仲直り
〈レンside〉
カーテンを突き抜けるほどの眩しい朝日に、思わず目を開ける。
「ん…」
隣を見ると、メイの可愛い寝顔があった。
頬をツン、としてみる。
「んっ…ん?」
あ、起きた。
「おはよ」
「おは…よっ…///」
「今日は、メイがご飯作る日な?」
「うっ…うん…
…シャワー…浴びてくるっ…!」
服で身体を覆いながら、パタパタと脱衣所に向かうメイ。
足どりがひよこみたいだし、時折眠そうに目をこする姿もたまらない。
上は何も着ないままで、ベッドに寝転がる。
…にしても、派手なコト…シたよな…オレたち。
シーツはかなりグシャグシャだし、オレとメイの蜜でところどころ汚れてるし。
おまけに、シーツからは最中に間近で感じたメイの香りが。
何、してんだ…オレ…
そんなことを思っていると、携帯が鳴った。
「もしもし…」
『「もしもし」じゃねぇよ…っ!!』
「何だ…ミツか…
こっち、まだ朝なんだけど?
オレも今起きたばっか…」
『知ってる。
…ただの寝起きにしては、声がくぐもってたけどどぉした?』
「べ…別にどぉってことないからね!?」
「んで?
お前がこんな時間にかけてきたからには、何か理由があるんだろ?」
オレがそぉ言ったところで、メイが浴室から戻ってきた。
「悪い…ちょっと待って?」
「メイか。
お帰り。」
「ただいま。
誰と電話してるのか知らないけど、呼んだら降りてきなさいよ?」
「はいはい。」
何か…母親みたいな言い回しだったよな?
「悪い。
…で?何?」
『分かったんだよ!
メイちゃんって子を手籠めにしようとした2人組!!』
オレにとっても…予想外の収穫だった。
「は!?
マジかよ!!」
『ああ。
…1人は浅川 将輝。
そしてもう1人は…
…帳 奈斗だ。』
「…オレは一生聞きたくなかった名前だな。」
『オレも同感だ。
…2人はグルだったらしい。』
「…分かった。
わざわざありがとう。」
『あ、忘れてた。
…今は2人とも、日本にいるらしい。』
「そっか。
…おかげで眠気覚めたわ。」
『また連絡しろよ?』
はい、って答えて電話を切った。
さて、オレもシャワーでも浴びて来るか。
洗濯機で思い出した。
シーツ洗っておかなきゃな…
でも洗いかたとかわかんないから…とりあえず洗濯機の中に放り込んでおいた。
洗濯機の蓋に手をかけると、ヘアワックスと同じような形の容器が視界の隅に入った。
何だコレ…
ボディーバター?
その容器から漂う香りは、昨夜のメイのものと同じだった。
なるほど。
昨夜オレが間近に感じたフレグランスはこれだったのか…
オレにとっては、"媚香"にすぎなかったけどね?
シャワーを浴びて、服を着てから部屋に戻ると、メイがいた。
「遅いっ!!
…何回も呼んだんだからね?」
「ごめん。
シャワー浴びててさ。
さ、朝ご飯食べに行くか♪」
「うんっ!!」
〈ミツside〉
超絶…眠っ。
だけどまあ…仕方ないか。
レンたちのいるN・Yは朝7時。
日本は…ただいま夜9時。
ほとんど寝てないの。
オレもハナも、調べものに手ぇいっぱいでさ。
もちろん、浅川 将輝とかいう男のこと。
3日くらい泊まり込んで調べてるけど、収穫ナシ。
…とか思ったら、室長が。
「そーいえば。
調べたぞ。
…浅川 将輝
ってやつのこと。」
「一人っ子で、普段はおとなしい性格。
なのに、意外によく喋るそうだ。
…特にゲームに関しては。
家庭環境がかなり複雑らしい。
父親が最近、無理心中で亡くなっていて、危うく本人も巻き込まれそうになったと。」
「室長…
わざわざ調べてくれたんですか?」
「ただ…そいつと繋がりがあるのは…帳 奈斗って名前のやつだ。」
そこまでについては調べる余裕なかったから、調べておいてくれるか?」
「はいっ!!」
「それから…早く寝ろよ?成長ホルモン出ないぞ?」
「あっ…ハイ!!」
室長の余計な言葉に、大きなお世話だ、と毒づきながら2人で適当に、仮眠室のベッドに座る。
そうするなり、ハナがベッドに倒れ込んできた。
ちょっ…///
んな可愛い格好…
するなって…
マジで…
「眠いっ…」
そぉ言って、オレの膝に頭を預けてくるハナ。
ホントに…可愛いよな…
「ね…なんか…私…不安なのっ…
なんとなく…
帳 奈斗とかと何かあるんじゃないかって…」
「んなこと、今から気にしてどうすんだよ…
らしくねぇな…」
「だってっ…んっ…」
「ヘーキだよ。
いつも言ってんだろ?
