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ボーダー  作者: きぃ
変化
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20/46

秘密

〈ハナside〉


インキャンから約2ヶ月。

私とミツは相変わらずラブラブで、クリスマスは2人で過ごして、イブは皆でパーティーして、23日は…

何しようかな?


あっ!!


エージェントルームの皆でパーティーでもやったら、かなり楽しそう♪


そうと決まれば、さっそくミツと2人で相談を持ちかけに行った。


もしかしたら伊達さんから、レンのことについて何か聞けるかもしれないしね?

……あのインキャンの日から、な~んか様子おかしいんだもん。


幼なじみなんだもん、それくらい分かるよ?


放課後、ミツとエージェントルームへ行った。



……すると、先客が。


噂をすれば…


「ハナ、ミツ!

…なんか偶然だな。」


いやいや、何でレンがここにいるのさ。


今日…茶華道部あるはずでしょ?



「ん?

…ちょっと、伊達さんに相談事があって来たんだけど…

伊達さん、半年前辺りからずっと来てないっぽいんだよね。」


レンの口から出た、思わぬ言葉。


え!?


あの、伊達さんが…


来てない?


風邪以外では欠勤したことないって、有名なのに…



「その話も気になるけど、レンのことも気になるな。

……いいかげん、話してくれるよな?

あのインキャンの日、一体どこに行ってたんだ?」


ミツも気になってたんだ…

って…


この場で言うことなくない?


「…わかった。

伊達さんに話せば、どうせバレてたんだ、全部話すよ。」



いや~。


初めて聞いたな。


レンの好きな子の話。


なんか…私にソックリ。


気が強くて涙もろいって。


その子がいるって聞いて、慌てて空港まで追いかけていったのね。


「なんか…メイ、元気なかったんだよね。

脚にアザ出来てたし。


オレ、アメリカに行ったほうが良かったのかな…

だけど…メイにとって余計なおせっかいだったらイヤだし…」


そんなに…悩んでたんだ…

「今は…行かないほうがいいと思う。

脚のアザの原因は私も気になるけど…

逆にその優しさが…その、メイちゃんって子にとって今は重荷になる気がするな。」


「オレもそう思う。

…厄介だぞ、ハナみたいな素直じゃないヤツと付き合うと。」


「ちょっ…何それっ!!」



…よく、麻紀や友佳に"2人の会話が常にコントというか夫婦漫才みたい"

って言われるのも、こんなことばっかり言ってるからなのかな?


「……ありがと。

…もうしばらく待って、SOSが入ったら行くよ。

高1のうちは勉強が心配だしね。留年でもしたら笑えないって。」



…それにしても、エージェントルームがこうも静かだと落ち着かない。


いつも伊達さんが面白い話題を提供してくれるからいつもにぎやかだったのに。

ホントに…どうしちゃったんだろ。


「そぉいえば、明日香さんも最近パッタリ来なくなったらしい。」


明日香さん…まで?



…あ。


伊達さん確か、亡くなった両親みたく、日記書いてるって…


それに何か…書いてあるかも!


ミツとレンにそぉ伝えて、伊達さんのパソコンの「日記」フォルダを開く。


最終更新日


"09.7.22"


「夏の健康診断」


って…


な…何があったんだろ…


興味本位で開いたことを後悔するくらい…衝撃的な内容だったんだよね…

伊達さんと明日香さんだけじゃない、室長にも…関係することだったから。

〈伊達 徹side〉


―今日、エージェントルームでは毎年恒例の、社員全員を対象にした夏の健康診断が行われた。


ハナやミツ、レンは、高校で嫌でもやっているだろうから、除外。


室長の後に明日香、その後にオレ。


そこでオレは、トンデモないことを知るんだ。


血液検査と平行して、DNAの検査も行われていた。遺伝子から病気の可能性を探るためらしいが、どんな検査をされるか、受診者は知るよしもない。

終わったら、オレら3人とも呼ばれた。


「何か、異常でも…あったんですか?」


「異常は特になかったですが…あなた方3人は…

"血の繋がった実の兄妹"


ではないんですか?


