第83話 ファスナー越しに見る新緑の緑
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自席に座るトイレから帰ってきたばかりの私の隣に立ち、前の席の友達が立ってニコニコしてる。
何も言わずただただ笑ってるんだけど、十分にあれだ、うん、怖い。
「……どうかした?」
「別に。
緑を見ているだけよ」
窓の外を見ると確かに木があるけど、別に珍しくもなんとも。
こういう時は何か企んでいるか、ろくでもないことを考えているか、だいたいそのどっちか、もしくは両方。
こういうのが一番やだ。
「なにか言ってよ、気持ち悪い」
「だからなんでもないわ」
「絶対何かある」
見極めてやろうと睨み上げるが、相も変わらずの笑顔で誰かから私をブロックするように立っている。
だんだん落ち着かなくなってきて、何度も声をかけるが無視されて笑顔が崩れない。
「もう、ほんとになんなのか言っ……」
私の声は途中で授業が始まる鐘の音に遮られた。
やれやれと大げさにため息をついた友達が私の横に跪くと、スカートのホックに手をかけてくる。
「ちょっ、こんなとこで」
焦る私を尻目に友達はホックを左手で押さえて、右手でスカートのファスナーをジジっと上げる。
……は?
え、さっきからスカートの下が見えてたの?
「薄い緑色のショーツなんて初めてみたわ。
貴方にしては珍しい色だけど似合ってる。
ひょっとして新しいのかしら?
見えていたサイド部分もレースがあしらわれていたけれど、前面はどうなっているの?
いつも淡い色を好んで着けているけど、私的には濃い色、そうね紫とかも似合うと思う。
意外性と言えばいいのか、脱がした時の『おいおい、おとなしい顔してとんでもねえな』的なギャップも良いものよ。
あ、もちろんいつものラインナップも好きよ、そこは勘違いしてほしくない。
さっきも言ったとおり意外性として、その中にひとつ混ぜるとしたらそういうのもアリということ。
ちなみに私は上と下の色がバラバラなのも、むしろ好きなの。
気を抜いて油断していたのがむしろポイント高くて。
その路線の話をするとね……」
いまだ止まらない友達の口を指先でギュッと掴んだ。
「ファスナー空いてるならすぐ言ってよ!
あと早口で長い!
そしてラインナップってなんだ!」
「貴方は曜日で大体履くの決まってるじゃない」
「なんで知ってんだよ!」
-次回予告-
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