第64話 甘い × 甘い? 苦い × 甘い?
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「よくそんなの飲めるわね」
学校帰りに前の席の友達と寄ったドーナッツ屋さん。
ブラックのアイスコーヒーを飲む私を怪訝な目で見ていた。
「甘いものには苦いのが合うよ?」
特に今飲んでいるエスプレッソを冷水で薄めたアメリカーノ。
苦みと香りがドリップより強くて甘いドーナッツと相性が凄くいい。
両親がコーヒー好きで、私もちょっとうるさかったりする。
「そっちこそドリンクまで甘かったら胸やけしない?」
ココア好きの友達はブレることなく今日も飲んでいた。
しかも生クリームが浮かんだやつを。
「甘いものを食べに来ているのよ、甘い飲み物を選ぶのは当然じゃない」
「一理ある……か?」
「百理あるわよ」
カスタードがたっぷり入っているドーナッツを、幸せそうに頬張ってる。
意外だけど私より甘党だったりするんだ。
でも、試してないだけで、本当は”甘い×甘い”が正解なのかな?
「飲んでみる?」
こっちの思考を読んだみたいにプラカップを差し出してくる友達。
「ん、ありがと」
代わりに私のアイスコーヒーを差し出す。
なんかストローを口に含む前に丹念に舐めていた気がするけど、そのくらいもう慣れた。
「コーヒーはどうだっ……いまいちみたいだね」
眉間にしわが寄ったおばあちゃんみたいな顔を見たら、聞く前にわかったよ。
なんでだよ、香ばしくて口の中の甘みを流してくれて美味しいでしょ。
そう思いながら、ベーシックな何もついていないドーナツを齧り、ココアを啜る。
「ココアはどうかし……いまいちみたいね。
顔がおばあちゃんみたいよ」
お互い似た顔をしているらしい。
これはだめだとドリンクを元に戻した。
友達は喉に残る苦みを消したいのか、すごい勢いでココアを飲むと、量が一気に減ってしまったカップを恨めし気に見てる。
「私たちは食べ物の好みが違うわね。
貴方はジャンクな食べ物が好きだし」
ドーナッツも十分ジャンクだけど、私はどっちかというとしょっぱいジャンクが好き。
ラーメンとかハンバーガーとか、寿命を捧げながら食べるやつ。
「油と糖を炭酸で流し込む良さがわからないとは。
人生の8割を損してるよ」
「一理もないわよ」
「百理あるよ」
-次回予告-
くっっさいマリアージュ
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