オレが守ってやるって。」
「う…んっ…あっ…」
首筋にキスを落としただけなのに、かなり声が甘ったるい。
「さてと。
寝るか。」
そう言って、下で寝るために布団を敷く。
「イヤっ…」
「何がイヤなの?
何してほしいか言ってくれればしてあげるのに…」
「ミツっ…して?
久々…でしょ?」
「だね?」
それにしても、大胆だね…
まさかハナがそんなこと言うとは…ね。
オレの膝の上から、ベッドの上へと落とす。
「あっ…」
声が可愛い。
「早くっ…ミツっ…」
そんなこと…普段じゃゼッタイ言わないのに…
そんなに溜めてた?(笑)
そのまま繋がって、しばらく甘い時間を過ごした。
手際よく、携帯で国際電話にかける。
『もしもし…』
かける相手は、もちろんレン。
「もしもし…じゃないんだって!!
調べて分かったんだよ…
浅川 将輝ってやつのこと…」
『嘘だろ?」
「嘘じゃないって…
そいつは…帳 奈斗とグルになって一連の行為を繰り返していた。」
『その名前、出来れば一生聞きたくなかったな。』
なんかレン、
声が熱をもっている…
っていうか…
くぐもっている気がする。
多分だけど…まさか…
T.A.B.O.O…
犯したか。
激しくシないと、こうはならないし…な。
レンが電話を切る瞬間…
「あっ…言い忘れてた…
浅川 将輝も帳 奈斗も…
今、日本にいるらしい。」
それだけ言って、電話を切った。
「起きた?ハナ…おはよ…」
「ん…」
「昨日…ありがとう…ね…」
「どしたの今日…
やけに素直じゃん?」
「べ…別にいいでしょ?
とにかく、レンに電話…」
「あ…ハナが可愛い寝顔してヨダレ垂らしてる間に電話しちゃったよ♪」
「なっ…///」
ミツの頭を軽く殴る。
「サイアクっ!!」
「嘘だよ。
…ヨダレなんか垂らしてなかったって。」
「もう…」
「さ、シャワー浴びてくれば?
先に…」
「うん!」
シャワーを浴びに行くと、首筋に紅いものが…
ミツの仕業か…
あれ…?
今日…
日曜日だから学校…じゃないよね。
良かった良かった。
〈メイside〉
「ん…んっ?」
蓮太郎に起こされる。
目を開けると、すぐ近くに蓮太郎の顔。
「おはよ。」
「おは…よっ…///」
どーしよ…
蓮太郎の顔…まともに見れないよっ…
あんなコト…シちゃったし…
ヤバイヤバイ。
「今日は…メイがご飯作る番な?」
「じゃあ…先にシャワー浴びてくるっ…!」
それだけ言って、服で身体を隠しながら浴室に向かう。
鏡に自分を映すと、消えかけたアザを隠すかのように、身体の至るところに紅いものが。
蓮太郎が残してくれたんだ…
シャワーを浴び終えて部屋に戻ると、誰かと電話している様子の蓮太郎が。
「誰と話しているのか知らないけど、呼んだら下りて来なさいよ?」
お母さんみたいな台詞を残して、朝御飯を作りにリビングに降りた。
朝御飯を作り終えて部屋まで呼びに行くけど、返事がない。
しばらくすると、奥のほうから蓮太郎が。
「遅いっ!!
