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ボーダー  作者: きぃ
波乱
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27/46

誕生日

メイの家に着くと、村西さんが出迎えてくれた。


「お。レン!

なんかごめんな?

急いで来させて…」


大丈夫とだけ言って、2階にあるメイの部屋へ。


「メイっ!!

ごめんな?

ホントは…2日前に来れれば良かったんだけど…

…何せ今6月20日になったばかりだからね。」


「蓮太郎…」


そういえば、この間からフルネームで呼ぶクセは直ったな。

だけど次は名前呼び捨てって…


「フルネームの次は名前呼び捨てって…

まぁ、可愛いからいーけど。」


オレは、メイの身体を毛布の上から強く抱きしめた。…メイの瞳が腫れている。泣き明かした…のか?

手籠めにされてからの2・3日…

父親の死を知ったときも、これほどは泣かなかったのに…

骨が折れるんじゃないか、っていうくらいにさらに強く、メイを抱きしめながら強く心に誓った。


……この女、メイは…オレが一生守る…と。


「メイ…一昨日…17歳になったばかりなのにな…

こんな思いさせて…ごめんな?」


「謝らないでよっ…

蓮太郎…っ…」


メイはそぉ言うと、毛布から顔を出して泣き崩れた。

メイが落ち着くまでずっと抱きしめていたけど、

メイは泣き疲れて眠ってしまっていた。


…翌日、メイの瞳が腫れてしまわないように、冷やしたタオルを目に当ててから、そっと毛布をかけ直してやると、小声で「おやすみ」を言って部屋を出た。


リビングに降りてみると、村西さんが深夜番組を観ていた。


「村西さん……ですよね? メイを助けたの…

すみません…オレ…何も…出来なくて…」


「……今回のことは、誰も悪くない。

だから、あまり自分を責めるな。」


村西さんはそうは言ったけど、

オレにはメイを好きでいる資格などない。


『メイがこの2・3日、ずっとオレに会いたがっていた』

って聞いたときに、特にそぉ思った。


だってオレは…幼なじみと身体を重ねてしまったのだから。


「オレは…メイを好きでいることなんてできませんよ…」


そぉ言って、村西さんにハナとのことを…全て話した。

その間ずっとオレの肩を抱いてくれていた上に…

その件も、レンも、その幼なじみ2人も悪くないって言ってくれて、嬉しかった。


……ここでは今、深夜2時だ。

…もう、日本にいるハナたちは部室に向かっている頃だろう。

…ちょっと電話してみるか。


「ハナ?

今…時間あるか?」


『レンっ!!…大丈夫?

自分を責めたりしてない?皆心配してたんだよ~。

一番悪いのはその…メイちゃんって子をそぉいう目に遭わせた男なんだから。 だから、レンはいつも通り、お調子者でいいの!

わかった?』


「あぁ…ありがとう。

…帰る頃に…また連絡するな。」


わかった、という声を聞いて、電話を切った。


…すると、リビングのドアが開いて、メイが姿を見せる。


「ごめんっ…

メイ…うるさかった?

…起こしちゃったんなら…本当にごめんな?」


「ううん…そんなんじゃなくて…

怖い夢見て…目ぇ覚めちゃっただけだから…」


…メイのその言葉を聞いて、オレはホットミルクを用意した。


昔、母さんが、オレによく「安眠効果があるのよ」と言って飲ませてくれていたから。

…ふと思い出した。

村西さん、ちゃんと取ってきてくれたかな…

メイの誕生日ケーキを、予約だけしておいて村西さんに取ってきて貰うよう、日本に帰る間際に頼んでおいたんだ。


「村西さ…「…安心しろ。ちゃんと取ってきたよ。」


「村西さん、あれ、大丈夫でしたか?」


って言おうとしたのに、言葉が重なって聞こえなかった。


「メイ?

ケーキあるけど。

…食欲あるなら…食べる?」


〈何でケーキ?〉

って…顔に書いてあるんだけど笑

可愛い…


「ん?

だってメイ…2日前…誕生日だったろ?

オレが帰ってこれないと困るから、村西さんにお願いして取ってきてもらったの。

オレが日本に帰る間際、予約だけしておいてさ。」


「……ありがとう。

…だけど、今はあまりお腹が空いていないから、後で皆で食べることにしましょう。」


「…じゃあ、せっかくだし、皆でwiilやろうぜ!


村西さんの提案により、3人でTVを囲んで、wiilをやる。

「あっ…」


「村西さん…

…メイのマリオ殺しましたね?

容赦しませんよ?」


「あっ!

あ~あ…

また負けたか…」


「メイのマリオを殺した村西さんが悪いんです。


まぁ、メイもメイで弱いんだけど…


「wiilsportsやろうよ!」


…wiilsportsでボウリングをやって、メイがスペアを出した。


「イェーイっ♪」


メイとハイタッチ。


結果、メイが1位で、オレが僅差で2位、村西さんが3位。


次はテニスを。


オレとメイ、村西さんとcomの2対2。


「蓮太郎、ナイスコース!」

見事な勝利で、2回目のハイタッチ。


オレは、一瞬でもメイの笑顔が見れて嬉しかった。

ホンネを言えば、心からの笑顔が見たいけど。

だけど、それが現実になるのも、もうすぐだろう。


その後もwiilsportsにかまけていると、もうすっかり朝になっていた。


「ねぇ皆、お腹空かない? 大丈夫?」


確かに、散々wiilsportsで遊んだ後だから、お腹空いたかも。


「オレはそろそろ腹へってきたな。

…オレ、何か作ろうか?」


オレ…N・Yの"魔導師養成学校"

にある、本当に認められた人しか入れない"時空と記憶の部屋"で、ある人と一緒に修行したときに、いろいろ自炊とかもやってたから、料理、作れるんだよ。

「お前が作るの?

