第94話 思い切ったヘアアレンジをしようと思う
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「ちょっと本屋に付き合って?」
学校からの帰り道、前の席の友達にお願いをした。
すると自分が着ている制服をまじまじと見てから返事をくれた。
「この服装では売ってくれないわよ?」
「買うのは、良い子ウェルカムの全年齢向けだわボケナス」
なんで年齢制限かかった本を買うのが前提なんだろ。
というか買ってるのか。
今度こいつの部屋に行ったときベッドの下でも探してみよう。
「髪型変えたいからヘアカタログ買おうと思ってさ」
ここのところ続いていた雨で湿度が高く、まとまらない私のくせ毛。
綿毛のように毛先がホワホワしてしまう。
長さは肩につくくらいのボブなんだけど、思い切って短くしたらボリュームが抑えられるかなって思って。
「毎朝頑張ってセットしても、すーぐ変になるしさ。
私はあんたの髪質が羨ましいよ」
逆に癖が何もなく、流れる艶やかなストレートヘアーの友達。
「癖がなさすぎるのも考えものよ。
ペッタンコになるし、へアアレンジも限られるのよ。
私から見たら貴方の髪は素敵よ?」
隣の芝は青いとかいうやつかな。
お互いの髪に関する苦労話をしながら本屋に入ると、案内板を頼りに雑誌を探す。
ファッションコーナーの片隅に何冊かあり、若者向けに見える一冊を取り上げた。
「こういうの良いと思わない?」
私が指さしたページには少し年上のお姉さんが映っていた。
髪を多めに梳いて軽くし、重めのヘアオイルで毛先に束感をだしたショートヘアー。
仕事できそうでカッコいいよ?
「貴方には大人っぽ過ぎないかしら?
可愛い顔だし方向性が違うと思うわ」
お、おう?そうかな?可愛いかな?
「じゃあこういうのは?」
次に指さしたのはサイドを短くして耳が完璧に見えるようにした髪型。
今からすると10cm以上切ることになりそう。
「バッサリ行くのね、なんだかもったいないわ」
これもだめか。
それからしばらく幾つもの髪形を提案してみたけど、どれもこれも友達からの評判はいまいち。
「逆にどれなら似合う?」
そこまで言うなら教えてほしくてカタログを押し付けた。
友達はページを捲りながら私をちらちらと何度も見る。
「どれもピンとこないわ」
ショートカット部門を読み終わった友達が諦めて本を閉じた。
「そもそもモデルが貴方じゃないもの」
「そりゃ雑誌だし私なわけないじゃない」
何言ってんだ?
「貴方がどのモデルよりも一番可愛いもの。
だからどのヘアデザインを見ても可愛く見えないの」
「ん?」
「雑誌のモデルと貴方を何度も見比べたけれど、それが私の答えよ」
「んん?」
「今の髪型が一番似合っているし可愛らしいわ。
私はそれが好きよ?」
「んんん?」
カタログを棚に戻すと私は友達に背を向けた。
「あら?買わないの?」
「もうちょっとよく考えようと思ってさ」
背中越しにそう言うと、不思議そうに友達が曖昧な相槌を打っていた。
ま、まあそういうならさ、もうしばらくこの髪型してあげても良いかなって。
しかたないなあ。
-次回予告-
裸エプロン
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