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第62話 ハズレを祈らずにはいられない福引

【毎日更新】

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嬉しくて踊ってしまいます。



休みの日に買い物に行った帰り道、前の席の友達が商店街のどまんなかで足を止めた。

見るといくつかの長机と、いくつかの係員さん。

アーケードの天井を雨が叩く音が五月蝿い中、それに負けず劣らずの大きさでハンドベルが響いてる。

脇の衝立には『商店街の買い物1000円ごとに一回』と、ガラガラの絵が添えられて書かれている。


「そういえばさっきのお店で言ってたね」


すっかり忘れていた私はレシートを取り出してみた。

友達のも集めてみると、ふたりで6回引けるみたい。


「せっかくだしやって帰ろ?」

「そうね、こういうのは初めてだわ」

「私もー」


うきうきと長い列に並ぶと、係の人にチラシをもらえた。


「1等は温泉ペア旅行券か、随分と豪華ね」

「ほんとだ、当たっちゃったらどうしよう。

 妹喜ぶと思う?」


姉妹で旅行とか楽しそう、でも高校生と小学生で行けるものなのかな?

私が考えていると、友達がなぜか人差し指で自分の鼻を指していた。


「どした?かゆい?」


ぽりぽりとしてあげる。


「そうじゃなくて」


もう一度ど鼻を指さしている。

かゆいではなしに、こっち?

むんずっと掴む。


「鼻をもにもにしないで!」


小鼻を揉んでいた私の手を払いのけ、自己紹介のように胸に手を当てた。


「私とはいかないの?

 ってこと」


いわれて気がつく。

ごめんごめん、ちゃんと言ってなかった。


「うん、怖いしやだ」


両親が近くにいる家でのお泊り会とは違うんだよ、周りに味方いないんだよ。

深夜のお前は敵だ、危険人物だ。


「それは流石に寂しいわ」


確かにふたりで買い物して福引してで、それは冷たいか。

あんたと旅行するのは間違いなく楽しそうだし。


「寝る時は縛り上げるけどいい?」


ガムテープでグルグル巻きにさせてもらう。

そんな私の提案に瞳を輝かせてる友達。


「激しいプレイしてくれるの?」


顔を赤らめた乙女の顔で邪悪なこと言わないでほしい。


「違うよ、そうじゃないよ、身の危険感じてるんだよ」

「縛った後は何してくれるの?」

「聞いてよ話を」


可愛いポーズをとってわくわくされても、答えてあげる事はできない。


「あ、部屋にプライベート温泉付いてるみたいよ。

 ふたりで入れるわね」

「なにそれ怖い怖い怖い」

「痛くしないから安心して」

「なんでお風呂で痛い選択肢出るんだよ……」


福引やめてもう帰ろ?

そうお願いしてもびくとも動かない友達。

そうこうしている内に私たちの順番が来て、受付のお姉さんが”数も減ってきたので当たるかもしれませんね”、と嬉しくない情報をくれた。


俄然やる気を出し始めた友達。


「当ててみせるわ!」

「お願い!外して!!」


変なふたりを係の人たちは奇異な視線を向けている。

恥ずかしいけど、今はそれどころではない。


「やった!残念賞!」

「まだよ、まだ回数は残っているわ」


-次回予告-

ちょっと当たった福引


挿絵(By みてみん)



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