過去
ザァッ…
メイ、ホントにしっかりしてるよな…主婦みたいだったぜ?
シャワーを浴びつつ、メイとの結婚生活を想像しながら考える。
なぜメイが高校生にして一人暮らしなのか、オレは知ってる。
…4年前のある事件。
その真犯人が、他ならぬメイの父親だった。
もう死刑が執行されているから、今は…もう、いない。
それから数ヶ月後、今度はメイの母親が姿を消した。
『メイへ。
お母さん、しばらく帰らないけど、心配しないでね?』
という1枚の書き置きを残して。
…日本で有数の自殺の名所、おぼろ橋。
その下を流れる川は、急流で死体が発見されにくい。この橋付近で、メイの母親らしき人を見た、っていう目撃情報もあるけど、真実は分からず、生死不明だ。
そぉいえば、メイの母親が失踪した夜も、この家に泊まったなぁ。
今度は乳白色の湯舟に浸かって、考える。
両親を亡くしたオレは、この国の親戚の家に預けられたけど、身寄りがなかったメイは、一人暮らし同然なワケで。
…そぉ考えるとオレって…幸せもんだよな…
何度か義理の両親(親戚)の家に泊めてやったりもしたけど。
「寂しい」とか一切言わないメイは、ホントに強いなぁ。
…そんなメイは、オレが守ってやらなくちゃいけない。
普段は強がってるだけで、ホントは寂しがり屋だってこと…
オレは知ってるよ?
お風呂から上がると、用意されていたのはバスローブ。
いくら何でもこれ、テキトーすぎるだろ。
ったく…あれ?
だけど…バスローブって…1回メイの家で着た記憶あるな…
オレはバスローブを着て、脱衣所のドアを開けた。
「メイー?
あがったけど…」
そぉ言ってリビングのドアを開けると、顔を真っ赤にしてオレを見上げるメイがいた。
「ちょっ…///蓮太郎っ…」
「何?似合わない?
ってかそんなに顔赤くしちゃって、どーしたの?(妖笑)」
「別に?そんなことないってか…似合ってるよ?
すごく…」
上目遣いでそれ言ってくるとか…マジ反則だからね?
しかも…胸元…見えてるんだけど?
ヤバ…理性が…///
ぎゅ…
「じゃ、これでバトンタッチな?
次、メイがお風呂入る番だよ?」
ほんの一瞬、メイを抱き寄せた後、浴室に向かわせた。
〈メイside〉
……多分、シャワーでも浴びてるんだろぉな。
そぉ思って、そっと着替えのバスローブを持って脱衣所のドアを開ける。
…蓮太郎は、覚えててくれてるかな?
あの日、お母さんが失踪して、蓮太郎が初めてこの…私の家に泊まったときにも…着てたものだよ?
…ライトが明るいせいかな?
よりくっきりと、蓮太郎のシルエットが映る。
ほどよく筋肉の付いた逞しい身体。
…そこからは、かなり色気が溢れ出ている。
ドア越しなのに…それを見るだけで、私の身体が急速に熱を帯びる。
蓮太郎になら…
抱かれてもいいとか…
思っちゃう。
私、重症なのかな?
それにしても、こうして2人でいるの…久しぶりだなぁ…
やっぱりどうしても…
4年前のこと…思い出しちゃうなぁ…
─4年前
ある朝、普通にご飯食べようと思ってリビングに下りたら、テーブルの上の書き置きに目が止まった。
『メイへ。
…お母さん、しばらく帰らないけど、心配しないでね。』
そのメモの裏には…
"ごめんね…メイ。
…ありがとう。"
って…何だか…とてつもなくイヤな予感がしたのを、今でもハッキリ覚えている。
…ママが自殺しちゃうんじゃないかって怖くなって、ママを捜そうと家を飛び出して…誰かにぶつかってしまった。
それが…蓮太郎だったの。
今、目の前にいるのはママじゃなくて、蓮太郎なのに…
なぜか安心した私は、彼の足元で泣き崩れてしまったのよね。
「蓮太郎~っ…ママがっ…うぇっ…」
そんな私を抱き起こして、ぎゅってしてくれた彼は、優しく声を掛けて、リビングに連れて行ってくれた。
やっぱり彼も書き置きを見て、私と同じことを思ったみたい。
「メイ…これ…まさか…!」
「うん…だけどね…ママ、昨日もいつも通り、優しかったよ?」
「それなら…大丈夫。
…メイが思ってるような結果には、絶対なっていないって。」
そぉ言って抱きしめてくれる彼が…私と同じく13歳だったのに、すごく男らしく見えて…彼の胸でひたすら泣いた。
家事は、洗濯以外は全てやってくれたし、私が落ち着くまで家にいてくれた。
……この日、なぜか勝手にシャワーを借りていた彼に、何となく、浴室の側にかけてあったバスローブを置いておいてあげたんだよね。
それと同じものをタオルと一緒に置いて、リビングに戻った。