なんか、カガク薬品とか入れそうで怖いんだけど…」


「入れませんよ!!」


そんな村西さんとのやりとりに笑顔を見せるメイを目に焼き付けてから、台所に立った。


…メイの笑顔、久しぶりに見たな。


やっぱり、オレが来たからかな?


って…こんなの、自意識過剰みたいじゃん(汗


だけど…しょうがないだろ?


今日初めて知ったの。


好きな子の笑顔を見れただけで、こんなにも幸せになれるんだ、


ってこと。


〈メイside〉


いつの間にか寝ちゃってたみたいで…

また、あの夢だ…


2人の男に、ムチを使って抵抗することも出来ないまま、暴行されて…数日後に妊娠する…手前で、いつも目が覚めるんだよね…


目の近くに、まだ少し冷たいタオルが置いてあった。毛布もきちんと掛け直されてたし…

きっと…蓮太郎だよね…


起きちゃって、寝れそうにないから、リビング行こ。

「ごめんっ…メイ…うるさかった?

起こしちゃったんなら…ごめんね?」


そう言って謝る蓮太郎に、私が怖い夢を見て起きてしまっただけだと言うと、温かいホットミルクを差し出してくれた。


「あ、ケーキあるけど。

食欲あるなら…食べる?」

何でケーキ?

私を元気づけるためかな?


「メイ、2日前に17歳になったばかりだろ?

…オレが日本に帰る前に予約だけして、村西さんに取ってきてもらったの。」


そういうことかぁ。

自分の誕生日、すっかり忘れていたわ。


「ごめんね。

…今はまだちょっとお腹が空いていないから、後で皆で食べることにしましょう。」


そして、村西さんの提案で、3人でwiilをやることに。

手始めにマリオやったんだけど、私…マリオ…弱いのよね…

一番最初に死ぬのは私のマリオ。

…蓮太郎が何とか敵をとってくれたけど…仕方ない。後で蓮太郎に特訓してもらお。

wiilsportsではかなり調子が良かった。

何度も村西さん負かしたしね。


そろそろお腹が空いてきたというので、蓮太郎が朝食作りを始めた。

テレビを点けると、いつものごとく、日本の報道番組が放映されていた。

なぜって?

蓮太郎の知り合いである有能エージェントに頼んで、日本の番組も観れるようにしてもらったからよ。

だってこっちの番組、つまんないんだもの。


『大阪地検の検事が防犯カメラのデータを改ざんし、そのデータを証拠に冤罪に陥れたという事件について昨夜、新たな事実が明らかになりました。』



…こんな風な事件、確か6年くらい前に、日本であった気がしたわ。

……日本の検事も進歩ないわね。


あ、だけど、蓮太郎のお姉さん、宝月 巴主席検事とその伴侶、御剣 怜侍検事は別よ。


私の唯一、尊敬している検事だもの。


………?

蓮太郎…?


彼の表情が曇っている気がするのは、気のせいかしら?


それに微かに、唇を噛んでいるような……?


大阪地検検事の不祥事のニュースが終わると、蓮太郎の表情が元に戻った。


何か検事のことについて…思い当たる節があるのかしら?


でもまぁ…気のせいよね。

〈レンside〉


朝食を作っている最中に、TVから聞こえてきた事件のニュース。

…大阪地検の検事が、改ざんした防犯カメラのデータを証拠に冤罪に陥れたって…

6年ほど前…オレの姉さんがしたこととほぼ同じだった。

姉さんは、姉さんの妹(オレの2番目の姉でもある)茜さんを犯罪者にさせないために、上司からの脅迫を受けていた。

…ねつ造した証拠で連続殺人犯を有罪にしてしまったのも、その上司が仕組んだ結果だった。

そんなことを…御剣検事さんの事件ファイルを調べたときに知って…

姉さんが直接オレに話してくれなかったのが、すごく悲しかった。


それよりも、この…事件のことを未だに気にしている自分が悔しくて…情けなくて…

気づけば、唇を噛んでいた。

そんなオレを、メイが、不思議そうに見ていることにも、気付けずにいたんだ。



胸のモヤモヤを吹っ切るように、完成した料理をお皿に盛りながら言う。


「できましたよっ!!」


3人でテーブルを囲んだ。

「すっごい美味しいわよ。 この味、一生忘れないかもしれないわ。」


…いつもメイは嬉しいことを言ってくれる。


村西さんも、美味しいを連呼しながら完食してくれた。


…朝食を食べ終わると、村西さんが一言、オレに尋ねた。


「レン、何か忘れてないか?」


何か…?


あぁっ!

メイの誕生日ケーキ!


「誕生日おめでとう、メイ。」


オレはそぉ言って、メイに誕生日プレゼントを手渡した。

中身は…まぁ、言っちゃえばアクセサリーなんだけどね。

キティフェイスブレスレットとブルーのラインストーンがちりばめられたスマイルネックレス、ブルーのサンダルネックレス、

そしてシルバーハートのアンクレット。

さらに、それらを収納しておくためのダークブルー色ベルベットとピンクのリボンにキティちゃん刺繍がアクセントになっているジュエリーポーチ。


ポーチとかは村西さん、 ネックレス2つはオレからのプレゼント。


「これから夏になるから、ちょっとは役に立つかなーって。

…ちなみに、スマイルにはメイが笑顔でいられるように…って思ってね。」


「ありがとうっ!

蓮太郎!!」


そう言ってオレに抱きついてきたメイ。


「はいはい、オレの前でいちゃつくな?」


「いちゃっ…!?」


「ちょっ…村西さんっ…///」


「冗談だよ。

…オレ、ちょっと会議があるから、FBI本部に一旦戻るな?」


村西さんはそぉ言い残して、家を出た。

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