転校生
…桜が舞う季節。
…高校2年目の春。
私たちは、クラス替えで見事に女子3人が分かれてしまった。
私とミツとレンは3組だけど、愛実と麻紀と友佳は7組。
一成くんは5組で、真くんは6組だ。
…そんな中、私のクラスに転校生が来るらしい。
「皆~!
転校生を紹介するぞ~!」
そぉ言う先生の後ろに、髪が相当長いのか、何ヵ所も結っている女の子が。
「…綾聡 真吉
です。
…よろしくお願いします!」
そう言って、一番後ろの席に着く。
綾里…?
その名字に、聞き覚えがあった気がしたけど、思い出せない。
「私、蒲田 華恵
っていいます!
よろしくね♪」
私が話しかけると、すぐに笑顔になって、よろしく! って言ってくれた。
……そして迎えた2回目の体育祭。
今年は、2人3脚に真吉ちゃんと一緒に出るんだぁ♪
…早めにグラウンドに向かおうと廊下を歩いていると、いきなり背後から口を押さえつけられて、どこかに連行された。
ドアがほうきやらちりとりやらでロックされていて、簡単には開かなくしてある。
……今は使われていない体育倉庫らしい。
どぉしよ…こんなことじゃ、誰も来ないだろうし…
何より競技の時間に間に合わなくなっちゃうよ…
…なんか…泣けてきた…
ガンッ!
ドカッ!!
ガラガラッ!
「ハナっ!
無事かっ!!」
〈ミツside〉
高校に入って2回目の体育祭。
転校生の真吉ちゃんにとっては初めてだろうから…いろいろ教えてやらなきゃな…
って…
ハナがいない?
レンもいない…
ってか、真吉ちゃんは?
ったく…
皆して仕方ねぇな…
するとしばらくして、レンとオレの体操着に仕掛けておいた小型盗音機が鳴る。
「…とぼけてもムダだ。
ハナを旧体育倉庫に連れ去るお前らの姿を目撃してるヤツがいるんだぞ?」
オレは、旧体育倉庫に向かって全速力で走った。
外の扉をロックしている箒やらちりとりを蹴り飛ばして、ドアを開ける。
「ハナっ!
無事かっ!?」
ケガなどはしていないようだが、半泣き状態だった。
ハナの肩を抱きながら、外に連れ出した。
〈ハナside〉
助けに来てくれたのはミツだった。
「…ハナ!?
どぉした?
どっか怪我した?
泣くほど痛いの?」
半泣き状態の私に驚いて、慌てて聞いてくる。
「…ううん。
誰も助けに来てくれないと思ってたから…嬉しくて。」
「そっか。」
ミツは、レンと自分の体操着に盗音機を取り付けていたから、私のいる場所がわかったらしい。
外に出た茂みにいたレンの近くで、見るのも痛いくらいボロボロになっている男の先輩が…。
この人の彼女とグルになって私を競技に出させまいとしたらしい。
…去年障害物競争で1位だったからって、2人3脚でも上位とは限らないのに。
だけど結果は、見事1位。
私と同じ赤組である7組の愛実たちも、2位だった。
障害物競争も混合リレーも1位で、赤組総合優勝。
…体育祭も終わって、6月も半ばに差し掛かった頃、私とミツとレンと真吉ちゃんは、いつものように、日本史Bの授業を終えて、教室に戻った。
レンはケータイを教室の机の中に置き忘れたらしく、着信を知らせるランプが点滅している。
「…レンっ!
ケータイ、鳴ってるよっ!!」
「え?
あ…あぁ。
…ありがとう。」
いつもとは違って、ボーっとしている様子のレンに、ケータイを手渡す。
最初は穏やかな口調だったが、突然に、レンの口調が変わった。
小声ではあるが、どこか切迫したような…緊張感漂う声だった。
「な…なんだって……!
ア…アイツがまさか!?」
周りの人には全く気付かれなかったが、近くにいた私は、その声に、たまらなく嫌な予感を覚えた。
「ミツ~っ!!」
半泣きで、思わずミツに抱きついた。
「ど…どぉしたっ!?」
ミツの優しさに、嫌な予感のことは忘れていたけど、ミツも…
おそらく真吉ちゃんも。
この時なんとなく…
そんな予感がしていたのかな…




