第82話 何をやっても右肩上がりの好感度
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学校で次の授業の準備をしていると、前の席の友達が振り返って一枚の紙を渡してきた。
パソコンで作ったんだろうな、折れ線グラフが書かれてる。
「なにこれ?」
横軸に日付、縦軸に0~100%が書かれてて右肩上がりに伸びてる。
「貴方への好意を数値化したものよ。
見せたことなかっただろうし、集計したから最新版を渡しておくわ」
まるで当たり前みたいな口ぶり。
こんなの作ってたんだね、私のことを考えながら毎日。
なんていうかさ、引くわ。
「前日比プラス0.32パーセント。順調な伸びよ」
「順調って言われても」
「先週水曜の急落が気になっていたのだけど、持ち直したのだから喜びなさい」
先週の水曜?
あー、私が別のクラスの子とお昼を食べた日か。
仕方ないでしょ、委員会の話があったんだから。
「ちなみに何を根拠に数値化してるの?」
感情を数値化とか難しいぞ。
「基礎指標が7つ。
貴方を視認した回数、会話の総秒数、貴方が私に触れた面積の積算、私の心拍の変動係数、語りかけてくれた言葉の内容、貴方が私の名前を呼んだ回数、あとは私が笑った回数。
それぞれを重みづけして計算してるの」
なるほど、わからん。
ひとつひとつ聞いてもいいけど、理解できないだろうからやめとこ。
「火曜の昼に貴方が私の肩に寄りかかった17秒間、あれはポイント高かったわ。
鎖骨あたりまで顔を埋めてくれて、あの一回で0.5ポイント入ったの」
「寝落ちしかけただけでしょ!」
「そのせいで係数の見直しが必要になったわ。
貴方は自分が思っているより高頻度で私に接触している。
無意識と思われるスキンシップが全体の8割を超えるなんて計算外だったわ」
なんで分析しようと思ったんだよ。
「それって、ボディタッチを控えろってこと?」
「そこはむしろ増量を希望」
「え、なんか嫌」
もう本当にどうでもいい学術発表なんだけど、ちょっとだけ気になるとこも。
「これって最大数値の好感度100%になったらどうなるの?
もう80%を超えててすぐに行きそうだよ?」
友達が珍しくにっこりと笑う。
雛菊のようで可愛いはずなのになんて邪悪なんだ。
「感情に上限なんてないわ、最大が200%に書き換わるだけよ。
ただ、ね」
「ただ?」
「100%をオーバーするなんて、私が私じゃいられなくなる。
だから前もって言っておくわ、普段の行いに気をつけろ」
……えーとね。
「シンプルに気持ち悪い」
私の拒絶の言葉で空を見上げ、ぶつぶつと口内で何かを反芻してる。
「+0.05%ってところね」
「上がるんかい」
-次回予告-
下着評論家
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