医者からまさかのことを告げられた。

血液とDNAの型が一致したらしい。


俺は…

2年ほど前の夏に両親とケンカして家を飛び出して来た明日香を家に泊めてやった夜にかかってきた明日香の母親からの電話で…


『徹ね?

その声。

…明日香の…お兄さん。』


「あの…私は明日香の兄などではなく…」


『ふふ。

今に分かるわ。


…とにかく、明日香をかくまってくれていてありがとう。

余計な手間が省けるわ。』


って…言われた記憶が…


明日香の母親、腹黒いというかタチが悪いというか…



医者の話によると、明日香は俺と室長の実の妹らしい…


そして、室長は俺と明日香の実の兄…



俺の両親は亡くなってるから、明日香の母親が俺の母親?


……マジかよ。


「アイツは私の親戚よ。

ウチの両親、借金取りから逃げてたらノイローゼ気味になってね。

1年ほど前に無理心中したわ。

私の親戚も最近うつ…っていうかノイローゼで。

そんな義理の母に父は少しの理解も示してくれなくて…

あんな家、いられないから私は最近、徹の家にお世話になってるの。」


そんな明日香の言葉に、室長…いや、兄さんが疑惑の目を向けていることにも気付かないまま、優しい笑顔を向けながら明日香の肩を抱く。



いたたまれなくなってエージェントルーム内にあるフードコートに行くことになった。


明日香に「トイレに行ってくる」と告げたオレ。


そしてそんなオレのすぐ後になぜか兄さんが…


フードコートに向かう明日香を見届けて、2人でトイレに向かうのかと思いきや…


ダンッ!!


近くの柱に思いきり叩きつけられた。



「何すんだよ。」

「おい徹。

まさかとは思うが…

お前、明日香に手ぇ出したりしてねぇよな?

俺らは許しても、世間が許さねぇぞ?

そんなT.A.B.O.O。」


「……手ぇ、出したって言ったらどぉする?」


手ぇ出したよ。


でも安心しろ。


壊れ物を扱うように優しく…抱いてやったから。


「…お前…」


しまった。


室長怒らせると…怖いんだよな…


しかも、「エージェントルームの社員同士は恋愛禁止」

っていうルール、ことごとく破ったし。


殴られることも覚悟したのに、拳が飛んでこなかったことはビックリだった。


「こんなこともあろうかと、事前に用意していたんだ。

まあ…明日香に頼まれたんだけどな、元々。

…ほら、コレ。」


そぉ言って兄さんが差し出したのは…

"離縁届"。

「ま…まさか…」


「私と私の実の両親との縁を切るの。

……とりあえず、それで大丈夫でしょ?」


後ろからそんな声が聞こえて…振り返ってみると、明日香がいた。


「明日香は?

それでいいのか?」


"もちろん"と言うかのように深く頷く。


「よし。

明日…俺の両親に話をしに行くぞ!」


……えぇ!?あ…明日?


…兄さんの言うことはいつも突然だ。


「ただ…俺の両親、カナダに住んでるから、そこだけはよろしくな。」



ど…どんな親だよ…



翌日、成田空港で待ち合わせることにして、その日は解散した。




カナダに到着したが、時差ボケがひどく、ホテルを出て、兄さんの実家に行くことが出来たのは現地時間の午後だった。

「康一郎!

久しぶりね~♪

急に連絡してきてビックリしたけど、元気そうで良かったわ。」


なんて言う兄さんの母親の前で、軽く会釈をしたオレと明日香。


「生まれてすぐに、あなたたちを親戚たちに預けたから、初めましてね。

ずいぶん立派になって…

とにかく、座って?

