1シーンのみ…このとき、着ぐるみは正面を向いているのに…あなたは爪を噛む先生の姿が見えたのですか?

市ヶ谷さん貴方も…着ぐるみを前後逆に被っていましたね?

波賀先生の命を奪うために…」


市ヶ谷さんは、傍聴席にいた警備員に話しかける。



「私普通に着ぐるみを着たり脱いだりしてるのを見てたよね?」



「はい…

倉庫で…見ました…」


と答えた警備員さん。



「倉庫にはあの針金がある!あれを使えば、一人きりになれば被り直すことができる!!

事件後に救急箱を取りに行くと言って向かったときに普通に被り直し…

戻ってきた後、何くわぬ顔で着ぐるみを脱いだ…

波賀先生を刺したのは3分間だけ舞台裏で2人きりになる瞬間…ですよね?

ファスナーを固定し、前後逆に入った。それなら、1人でもファスナーを上げられたでしょうからね。

…それに…もう1つ。

市ヶ谷先生、動揺すると唾を飲み込む癖がありますよね?

その癖…『前後逆』って言ったときに出てましたよ?おそらく、殺害前の舞台裏の緊張感を、この単語で思い出すのでしょう。」



「そうだよ…オレがやったんだ…

校長に言われたんだ…

そろそろ、歳だし波賀先生に主役の座を渡したらって…

キラリン★フレンズはオレが考えたから…ただ身軽なだけのキラリンは本物じゃないっ…!俺はそんなの、絶対に認めたくなかっただけなんだ!」


先生はそれだけ言うと、泣き崩れた。

裁判員による判決は…茉莉佳先生も、

レンも、無罪となった。



終了後、レンとハイタッチを交わす。


メイちゃんとは相変わらずラブラブみたいでさ。

…抱き合ってたし。お礼にコーチのカバンと財布、クロエの香水をねだられたらしいけれど。


「素晴らしいわ。

きっと、いい弁護士になれるわよ!!」


千尋さんからお褒めの言葉を頂いた。


千尋さんとも…


いつか法廷で会えたらいいな。


あの学級裁判から数週間。

真宵ちゃんが、学校に来なかった日があった。



なんでも千尋さんが、亡くなったらしい。



どうやら…殺されたそうで。


忌引きか。


そう思っていたが、数週間来なかった。

姉を殺したと疑われ、逮捕されていたという。


判決は無罪。



まあ、良かったけど。



ところで、あの時のあの腕輪の反応は、何だったんだろう…?


今はとりあえず、気にしないことにした。


高校2年目の文化祭での合唱部発表も無事に終了し、それから1ヶ月が過ぎた日。



いよいよ、2年生全員が待ちわびた、マレーシアへの修学旅行の日だ。



「楽しみだなぁ~♪」



私はもちろん、かなりテンションが上がっている。

レンの使用人に待ち合わせ場所まで車で送ってもらっているんだけど…ずっと鼻歌歌っていたもん。



クラスの皆でバスに乗って、空港を目指した。



バスの車内でも、皆でぷよぷよやらポケモンやったり、ポータブルDVDプレーヤーで某気象系グループのコンサートのDVDを観たりした。


あとお菓子食べたり。



「マレーシアとか。

意外に某気象系グループ知ってる人、いるかもな。

タイでコンサートやったこともあったし、

隣のシンガポールではマジック王子主演の映画、ガツンが公開されてるし。」



私の何気ない一言に反応したのはやっぱりレンだ。



「ホントだよな。

某気象系グループさんだけじゃなく、オレらも観光立国の仕事しないとね。

マレーシアに広めて帰ろうぜ。」



この3泊4日で広まるとは思えないけどね。

と心の中で突っ込む。


空港に到着すると、さらにテンションが上がった。






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