第71話 夜食とは己が咎を解放する場
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「昨日夜中にお腹減りすぎてね」
朝日がまぶしい通学路。
私は前の席の友達と並んで今日も歩く。
「すぐ食べれるものなくて、目玉焼き焼いてかじったよ」
親が起きないようこっそり音を殺して作る目玉焼きは、なんかもう美味しいけど敗北感が凄かった。
「そこまでして食べなくてもいいじゃない」
「だってお腹減って寝れないんだよ?」
私を見ながらおかしそうにしてくれてる。
「ならさ、夜中におなか減った時に何食べてる?
逆に教えてよ」
手に顎を載せて真剣に考える友達。
そこまで思い出そうとしないと記憶にないのか?
いや、けっこう頻繁にそういうことあるよね?
「白湯、かしら」
聞きなれない言葉が出てきた。
おいおいマイフレンド、私の話聞いてなかった?
「お腹がすいた時だよ?
お湯飲んでどうするの」
「だって寝て起きたら朝ごはんじゃない、暖かい物飲めば空腹も和らぐわ。
それに深夜に飲食なんて不健康よ」
たまに友達が放つ正論パンチ。
いや、わかってるよ、でもこちとら欲望にまみれた生きている人間でして。
「お湯って、ノンカロリーって。
修行僧かなにか?」
「あなたがまあまあ欲望に忠実過ぎるのよ」
「脂っぽいものとかしょっぱいものとか食べたくなるでしょ!」
「味が欲しいならコンソメを少し入れてスープにすればいいじゃない」
「咀嚼!咀嚼って大事だよ!?」
「ちょっとだけキャベツでも入れればいいじゃない」
「ウインナーも!」
だいぶげんなりした友達が朝日に照らされていた。
何言ってんだこいつという表情で光り輝いてる。
「それはもうポトフよ」
「ならジャガイモも」
「増やすな増やすな」
「あと黒コショウ聞かせたいな」
「なんで寝れなくて困っているのに刺激物混ぜるのよ」
「……だって美味しいし」
どうせならね、ご機嫌に食べたいよね?
「また身体測定前に慌てるのが目に見えるわ」
「ふ、増えてはないもん」
「私の脳裏に浮かんでいるこの未来は予想ではないわ、予知と言えるレベルよ」
「大丈夫だもん。
そういうあんたこそ……」
朝ごはんがたくさん入っているお腹をちょっとだけ手で隠しながら、悔しくて言い返そうとしたが、こいつのお腹には無駄なお肉なんて全くなかった。
「私がどうかしたかしら?」
「いやあ、今日も素晴らしいスタイルでして」
上から降る長身の友達の視線から逃げるように道路を見ながら私は歩いた。
さ、白湯かあ。
私もやってみようか。
でもなあ、でもなあ!
あれ水なんだよな!
-次回予告-
巨乳ネクタイ
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