今、紅茶を持って来させるから。」


家政婦さんが、オレらの前に紅茶の入ったカップを置いてくれた。


「大体の話は…昨日、康一郎から聞いたわ。

私は明日香が縁を切ってもいいっていうなら反対はしないわ。

もう…いないものね…


それにしても、まさか近親相姦なんてね…」


ゼッタイ、軽蔑される。


そう…思ってたのに。



「私は別に反対しないわ。 反対して…息子たちの悲しい顔ばかり見るのなんて嫌だもの。

それに…そのほうが幸せなんでしょ?

だったら私には…それを奪う権利なんてないからね。」


え…


なんか拍子抜けしたわ。


世間からはゼッタイに許されないはずのTABOOを…許してくれる親って…いるんだな。


「今はいないけど、お父さんも同じ意見だったわよ?

……ただ、明日香は、今の両親と上手くやっていけるのかしら。

それに、徹と明日香の気持ちもね?

この目で確かめたいし。

そぉだわ。

…徹。こっちに半年、いなさい。

私の知り合いにね、精神科医とカウンセラーの資格を持つ人がいるんだけど、その人なら、明日香の両親を"更生"させてあげられるかも。

明日香も…このままはイヤでしょう?」


不安そうに尋ねる明日香に、優しく声をかける母さん。

明日香の顔にも笑顔が戻った。



「さあ、もう明日から半年間、離れ離れなのよ?

ナイアガラの滝にでも観光に行って、ラブラブしてきなさいな。」


母親の提案に、はしゃぐ明日香は、行く前にシャワーを浴びてくると言って、浴室に向かった。


俺は「行ってらっしゃい」って手を振りながら彼女を見送った。


「徹は?

用意しなくていいのか?」

…するよ。


だけど…疑問だ。

なぜ戸籍がこんなにもフクザツなのか…


そう思った瞬間に、頭の中に浮かんだ答え。

でもこれ…言っていいかな?

いいや。


どうせいつかは気付くんだ…

今言っても、どうせ変わらない。


「……代理母…だろ?

日本でら認められていないから、国籍を日本にするにあたってオレらを親戚たちに預けた…

"養子"

という名目で。」


「……そうよ。

さすが徹ね。

アメリカやカナダでは…容認されているけれど…」


「戸籍はごまかせても、血液検査やDNA鑑定の結果はごまかせない…か。

だから今まで、俺と徹と明日香が実の兄妹ってことにすら気付かなかったのか…名字、まるで違うからな。」

「…だな。」


兄さんがそう思うのも納得だった。

そんなシリアスな話をしていると、急に、視界が真っ暗になった。


……停電か?


シャワーを浴びてくると言っていた明日香が心配になって、急いで浴室に向かった。


「明日香…大丈夫か?」


オレが声をかけると、怖いのか、震える声でオレの名前を呼んだ。


「あぁ。

…オレ。徹だよ。」



怖い…と言ってオレに抱きついてくる明日香。

抱きしめた身体が微かに震えていた。


「大丈夫。

…すぐ戻るって。」


早く明かり…戻ってほしいような…戻ってほしくないような…


あれ…?


暗闇に大分目が慣れてきたのか、明日香の頬に涙の痕があるのが見えた。


明日香…泣いて…た?


「明日香…一緒に…風呂入っていい?

…ほっとけない。」


「うん…側に…いて?徹…」


なんて、いつもじゃゼッタイ言わないのに言ってくる。


「何?誘ってんの?エロい妹だな、ほんと。」


「ちがっ…あっ…///」


まだほんの少し、胸に触れただけなのにこんな甘い声出して…


暗闇の中、服を手早く脱いで、再び強く明日香を抱きしめる。


暖かいって…


そりゃ、人肌だし…ね(笑)

「湯船入れば、もっと温かいってか…暖めてやるよ。」


パッ…


「あ…」


「明かり、戻ったみたいだね?

…先…入りな?」


オレが言うと、顔を真っ赤にしながらおずおずとお湯に浸かる明日香。


何で明かりが戻った途端、そんな恥ずかしそうにするの?


