第60話 正論パンチのラッシュがすごい
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嬉しくて踊ってしまいます。
「世界史のレポート完成した?
納得いかないところがあって相談したいのよ」
ちっちゃい口でノロノロお弁当を食べている前の席の友達が、美味しく食べ終わった私を見ながら聞いてきた。
「んー、まだ半分くらいかな」
提出日は明後日だし、進捗は悪くないかな。
「それ、遅くないかしら?」
言われて私は脳内で考えてみた。
今日夜少しやって、明日夜ぺぺぺと終わらせれば十分間に合うけど。
「前の日の夜にやっちゃうし大丈夫だよ」
ようやく食べ終わった友達がご馳走さまと手を合わせている。
「間に合うのと、やり切るのは違うわ」
私よりずっと学年順位が高い友達の視線はたまに向けられるあれ、怒られるときの雰囲気。
しかも正論パンチで、反論なんて何一つできずにぼこぼこに殴られるやつ。
「学業の課題というのは取り組む中で自身の足りていないところを見つけ、育てるためのもの。
完成すればいい、形だけ整っていればいい。
そんなの本来の趣旨に反しているわ」
「で、でも」
強烈な正論パンチ。
サボっていました以外の言い訳を考えつつ、なんとか場をごまかそうとしてみたけど、蛇に睨まれたカエルを通り過ぎてすでに半分くらい美味しく飲み込まれていて逃げ場がない。
多分ちょっと消化され始めてる。
ここから入れる保険ってあります?
「帰ったらとりかかって今晩中に完成させて、明日はチェックの日に当てなさい」
えええ、2日に分けてする予定だったから今日中というのは厳しいといいますか、それにですね。
「えと、この後の放課後は遊ぶ約束してるよね?」
おずおずと聞いてみる、怒られるのはわかってるけど。
だって楽しみだったんだもん。
ああ、なんだか菩薩みたいな表情をなさっている。
「ええ、私もすごく楽しみにしてたわ。
遊べなくなったのは誰のせいかしら?」
正論パンチ2発目。
「わ、私です」
「そうね、なら言うべきことがあるんじゃないかしら?」
正論パンチ3発目。
今日多くないかな?
私の体力はずっと前に空だよ。
「ご、ごめんなさい」
ちょっとだけ下げた頭をよしよしと撫でられた。
「終わったらあらためて遊びましょ」
こそばゆい感触に照れてしまう。
性癖以外はほんとまともなんだよな。
「ホントにもったいないんだよな」
美人とも男前ともとれる顔だちを下から見上げる。
なぜだろ、すんごく嬉しそうにしてるな。
「下からの憐みの視線を受けるのも良いものね」
「いや、ホントにもったいないなあ」
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