第47話 ベッドの上で私を誘ってくる友達
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いつものように学校帰りに私の部屋に寄った前の席の友達は、いつものように私のベッドにダイブして深呼吸をしていた。
しかし目線だけはこちらを見ていて、ぽつりと呟いた。
「また告白されたの?」
同じ視線の高さにあるテーブルに乗っている一つの封筒。
モノトーンのレターセットで表面には何も書かれていない。
「いまどきラブレターっていうのも珍しいわね」
「たしかにメッセージとかが多いかな、いつもは」
どう返事をしたのか聞かない友達。
聞かなくてもわかる。
それはきっと私たちの関係に甘えた、あいつの自惚れなんだけど、外れていないのが少し悔しい。
「人から手紙もらうなんて初めてだし、どう扱えばいいか悩んで」
思いを込めてくれた紙は想像よりずっと重くて、断った後でも捨てていいのかわからなかった。
「振るのは得意なのに悩むのね」
「あんたよりモテるから」
「自分で言うのね」
友達が高嶺の花として崇められる友達が告白をされたという話は聞いたことがない。
きっと眩しすぎて手を伸ばそうとしないから。
私は道路に咲くタンポポで、しゃがみこめば容易に手が届く。
おてごろ、私はそうなんだろうな。
「でも貴方に好意を抱くなんて良い趣味ね」
からかうような友達。
いまだに枕に顔をうずめ、横目で私を捉えたまま続ける。
「でも、どんなに好意を抱いても、私がいる限り無駄なのが可哀そうだわ」
「自分で言うんだ」
「だって、部屋にあげるくらいには、私を信用してるのでしょう?」
誰もいない家のベッドの上、瞳を細めた友達が猫みたいに体を丸める。
長い脚が大きく動いて、シーツと衣擦れの音を立てた。
他に音がない部屋の中、ちょっとだけイヤらしく聞こえる。
挑発しているのか、それとも誘っているのか。
そんな友達の目の前に、小さな缶を引き出しから取り出して置いて見せた。
「信用してるわけではない」
「あ、はい」
正座しなおした友達が、”熊も一撃!痴漢撃退催涙スプレー”をまじまじと見ていた。
自衛は大事よ、自衛は。
-次回予告-
夜中の暴飲暴食
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