可愛すぎ。


明日香の後に浴槽に浸かると、顔に思いきりお湯をかけられた。



「こーいうの、初めてなのに…

徹のバカっ!!」

言ったな?


「オレにそんな口聞くんだ?

……お仕置き…な?」



浴槽の中で…ほんの一瞬だけ一つに繋がる。



その後、泡風呂を作って2人で泡をとばしあって遊んだ。


「徹…先に…上がれば?

まだ行ける準備…出来てないでしょっ…」



「サンキューな」


オレはそぉ言って、明日香の頭を撫でてからあがった。

用意も完了して、いざ出発!


出発前に、兄さんに聞いて国内線に乗ることを知った。


往復、5時間…


観光を終えて家に帰って、皆で夕食を食べたけど、夕食の味をあまり覚えてない…汗


「疲れた…

癒しが欲しい…」


「あげよっか?」


「しばらく会えないし抱いてもらえないの…寂しすぎて耐えられないから…

だから私が…徹を感じたい…の。」


明日香にしてはスゴいこと言ってるよ…


マジで?


やべ…理性崩壊。


自分とオレの服を脱がせて、明日香はオレを愛撫してくる。


「あっ…やべっ…」


「どう?

徹…」


「んな状態で喋んなっ…

あっ…くっ…っつ…ダメだっ…限…界…っ…」


自分の欲望を明日香の口内に吐き出して果てた。


「セクシーだったよ?

徹の声…

最後の掠れ具合とか。」


可愛い笑顔でそんなことを言う明日香。


そういえば、限界を迎える前、声にならない声で明日香の名前を呼んだような気がする。

「ん…」


窓から差し込む朝日の眩しさで、目が覚める。


「明日香…起きろ?

もう6時だぞ?」


俺の声で飛び起きた明日香は、毛布を一枚纏ったままで…


俺は、ベッドの側にあった明日香の着替えを差し出した。


俺も明日香も着替え終わり、2人で朝食を食べるため、リビングに降りると、すでに兄さんと両親がいた。

父さんに、2人で会釈してから、テーブルにつく。


食べ終わって、出国の準備を終えたらしい明日香が、俺に抱きついてきた。


「……明日香。

左手…出して?」


オレは差し出された明日香の左手薬指に…


"ある物"


をはめる。


…真ん中にプラチナのハートをあしらった指輪。


昨日、観光に行ったときに立ち寄ったショッピングモールで…


これを見ながら


「いいなぁ…指輪…」


って呟いてたの、オレは知ってるからね?


トイレ行くふりして、ばれないように買っておいたんだ。


国内線の金属探知機にひっかからなくて良かった。


あと、飛行機の気圧の変化でダメにならないか心配だったけど、問題ないみたいで…良かった。


「また泣く~」


それだけ、嬉しいんだよな?


「まだ…"仮"だけどね?

オレらの愛が本物だと認められたその時は…

"本物"をあげるからね?」


それに…離れている間も…この指輪でオレのことを思い出してほしいから…

ね?

「おい明日香、時間だぞ。」


ドアをノックして、兄さんが呼びに来る。


ヤベ…




ちゅっ。


明日香の唇に、そっとキスをする。


「行ってらっしゃい。」


行ってきます


って、可愛い笑顔をオレに向ける。


2人で手を繋いで空港まで行って、明日香に別れの言葉を伝える。


「半年後、会いに来て?

待ってるから。

…それから…オレらだけの秘密な?

昨日のことと…コレ。」


オレは明日香の薬指に…


そっと口付けた。


うん!♪


って明るく言ってから、


両親に頭を下げて、ゆっくりとゲートに向かう。


「安心しろ。

明日香のことは、俺がしっかり、日本で見守ってやるからさ。」


「任せたぞ。

兄さん。」


兄さんは、オレにガッツポーズを向けてから、

明日香の半歩前を歩いて、彼女を守るようにしてゲートに向かった。


……兄さん、明日香。


向こうで、しっかりやれよ?




…オレ、こっちでちゃんと待ってるから。





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