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第78話 結局、来た道を帰りましたよ、ええ

【毎日更新】

評価 or ブクマおまちしてます。

嬉しくて踊ってしまいます。




学校からの帰り道、日差しを避けるために前の席の友達と入った住宅街の路地。

ふたりで並んで歩くのが精一杯の狭さだけど、影がいい感じで多くて随分まし。

なんだよ、気温38度って、体温だったら寝込んでるわ。


そんな中私たちは立ち止まり、お互いにどうぞどうぞと前を歩くことを押し付けあっていた。


「さて、貴方の出番よ。

 先に進みなさい」

「いえいえ、ここは運動神経バツグンのあんたが」


行く先の道路のど真ん中、それはもう立派なムカデが鎮座している。

手のひらにも余る長さにでっぷりとした横幅と、もじゃもじゃの足。

狭い道なので避けて通るにしても絶妙に近くて嫌だ。

近づいた瞬間にやつが本気を出したらと考えるだけで、本当に身の毛がよだつ。


まださ、カピカピに干からびているなら良いよ。

なんでちょっと瑞々しいの。

あれ元気?それとも旅立ってる?


「中国ではムカデは漢方にもなる珍味よ。

 貴方は食事が好きじゃない」


ぐいぐいと背中を押してくる友達。


「おま、ふざけないで。

 あれを美味しそうと思う人とお友達にはなれん」

「他国の食文化を否定するのは感心しないわ」

「なら、あんたが行きなよ」

「多様性なんてクソくらえよ」


暑さからか口がいつもより悪い友達。

そう!暑いんだよ!帰りたいんだよ!

冷房!シャワー!氷を入れた飲み物!


「そうだ、石よ。

 石を投げてみましょう」


友達のアイデアに私は、その手があったかと同意して小さい石を拾う。


「当てたら可哀そうだから近くに落とす感じで行くよ」

「ええ」


私の頭頂部になぜか顎を載せている友達。

虫が嫌いなのは知っているけど、完璧に人を盾としてやがる。


しっかりと狙いをつけて私は石を投げた。


「……へたくそ」

「うるさいわ」


ずいぶん手前で跳ねた石にムカデは無反応。

仕方ないと友達が同じように投げた。


「あ、上手だね」


私が言葉にした通り、石は放物線を描きながらムカデを通り過ぎ、わずかに後方へ落ちる。

カツンという鋭い音がした。

私たちふたりの意識はやつが反応するか、その一点に注がれる。

さあ、どうだ。


「って、ぎゃああ!」


音に驚いたムカデは石と反対側、つまり私たちのほうへ全力で走ってきた。

たいへんお元気でいらっしゃいました!


「ちょっと、どうす……」


慌てて振り返ると、さっきまでそこにいた友達はおらず路地裏のかなた先、アスファルトの陽炎の先に揺れる黒髪が見えた。


「おいて行かれた!?

 ていうか足早いな!」


-次回予告-

プロポーズ


挿絵(By みてみん)


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嬉しくて踊ってしまいます。


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