第58話 体臭は鯖っぽい
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嬉しくて踊ってしまいます。
「毒を持った幼いリンゴのようね」
前の席の友達が私のほうを見ながら、よくわからないことを言ってくる。
窓から空を見ると、雲一つない晴天で少し暑い。
脳が茹で上がったのかな?
「あなたの瞳のことよ」
急にポエマーが爆誕したんだけど、やっぱり茹であがったみたい。
大丈夫?腕の良いお医者さんのところいく?
「深海のように深く冷たいんだけど、光に満ちているの」
ポエムNo2。
「あなたの心のことよ」
さっきから褒められているのか、貶されているのかどう判断したらいいんだろう。
すこし嬉しそうな顔を見るに馬鹿にはしていないようだけども。
「チョコっぽい青魚」
おいまてこら、それは絶対マイナスの話をしてるだろ。
「あなたの今の体臭よ」
「だろうね!なんとなくわかってたわ!」
仕方ないでしょ、梅雨時の体育終わりなんてみんなグッドスメルになるの。
気温30度、湿度80%をなめんな。
ちょっと気にした私は友達から体を遠ざけた。
「私は大好きよ?
ガロン単位でいける」
「ありがとう!ぜんっぜん嬉しくないね!!」
これ以上汗をかかないように控えめな怒りをぶつけてから、せっかくなので私も一つ例えてあげた。
「見た目は美しいのに、奏でればゴミのような断末魔が木霊するピアノ」
口にした自分でも驚くくらい的を射た言葉。
これはあれだ、ノーベル文学賞とか直木賞とかノミネートされちゃうくらいの一言だね。
その歴史的ワードを噛み締めるように友達が味わい、こくりと頷く。
「私そのもののことね」
ピンポンだよ。
自覚が有って偉い
やたらと透き通った友達の声と、やたらと高い初夏の空。
殺菌汗拭きシートを買って今日は帰ろう。
-次回予告-
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