何回も呼んだのよ?」
「悪い悪い。
シャワー浴びてたの。
さ、朝御飯食べに行くか。」
「うん!」
朝食の席で、トンでもないことを聞いた。
「さっき日本にいる幼なじみから電話あってさ。
…分かったって。
メイを…手籠めにしたもう1人のやつのこと。
…オレの…小さい頃の友達だよ…」
「そ…そんなこと…」
蓮太郎の友達…だったんだ…
でも…なんで?
「あ…そいつも浅川 将輝ってやつも、今…日本にいるらしいんだ。」
「日本…」
「ってことは…すぐ帰っちゃうの?」
「すぐは帰らない。
明日か明後日。
明後日の…朝イチの便で日本に帰るかな。」
「寂しいよっ…」
「メイもこんな広い家で1人はイヤだろうから…
ご飯食べてしばらくしたらオレの義理の両親のところに行くぞ?
『メイをよろしく』
って。」
「うん!!」
蓮太郎…ビックリするだろうな…
昨日…巴さんが…
「じゃあ…義理の両親のところにいるから…何かあったら来てね?」
って。
蓮太郎と…仲直りさせてあげなくちゃ。
「さ、行くぞ?メイ。」
「うんっ♪」
って言っても、蓮太郎の実家って…私の家の2軒先なだけなのよね…
「こんにちは。」
「おじゃまします…」
「あら!
メイちゃんに、蓮太郎じゃない!
久しぶりね~
蓮太郎も、帰って来たなら顔くらい見せなさいよね?」
「ごめんごめん。」
「もう…巴も来てるのに…」
なんて言う蓮太郎のお母さん。
「あ!
巴主席検事さん!
こんにちはですっ…
いっ…いつも法廷…拝見してますっ…///」
昨日言いそびれてしまった台詞を伝えた。
「あら、ありがとう。」
暫し無言の蓮太郎と巴さん。
「巴と蓮太郎、久しぶりの再会なんだから…
ゆっくり話してきたらどうだ?」
蓮太郎のお父さんはそう言って、2人の背中を押す。
「そうだよ!
話して来なさいよ。」
「じゃあ…蓮太郎の部屋…お邪魔させていただこうかしら。」
〈レンside〉
ビックリしたぁ…
「こんにちは。」
ってわざと他人行儀で家に入った上に…
家に…巴姉さんがいるんだもん…
父さんなんかオレと姉さんの背中を押すし…
そんな…見た目ほど仲良くないんだけどね。
「じゃあ…蓮太郎の部屋…お邪魔させていただこうかしら。」
なんて言う姉さん。
マジかよ…
「あの…蓮太郎…
本当に…ごめんなさいね…メイちゃんに…貴方が"ねつ造"ってワードに過剰反応する
って聞いて…まだあのことを気にしているなら謝らなくちゃ…って。
私…蓮太郎のことがキライだから言わなかったんじゃないわよ?
貴方がアメリカに行った理由…ちゃんと1人で恋愛に決着をつけるためでしょ?ハナちゃんか…メイちゃんか…って。
貴方はそれだけで手がいっぱいみたいだったから…
これ以上思考回路を混乱させちゃいけないな…
って…思ってたの。
だけどそれが…カン違いされる原因になってしまったみたいね。」
姉さんはちゃんと…オレのこと…考えてくれてたんだ…
しかも姉さん…
オレが…ハナとメイどっちに気持ちがあるのか迷っていたことも…ちゃんと分かってくれてたんだ…
やっぱり…巴姉さんは巴姉さんだったね。
「姉さん…オレも…ごめんなさい…
勝手にカン違いして…ずっと姉さんを避けてた。
本当にごめんっ…」
「大丈夫よ。
本当に…今回の件はお互い様ね?」
「うんっ!!ありがとう。」




